高畑充希の「イライラ感がむしろいい」 ドラマ「過保護のカホコ」ウケる理由

高畑充希の「イライラ感がむしろいい」 ドラマ「過保護のカホコ」ウケる理由

 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「過保護のカホコ」(日本テレビ系 水曜22:00〜)がウケる理由を分析する。

*  *  *
「痛いと私はブチャくなる」と、不細工変顔を決める高畑充希が、なぜかイラッとくる頭痛薬CM。そのイラッと感を存分に活用しているのが、このドラマだ。

 あまりに過保護で育ったため、大学生なのに幼稚園児みたいなカホコ(高畑)。毎朝、母親の泉(黒木瞳)に起こしてもらい、着る服を選んでもらい、弁当を渡され、車で駅まで送ってもらう。困った時には、小型犬のように潤んだ目を見開いて、プルプルと震える。

 もうその行動、表情がいちいち絶妙なイライラ感を醸し出すのだ。そもそもなんで「ブチャくなる」にイラッとくるかというと、達者すぎるの、変顔が。「女優だけど、ここまでできちゃうんですよ」的変顔なの。

 演技も変顔も達者な彼女が、NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」のヒロインのような、しっかり者のお姉さんを演じると、「しっかり」が達者すぎて飽和状態に陥りがち。けれど今回は、浮世離れした真っ白なカホコのあふれんばかりのイライラ感が、むしろいい。

 遊川和彦脚本のドラマは、いつもどこか残酷で不思議な童話みたい。「女王の教室」の教師(天海祐希)は怖い魔女のようで、「家政婦のミタ」の家政婦(松嶋菜々子)はカバンから何でも取り出す魔法使いのよう。

 現実味がないほど過保護でぬくぬくのカホコは、まるで「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」。敷布団を20枚敷き、さらに羽根布団を20枚重ねても、その下のエンドウ豆に気づき、「一晩中眠れませんでした。お布団の中に何か固いものが入っていて」と言うお姫さま。

 一枚ずつ羽根布団をはぐように、恋を知り、世間を知っていくカホコ。母親から恋愛相手を否定され、「ママの言うことを聞いていればいいのよ」と言われた時、初めて反乱を起こす。

 毎回ドラマの中で、教育だったり、家庭だったり、何かをぶち壊していく遊川作品。今回の破壊対象は「親子」であり、それぞれの「自分」か。過保護にされてる子供、過保護にしてしまう親、みんなまず「自分」を壊さなきゃって物語。

「黙れ黙れ黙れ黙れ! うるさいうるさいうるさい!」と、母親にキレたカホコの早口っぷりと滑舌が最高で、改めて過剰な遊川脚本と高畑の相性の良さにしびれる。浮世離れした役が似合うって、そりゃ元ピーターパン(ミュージカル)だしね!

※週刊朝日 2017年8月18−25日号

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