「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークアンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、シリーズ75万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。

 日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「ネットに悪口を書いた親友」について。

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【相談】
 田村さん、こんにちは。私は50代の女性です。

 20代のころから付き合いのある友人のことで相談をさせてください。

 彼女は今、重い病気にかかっており、あと何年生きられるかわからない状態です。寝たきりの状態で、私も折に触れて彼女のお見舞いに行ったり、ご家族のお手伝いをしたり、精いっぱいのことをしてきました。

 そんななか、彼女の病気についてネットで調べていたときのこと、彼女の闘病ブログを見つけました。

 病気と闘っていること、日々の喜び、たくさんのことがつづられていたのですが、そんななか、私に対する愚痴のようなものを彼女が書いていたのを見つけてしまったのです。

「M子(私のこと)が来ると疲れる」といったことから、「M子の話に付き合うのはつらい」といったようなことです。

 まさか彼女がそんなことを思っていて、しかも不特定多数の人が目に触れるようなところに書いていたことに、強いショックを受けました。

 それを見てから、「彼女にとって、私は親友でもなんでもなかったのだ」と涙が止まらなくなり情緒不安定の状態が続いています。

 病気になる前の彼女はこんなことはありませんでした。なぜこんなことを書き込んだのでしょうか。

 彼女に、このブログを見てしまったこと、そしてとてもつらい思いをしていることを伝えるべきでしょうか。ただ重い病気の彼女に、こうしたことを伝えることは、自分がスッキリしたいだけのエゴのような気もします。

 彼女にはこれ以上余計なストレスを与えたくはありません。

 でも言わないでいると、私がストレスでどうにかなってしまいそうです。彼女を嫌いになってしまいそうです。

 どうしたら、彼女を許し、わだかまりなく過ごすことができるでしょうか。

■忍耐力を培うチャンス

 彼女のためを思って、いろいろ尽くしてきたのにとてもショックな体験をされましたね。伝えて真意を問いただしたい気持ちは非常に理解できます。

 ただ、それでもまずは彼女の病気を心配してあげましょう。

 病気は人を変えます。健康を害するウイルスが世界的に蔓延したことで、これだけ社会の雰囲気を変えていることでわかるように、「健康を保てなくなるかもしれない」という恐れだけでも非常に大きなストレスを生みます。

 ましてや、いざ自らが病気になればその痛みや症状が、精神状態に影響を与えることは当たり前のことです。しかも余命幾ばくもないのであれば、その心情ははかりしれません。

 自分の健康に感謝するとともに、病気である彼女に寄り添い思いやりで接しましょう。

 思う存分インターネットで愚痴ってもらえばいいではないですか。彼女の病気のストレスのはけ口になれているならよかったではないですか。

 友人はとても大切な存在です。あなたが彼女のブログを見てしまったことは、もちろん伝えるべきではないでしょう。すっきりすることの対価が、長年の友人を傷つけることだけだなんて寂しすぎます。

 それよりも彼女の病気が少しでもよくなるように、物心ともに応援してあげるべきです。

 あなたにできることは、彼女にどう思われようがとにかく励まして、回復してよりよい人生を楽しんでもらえるように応援することです。

 それによるあなたのストレスも大変なものですが、そもそも人生そのものが「苦」です。

 忍耐力こそが人生で最も大事なスキルです。特にコロナ禍のこれからの時代、人間の生存力そのものが問われますが、その中でも忍耐力が最も求められます。

 今、それを獲得するチャンスです。

 ストレスに負けない忍耐力だけではなく、ストレスをかわしてでも付き合っていくスキルです。

 この世に生を受け、その年齢まで生き抜いてこられたわけですから、自分に自信を持つことです。心の持ち方は「すべて自分に起こることは最善のことだ」と腹をくくって開き直ることです。

 あなたは、いつか必ず彼女を許すことができます。

 今を生きましょう。

 不安やストレスは仕方なくわれわれを襲ってきますが、それを常に感じていても幸せになりません。あるがままに開き直って受け止めることです。

 私は、どんなときも友情をあきらめません。友達はとても大事な存在です。苦しい時こそ支え合うべきです。