キー局や芸能プロも参戦…VTuber「生き残り戦争」が本格化か?

キー局や芸能プロも参戦…VTuber「生き残り戦争」が本格化か?

■年末のコミケでもVtuberブースは大人気

 YouTuberブームも一段落し、定番コンテンツとして一般化しつつある昨今では、人気YouTuberがCMやテレビ番組に出演することも珍しくなくなってきた。そんな中、昨年あたりから爆発的に話題になっているのが「Vtuber」だろう。要はアニメやCG、イラストなどのキャラクターが動画コンテツの中で話したり、動いたりする。2016年に「キズナアイ」というキャラが登場して以降、徐々に増え始め昨年に本格的にヒットした。現在、実に6000人以上のVTuberがいるという。

「ファンの間では2017年からすでに大人気だったVTuberですが、昨年はオタク系コンテツと親和性のないと思われていた企業も本格的に参入し、大爆発したという感じです。昨年末のコミケでも、多くのVTuberたちをバーチャルタレントとして扱っている支援プロジェクト『upd8(アップデート)』のブースなどには黒山の人だかりができていました。ブームに日をつけたキズナアイが、日本政府観光局(JNTO)の訪日促進アンバサダーになるなど、ファンコミュニティーの枠から飛び出した活躍を見せています。また40億円規模のVTuber投資プロジェクトを開始したグリーをはじめ、エイベックスやバンダイ、ロード、スクウェア・エニックスなどさまざまな企業が参入しています」(IT情報誌の編集者)

 こうした動きに目をつけて、苦境が続くテレビ局もVTuberをテレビ番組に起用し始めた。例えばテレビ東京の番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」はVTuber特集を放送、同番組でキャスターと務める相内優香アナをバーチャルタレントとして登場させた。さらに、TBSが人気フリー素材の『いらすとや』を使って、自社が運営する動画ニュースサイトの放送を開始したことも話題となった。それ以外でも、「サンデージャポン」(TBS系)にキズナアイがコメンテーターとして出演したほか、電脳少女シロが、テレビ東京の特番「マツコ監禁〜100人の愚痴を聞く〜」(2018年5月19日放送)に出演するなど、話題に事欠かない状態だった。

「関西の朝日放送ではVTuber事業を立ち上げ、オーディションも開始しました。同局ではそれ以前から各番組で積極的にVTuberを取り上げてきており、放送局が手がける新しいビジネスとして注目しています。同局では現在、放送外事業への投資を進めており、その施策の一環ですね。ただ、面白い動きだとは思いつつ、正直、社内ではそれほど注目を受けていないようです。こういう企画に関しては、放送局がこれまでできなかったような、際どいこと、生身のキャスターではできないコンプライアンスギリギリの正論などをしっかり配信していけたら面白いのではないのかなと思っています。例えば、番組公式ツイッターや一時期のご当地キャラのような感じで、放送では言えないことや、極私的なことまで出せると爆発する可能性もあると思います」(在阪テレビ局ディレクター)

 一方、前出のIT情報誌の編集者は「過当競争に陥っている」と、一過性のブームに終わってしまうのではと心配する。

「昨年、急激な勢いでブームの火がついてしまったため、しっかりと文化が定着する前に数が増えすぎて、キャラクターの差別化ができずにいる。いくらブームになったとはいえ、今はまだアニメファンや3DCGファンたちだけが注目している市場です。一般人への見せ方が作り上る前にテレビに進出しても果たしても、世間は理解できるかどうか……。このままでは一過性のブームで終わってしまうことと危惧しています」

■20年前のバーチャルアイドルもVtuberで復活

 テレビの企画的には目新しさがあるものの、今後の展開で鍵になるのは多面的なビジネスをどう作り上げて、ブームをしっかりと下支えできるかのようだ。

「ある程度の知識と技術があれば1人でも運営できてしまうのがVTuber。ですから動画の再生数で広告費や企業タイアップを稼ぐというのは、パイの食い合いになってしまう。一番人気のキズナアイも、チャネル登録者数に対して実は再生数が低いんです。従来のYouTuberのビジネスモデルではなく、マルチチャネルな収益モデルを作らないといけない。例えば、初音ミクのように歌を歌わせる、ボカロPのように楽曲をつくる、二次元のイラストビジネスなどなど、IPビジネスにつなげるなどでしょうか。そういった意味で、そこまでビジネスが描ける大手企業、特にレコード会社やゲーム会社などはまだやる意味があるかもしれません。さらにテレビ局も、アニメキャラクターや番組のキャラクターなどでブームを作ってきた過去がある。今挙げた例はすでに誰もが考えていると思うので、さらにここから新たなビジネスプラットフォームを作れるかが定着への鍵になってくるでしょう」(広告代理店社員)

 テレビ局や芸能事情に詳しい、テレビウォッチャーの中村裕一氏はVTuberの行方についてこう見る。

「20年以上前、芸能事務所のホリプロが『伊達杏子』というバーチャルアイドルを華々しくデビューさせましたが、当時のCG技術の限界もあって、決して成功とはいえない結果に終わりました。しかし現在、伊達杏子の娘である『伊達あやの』がVTuberとして2月にデビューを控え、クラウドファンディングで200万円ほど集めており、“母のリベンジ”なるか注目が集まっています。ただ、美少女キャラや女子アナもいいのですが、せっかくテレビ局が参戦するのであれば、今のテレビを支えている中高年の視聴者層をターゲットにしたオジサン&オバサンVTuber、さらには、すでに始まっている高齢化社会に対応した高齢者VTuberを起用するなど、大胆かつ腹をくくった施策が突破口になると思います」

 2019年はさらに加速することが予測される動画業界。ますますテレビとの融合がすすむのか、それともブームが去ってしまうのか。その行方を注視したい。(ライター・黒崎さとし)



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