漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「麒麟がくる」(NHK総合 日曜20:00〜ほか)をウォッチした。



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「いだてん」がアバンギャルドすぎたせいか、「原点回帰」を謳(うた)う今季の大河。タイトルバックに使ってるフォントも、どこかノスタルジックで武骨な明朝体だ。

 そしてキャスト名より先に出てくる「指導」の多さ。殺陣武術指導に始まり、所作、馬術、兵法あたりに「うんうん」うなずいてると、書道、茶道、華道、水墨画、仏事、将棋、囲碁、双六ほか。大河としての初心に帰るためなのか、指導に次ぐ指導の圧迫はんぱない。

 そんなビンテージスタイルの中、めっちゃ令和なのがドローンドローンまたドローンなパノラマ映像。そして4Kフル撮影の画面は目がハレーションを起こすほどのビビッドカラーだ。

 なんせ織田信秀(高橋克典)が立ちションしてるシーンだって、しぶきが宝石のごとくきらめいてたから。これぞ4K初フルキラキラ立ちションだから。

 とにかく色彩へのこだわりなのか、登場人物の衣装もそれぞれイメージカラーが決まっている模様。

 主人公の明智光秀(長谷川博己)は緑(&青)。織田信長(染谷将太)は黄(織田家の旗印も黄色)。のちの家康、松平竹千代(岩田琉聖)は赤の水干姿(宣伝ポスターを見ると、家康役の風間俊介もやはり赤の着物をまとっている)。

 緑、黄、赤という、まさに戦国信号機。黄色でもアクセル踏み抜きそうな信長に、鳴かぬなら、手を挙げて横断歩道を渡ろうよな光秀。そして家康は赤信号待つよね。チャンスが来るまでストップするよね。

 いつも緑な光秀が、織田家のおひざ元・尾張に潜入する時は、ちゃんと黄色い着物で変装(腰に緑の手ぬぐいでさりげなく自己主張)しているところとか、なかなか細かいのだ。

 物語はまだほとんど序章だけど、これから人間関係がどう展開していくのか、カラーチャート的に考えるのも味わい深い。

 例えば斎藤道三(本木雅弘)。この大河ドラマ道三史上最高にイケメンでハゲてなくて、ヒゲともみあげ控えめで腹黒い男のカラーは黒および銀鼠(ぎんねず)。

 そして大河ドラマ信長史上最高に丸顔(まぁ緒形直人も丸かったけど)で、黄色の(刀の柄だけピンク)サイケデリック信長。

 この黒と黄色が出会ったらもう、どんなヤバい工事現場になるのか、阪神タイガースな猛虎魂なのか。今からわくわくしかない。

※週刊朝日  2020年4月3日号