「勇者ヨシヒコ」「銀魂」ヒットは“ヨメ”のおかげ? 福田雄一が明かす

「勇者ヨシヒコ」「銀魂」ヒットは“ヨメ”のおかげ? 福田雄一が明かす

“コメディーの奇才”として映画やドラマ、舞台など幅広い分野で活躍される福田雄一さん。映画「銀魂」をはじめ、次々とヒット作を連発する売れっ子ですが、その裏には“鬼嫁”の存在がありました。作家の林真理子さんが迫ります。



*  *  *
福田:お嬢さまで、社会人経験がなくて、「そんな会議、出なくていい」みたいなことも平気で言います。僕は、「在宅ヤクザ」って呼んでるんですけど(笑)。

林:でも、しょうがないですね。愛しちゃってるから。奥さん、福田さんのタイプど真ん中なんですって?

福田:そうなんです。身長150センチ足らずで童顔で、ガチなタイプなんですよね。僕のほうからガーッといっちゃった結婚なんで、ヨワいんですよ。僕が30歳で、彼女が大学生のときに結婚しちゃって。

林:でももしかして、奥さん、ミューズ(女神)かもしれないですよ。

福田:うーん、彼女は、ワガママを言ってるのか本気で言ってるのか、わからないことがけっこうあるんです。ドラマとか映画の仕事が順調に来るようになって、波に乗ってたときに次男を妊娠したときも、「生まれる前の2カ月と生まれたあとの4カ月、完全に仕事を休んでください」って言われたんですよ。

林:売れっ子の波が来てるときに!

福田:それで、8月の終わりにやることが決まっていた舞台の仕事以外全部お断りするようにしたんです。「書き仕事もしちゃダメ。打ち合わせも一切ダメ」って言われて。

林:えー! それもダメなんですか。

福田:はい。書くこともなくなっちゃったから、朝からテレビ見るしかないんですよ。そして毎晩、てっぺんぐらいの時間(午前零時)になるとお説教タイムが始まるんです。

林:コ、コワそ〜(笑)。

福田:「あなたの最近の仕事の仕方が気に入らない。あんたみたいなクソ作家が、映画とかドラマを並行しながら書いていて、それをやらされる役者が可哀想だ」という話を毎晩するんです。だけどそれは自分にも若干思い当たるフシがあって。そのとき唯一決まってた仕事が、テレ東の深夜枠の「勇者ヨシヒコと魔王の城」(2011年)だったんです。時間もあるし、研究を兼ねていろんな深夜ドラマを見てると、「予算がないんだから、こんなのしか作れないのはあたりまえです」みたいなドラマばっかりで、沸々と怒りが湧いてきて。そんな怒りや不満もぶち込んで考えた企画が、「勇者ヨシヒコ」だったんですよ。全12話、脚本も監督もやったこのドラマがバカヒットして、そこから今のような仕事がいただける流れになったんです。

林:スゴイ……。じゃあ奥さんの言うことは正しいじゃないですか。

福田:結果的には(笑)。彼女はそんな説教をしながらも、「あれ(「勇者ヨシヒコ」)をはずしたら“福田雄一は消えた”って言われるな」とか、ひどいことを言うんです。だから必死でした。あの産休がなかったら今はないなと自分でも思います。

林:お話を聞いてると、だんだんいい奥さんのように思えてきました。福田さん、お酒も一滴も飲まないんですよね。家族でおいしいものを食べに行くとかは?

福田:そんなにないんですよ。うちのヨメは出無精で、しかも料理しないから、店屋物をとるしかないんです。ココイチのカレーとか(笑)。

林:お子さんたちのお弁当とかは?

