「若者の証券離れ」が進行中か 打開策は「スマホ証券」にあり?

「若者の証券離れ」が進行中か 打開策は「スマホ証券」にあり?

 ここ数年、スマートフォンによる証券取引が活発になってきた。従来のネット証券会社が手掛けるスマホ用アプリにとどまらず、アプリ専業をうたう証券会社も登場した。

 フィンテックベンチャーの「Finatext」は2017年、大和証券グループと提携し、スマホ取引専業の証券会社を設立した。また、LINEと野村ホールディングスは今年、合弁会社LINE証券の設立を発表、準備会社を立ち上げた。

 それらの動きの先駆けが、16年からサービスを提供する「One Tap BUY(ワンタップバイ)」だ。スタートから2年で、口座数は12万件を超えた。特徴は、スマホでの最適化を考え、極めてシンプルな取引形態を取り入れたこと。日本株の場合、取り扱うのは任天堂やトヨタ自動車など30銘柄のみ。1千円単位で売買でき、「銘柄を選ぶ」「金額を指定」「売買」の最短3タップで取引が完了する。

 同社の林和人社長はこう語る。

「従来のネット証券は多機能性が売りでした。一方、スマホは1アプリ1機能と言われるように、シンプルなほど使いやすい。デバイスを変えるだけでなく、スマホに最適化させたのです」

 機能や銘柄を絞ったことで、すでに頻繁に売買している個人投資家からのウケはよくないというが、その分、株取引になじみが薄かった層の取り込みに成功した。8割が初心者で、20〜30代の割合も7割に迫る。

 政府は若年層投資家の育成を目指すが、実はいま、対面型にとどまらず、ネット証券取引も高齢化が進んでいる。日本証券業協会の調査によると、インターネット口座による株の現金取引金額に占める39歳以下の人の割合は、13年3月末時点で26.8%だったのに対し、今年3月末には13.5%にまで低下した。若者が投資に参入できない大きな壁が単元株価格(投資可能な最低価格)だ。例えばトヨタ自動車の場合、6月27日現在の株価が7000円強、売買は100株が最低ロットなので、70万円が必要になる。

 One Tap BUYは、この壁を取り払った。同社が持つ在庫をシェアする形で、株数を気にせず、1千円単位で好きな金額分を購入できるのだ。

「取引の元手となる種銭を持っていない人も、投資に入ってきてほしい。1千円単位での取引は、その思いからです」(林さん)

 スマホも、株との相性がいいという。林さんは続ける。

「若年層とスマホの相性がいいのはもちろん、実は株とスマホも相性がいいんです。数人で共有することもあるPCに比べ、スマホは完全に個人に属します。お金の情報をやり取りするのに抵抗を感じづらいのです」

 初心者でも扱いやすいシンプルさ、1千円から取引できる手軽さ、24時間売買可能で、ベッドの上でも電車の中でも取引できる便利さ。若年層の取り込みに成功しつつあるスマホ証券は、今後の株投資の姿を大きく変えるかもしれない。(編集部・川口穣、ライター・田茂井治)

※AERA 2018年7月9日号


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