3月いっぱいでジャニーズ事務所を退所します――。

 2月21日に、自ら仕切った記者会見でそう発表した中居正広さん(47)。新会社を設立し、独立するという。開始時間より早く会場に現れた中居さんは、「フラッシュの点滅にご注意ください」と書かれた札を自ら掲げ、事前のカメラテストにも応じた。「中居正広セルフプロデュース」の記者会見には、中居さんのまじめで誠実な人柄と覚悟が表れていた。



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 記者会見といえば、まずは司会者や事務所スタッフが注意事項を説明し、準備が整ってから会見する本人が登場するのが普通のやり方だ。だが、

「僕はずっと先にいた方がいいと思ってました」

 と切り出した中居さん。

「登壇者が最後に出てくるのって、暗黙のルールなんですか?」

 そう記者たちを笑わせ、文字どおりルールや型に縛られることなく、記者会見を仕切った。

 退所を考えたのは、「SMAPが解散したとき」。

 SMAPの解散報道が出たのは2016年1月。さまざまな憶測を呼んだのち、7カ月後の8月14日に、ジャニーズ事務所が同年末でのSMAP解散を正式発表した。そのとき、中居さんはこうコメントしている。

「ファンの皆様、関係各位の皆様、我々SMAPが解散することをご報告させて頂きます。ご迷惑をお掛けしました。ご心配をお掛けしました。お世話にもなりました。このような結果に至った事をお許しください。申し訳…ありませんでした…」

 SMAPという、芸能界の枠を超えた国民的グループの解散。リーダーとしてその渦中にいた中居さんにとって、グループ解散がその後の人生観や仕事観に影響を及ぼす出来事だったことは想像に難くない。

 解散後の3年間について、21日の記者会見ではこう話している。

「決断、判断、間違ったのか正しかったのか、自分でも問い正すことはあるけど、何が間違ってて正しかったのか、それはこの3年の間で繰り返し考えることはやっぱりありましたよね」  

 一部では稲垣吾郎さん(46)、草なぎ剛さん(45)、香取慎吾さん(43)の「新しい地図」に合流するという報道もあったが、「基本は一人で、どこかの傘下に入ることも全くないです」。会見では、「一人」という言葉も多く飛び出した。 

「今回の決断は、どなたにも、一人も話してないです。自分一人で決めました」「今のところマネージャーもいなくて、社員も一人もいないです」      

 2月19日、自身の父の命日に合わせて登記したという新会社の名前は「のんびりな会」。だが、キャスター、司会業と幅広く活躍してきたこれまでの中居さんに、「のんびり」のイメージはない。1994年、中居さんが21歳のときのインタビューでも、こう答えている。

「休んでなんかいられない。働いていない方がかえって体がむずむずするんです」(朝日新聞1994年8月3日付夕刊)

 25歳で、NHK紅白歌合戦の「最年少」白組司会者となり、その後も通算6度、司会を務めた。映画「模倣犯」「私は貝になりたい」のほか、ドラマ「ナニワ金融道」「白い影」「砂の器」「ATARU」などで主役を務め、俳優としての評価も高い。SMAP解散後も、「中居正広のニュースな会」や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」などの冠番組を持ち、変わらぬ活躍を続けてきた。

 だが記者会見で、「解散してちょっとひと段落というか、僕自身もちょっとのんびりする時間」ができ、心境にも変化が現れたと中居さんは話した。20代や30代のときにあった「ギラギラ、よだれが出る感じ」が、湧き出てこなくなったという。

「それで半年から1年経って、2年すぎたとき、そろそろちょっと考えないといけないなと」「今までお世話になった会社を辞めてでも環境を変えないといけないなと思った」

 元SMAPのメンバーには報告したのかという質問には、

「昨日4人には報告しました。みんな(反応は)それぞれで、どんな内容かは言いませんけど」

 と正面から答え、「SMAP再結成」についての質問にも、

「ゼロではない。100パーセントないとは言えない。一人では決められないけど」

 と逃げなかった。

 2013年、40歳の中居さんはAERAのインタビューで「ご自身から見た『中居正広』はどんな人でしょう」と問われ、「うーん。僕が分析する僕ですか……。言えないですねぇ」と逡巡したうえで、こう答えている。     

「自分のことは自分ですごくわかっています。でも、そのチャックはまだ開けたくない。隠すわけではないのですが、中居正広が『中居正広』を話すのはまだかなぁ。もうちょっと、時間がかかりますねぇ」

 独立し、新しい扉を開くことで自ら「中居正広」を語る日はくるのか。同じインタビューで、中居さんは、「年を重ねることに抵抗は?」と問われ、こう答えていた。

「仕事だとやっぱり、しんどいなというのもいっぱいあります。でも楽な仕事よりも、プレッシャーを感じて『いくら準備しても太刀打ちできない』と思ったもののほうがあとで評価されたりする。僕は汗をかく、恥をかく、ものを書く、ということを意識しています。もう恥をかきたくない年齢ですが、新しいことをやって、しっかり恥と汗をかかないと成長しない」
 
 これから中居さんがどんな「新しいこと」を始め、どんな「汗」をかくのか。その報告を楽しみに待ちたい。(アエラ編集部)

※AERAオンライン限定記事