福田:僕が作ります。朝10時ぐらいに駅前のスーパーで総菜を買ってきて、ごはんを炊いて弁当箱に詰めて、昼前に学校に行って、廊下のフックにお弁当を引っかけて帰ってくるという生活を長くやってました。

林:まあ、こんなにお忙しいのに。

福田:でも、休み時間に学校に行くと、すごい勉強になるんですよ。というのは、子どもがいま何をおもしろがってるかが、休み時間に行くとわかるんです。子どもが映画やドラマの主題歌を歌ってる作品は、めちゃめちゃ当たるんです。

林:なるほどねぇ。だけど、そんなにポジティブに考えられるということ自体、素晴らしいことですよ(笑)。ふつうは「なんで俺が弁当作って学校にぶら下げに行かなきゃいけないんだ」ってなりますよ。

福田:どんだけしんどくても、おもしろがっちゃうところがありますね。それに僕、めんどくさい人が大好きなんですよ。ちょっと嫌われがちな人を「おもしろいな」と思っちゃうタイプで、一見完璧そうな人の欠点を探すのとかも大好きなんですよね。

林:お子さんたちも、パパのこと尊敬してるんでしょうね。

福田:長男はいま高校生で、ロサンゼルスの学校でミュージカルを専攻してます。僕と同じ世界にいるので、ある程度尊敬してくれてると思うんですけど。彼の最終目標はたぶん、ブロードウェーミュージカルのプロデューサーになることだと思うんです。「ブロードウェーのプロデューサーになって俺を呼べ」といつも言ってます(笑)。

林:それが実現したときは、奥さんも「やるじゃん」って褒めてくれるんじゃないですか。

福田:さあ、今まで一回も褒められたことないですからねえ……。

林:でも、ここまでくると、褒められたら悲しいかもね。二人とも90歳ぐらいまでお元気で、日だまりの中で奥さんが「頑張ったじゃない、あなた」という感じで、このラブストーリーが終わるんじゃないですか。

福田:であってほしいですね(笑)。僕、ドMではないんで、ヨメにコキおろされてるときはほんとにつらいし、殴られてるときも痛いしイヤだなと思いますけど、結果的に正しい方向に進むことが非常に多いんです。

林:うちの夫はそこまでひどくないけど、私が朝8時半ぐらいに仕事に出かけたら、「宅配便が4回来たぞ。なんで仕事に行く時間を遅らせられないんだ」って平気で言うんですよ。

福田:アハハハ。うちのヨメは、キャスティングにもめちゃめちゃ口出してきます。「銀魂」(17年のドラマ)のキャスティングも、ほぼヨメが決めましたし。

林:それってすごくないですか。

福田:僕があまり知らない俳優さんでも、ヨメが「絶対この人しかいない」って譲らなくて。それでプロデューサーに「ヨメが譲らないんです」と言ったら、「じゃあ勝負しましょう」ってなって決めて。

林:でも、プロデューサーに「うちのヨメが言ってるので」って言うのって、かなり勇気がいりませんか。

福田:僕の周りはみんな、ヨメが主導権を握ってるのを理解してるんで(笑)。僕自身、ヨメに怒られた日は明らかにテンションが低いんです。スタッフも「奥さんが納得しないと、福田さんも乗れないから」みたいな。

林:そうなんですか……。

福田:だって撮影中、「あのキャストにしなかったら、ぜんぜんおもしろくならねえだろ!」みたいなことをずーっと言われ続けるんです。その苦痛に耐えるよりは、ヨメの言うようにしちゃったほうがいい(笑)。

林:芸能界に興味ないのに、奥さん、直感的にわかるんですね。もはや巫女みたいな感じ……。

福田:ほんとコワいです。でも、人前に出ると100点なんですよ。しおらしく「いつもお世話になっておりますゥ」って感じで。誰かが「おウワサはかねがね……」と言っても、「いえいえ、あれは全部ウソなんですよ。パパが笑い欲しさにいろいろ言っているようですけど。ホホホ」って言うのが彼女の決まり文句。そして帰りの車の中で怒り心頭(笑)。

(構成/本誌・松岡かすみ)

※週刊朝日2019年1月25日号より抜粋


関連ニュースをもっと見る

関連記事

おすすめ情報

AERA dot.の他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

いまトピランキング

powered by goo いまトピランキングの続きを見る

エンタメ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

エンタメ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索