「PayPay銀行」「PayPay証券」誕生へ ヤフーとソフトバンク、自社名使わないワケ

「PayPay銀行」「PayPay証券」誕生へ ヤフーとソフトバンク、自社名使わないワケ

 急速に広まるQRコード決済の「PayPay」が、銀行や証券会社に──。ソフトバンクとヤフーがそんな計画を進めている。背景には苦しい事情が透ける。



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 日本のインターネット企業の代表格のヤフーが10月に大きく様変わりする。広く知られた社名を捨て、「Zホールディングス」に変更。これに合わせて、ヤフーが手がける様々な金融サービスを、スマートフォン決済の「PayPay(ペイペイ)」を冠した名称に変更することが有力になっているのだ。

 5月の初め、「PayPay」を冠した11件の金融サービスの社名の商標が登録された。「PayPay銀行」をはじめ、「カード」「トレード証券」「インシュアランス(保険)」「FX(外国為替取引)」など、考えられる限りの金融サービスを網羅する勢いだ。

 現在ヤフーが行っているジャパンネット銀行、ヤフージャパンカードといったサービスの名称を変えるほか、新サービス導入も視野に入れているとみられる。Zホールディングスの傘下に、これらの事業を統括する中間持ち株会社を作る計画で、名称は「Zフィナンシャル」が有力だが、「PayPayフィナンシャル」も商標登録された。ヤフー関係者は「PayPayはソフトバンクグループ全体で注力していく」と、PayPayブランドをソフトバンク、ヤフーが持つ国内金融事業の中心に据える方針を説明する。

 決済アプリのPayPayについて幹部は「ローンや貯金、投資信託やネット通販にも使えるライフスタイルアプリにする」と説明する。決済の利用で得たポイントを、保険や投信の購入などに使えるサービスが想定される。

 PayPayには、インドの決済アプリ「Paytm(ペイティーエム)」が技術を提供している。同社のインドやカナダの技術者がグローバルで24時間態勢でPayPayの改善を進めているという。ただ、商標登録したサービスを実際にいつ始めるかは未定だ。

 すでに広く知られた「ヤフー」や「ソフトバンク」ではなく、まだ知名度の低い「PayPay」を金融事業の中心ブランドに据えるのはなぜなのか。

「ヤフー」に関しては、元々は米ヤフーが保有し、現在は同社を買収した米通信大手ベライゾンが握る「ヤフー」の商標使用料がネックとみられる。

「社名にヤフーを使うと、売り上げの3%をベライゾンに支払う必要が出てくる」

 ヤフー幹部はそう打ち明ける。

「ソフトバンク」については、2006年にグループから離脱・独立したSBIホールディングスとの関係が問題だ。金融系のサービスにソフトバンクのブランドを使った場合、銀行、証券などを手がけるSBIと競合する。SBIの北尾吉孝氏とソフトバンクの孫正義氏は今も「定期的に食事に行く仲」とされ、その良好な関係に水を差す可能性があるとみられる。

 ヤフーは27日、持ち株会社ソフトバンクグループ傘下から、国内通信のソフトバンク傘下に移る。「ヤフー」を冠したサービスは縮小に向かい、ソフトバンクとの融合が進みそうだ。一方、PayPayは「メディア事業中心ではいずれ厳しくなるヤフーと、料金値下げや楽天の参入で携帯電話事業が厳しいソフトバンクという、やばい2社が将来を見据えて考えたサービス」(幹部)で、大盤振る舞いのキャンペーンによる損失を補うことが急務だ。

 ヤフーの象徴だった宮坂学・前社長は18日の株主総会後に取締役を退き、社と距離を置く見通しだ。ネット企業らしい変わり身の早さが、吉と出るのか。他の日本企業の試金石にもなりそうだ。(ライター・平土令)

※AERA 2019年6月24日号


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