Charaに3人目の子!? 新譜で示した“妊婦のおなか”

Charaに3人目の子!? 新譜で示した“妊婦のおなか”

 アフロ・ヘアに真っ赤なルージュ。見る者をジロリとにらみつけるCharaの新作『Baby Bump』のカヴァー写真に思わずドキリ! 今年でデビュー28年、51歳。ハスキーなウィスパー・ヴォイスによる切ないバラード・アルバムかと思いきや、ダンス・ミュージックが満載。予想を見事に裏切られた。



 CharaのルーツはR&B/ソウル、ファンク・ミュージック。ダンス・ミュージックは原点回帰とも言える。過去の作品やライヴに参加してきたヒップホップ・バンドの韻シストのTAKU、プロデューサーでマルチ・プレーヤーのmabanuaらをゲストに迎えて共演。かつてのディスコ・シーン、その後のクラブ・ミュージックへの変遷を知る彼女の、冷静で周到な視線もうかがえる。

 Charaは高校時代にアマチュア・バンドでキーボードを手伝い、失恋をきっかけに初めて曲を書き、歌い始めたという。バイトをしながらバンド活動を続けるうち、デモ・テープが認められて1991年にシングル「Heaven」でデビュー。翌年に出したセカンド・アルバム『SOUL KISS』が日本レコード大賞ポップス・ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞に選ばれた。

 当初はJ―POP寄りのスタイルだったが、4作目『Happy Toy』から独自性を強めた。岩井俊二監督の映画『PiCNiC』(96年公開)に出演。ここで共演した浅野忠信と結婚する(その後、2児を得て離婚)。同じく岩井監督の『スワロウテイル』(同年公開)では主演し、YEN TOWN BAND名義の劇中歌「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」がオリコンのシングルチャート1位に。日本アカデミー賞優秀主演女優賞も受賞した。

 翌97年には、ソロ名義の「やさしい気持ち」を含むアルバム『Junior Sweet』がミリオンセラーを記録。オリコン1位となり、幅広く注目される存在となった。

 デビュー25周年を迎えた2016年にはベスト盤『Naked & Sweet』を発表。この初回限定盤には、94年の日本武道館公演の最中に泣き崩れてステージを中断し、怒りをぶちまけた姿をとらえた映像特典がつき、話題になった。

 音楽をやることが日常で、音楽をやっていないと日常のバランスが取れないという彼女は、精力的に音楽制作に取り組んできた。

 本作のアルバム・タイトル『Baby Bump』には、妊婦のおなかのふくらみという意味もある。Charaは、モデルや女優をしているSUMIRE(菫)、音楽活動をしているHIMI(緋美)に続く3番目の子が欲しいと願っていた。タイトルには、音楽との間にできた子どもという意味合いも込めたという。

 アルバムの幕開けは、アレンジャーのGakushiにサウンド・プロデュースを委ねた「Pink Cadillac」。P―Funkをはじめ、90年代のファンク・サウンドを下敷きに、トーク・ボックスもフィーチャーした豪快でワイルドなファンク・サウンド。それとは対照的な、ウィスパー・ヴォイスによるラップ風のヴォーカルを絡めたのが聴きどころ、狙いどころだ。ゴージャスでアメリカン・リッチのシンボルとも言える“ピンクのキャデラック”への憧れを込めている。

「Chocolate Wrapping Paper」は、ギターでも参加のTAKUとの共作。マルチ・プレーヤーのTENDRE(河原太朗のソロ・プロジェクト)に制作を委ねた。ソリッドなベースやキーボードをバックに、“チョコレートの銀紙みたいに 剥がれちゃうの?”と思いつくままの言葉を歌詞にした。Charaの奔放なリリック・センス、年下の彼を見守る甘いヴォーカルが光る。

 表題曲の「Baby Bump」は大阪のSeihoがトラックを制作。英語詞はレイ・マストロジョバンニ。アンビ・テクノ風の軽快でポップなサウンドだ。

「愛のヘブン」はCHARAが22歳頃に書いたという。CHARAがゲスト参加したこともあるLUCKY TAPESの高橋海がサウンド制作。ポップなサウンドと甘い歌声にコーラスが絡む。

「Twilight」はTENDREとの共作。70年代のスライ&ザ・ファミリー・ストーン風のグルーヴやAOR的テイストのサウンドをバックに、切ない歌声を聴かせる。「Cheek to Cheek」は、打ち込みではなく“生”なゆったりとしたバンド・サウンド。ラップを織り交ぜたCharaの歌の説得力、“真っ直ぐに生きて 傷つくの好きよ”という歌詞にひかれる。

「Cat」の歌いぶりは年相応の落ち着いたたたずまい。“愛を身籠もれば”という歌詞が登場する。「赤いリンゴ」はChara自身が制作を手がけた。HIMIがギターで参加。秘めた恋心を明かした切ないラヴ・ソングだ。SWING―Oとの共作「Everybody Look」ではプリンスへの敬愛ぶりがうかがえる。

 アルバムを締めくくる「小さな愛の工場」は、自身の足跡を踏まえたステートメント・ソング。“私は美しい物をほお張りたいだけ 光と影を 味方につけて”というつぶやきが大きな余韻を残す。

 若いミュージック・クリエーターに刺激され、渡り合いながら、“息子たち”のような彼らをしっかりと受け止める“母”としての包容力。これまでありのままの自分をさらけ出してきた彼女が、本作では甘さだけでなく深みを増したウィスパー・ヴォイスを聴かせる。これまでの歩みへの自負、誇りを秘めつつ、今、あるがままの姿、新たな一歩への意欲を物語る傑作だ。(音楽評論家・小倉エージ)


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