新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、いわゆる“3密”を避けようと、自粛の波が広がっている。それはアイドルたちにとっても同じだ。



 ジャニーズ事務所は4月14日、5月15〜16日に新国立競技場で開催予定だった「アラフェス 2020 at NATIONAL STADIUM」の延期を発表した。同時に、他のグループも含めて5月31日までの公演の中止、延期も決めている。

 嵐といえば2019年1月、ファンクラブサイトで「2020年末でのグループの活動休止」を発表している。ライブ活動などが大幅に制限される現状を踏まえ、ファンの間では嵐の“活動休止の延期”を望む声も出始めている。ツイッター上では、「嵐の活動休止も延期になりませんかね」「あなた達の優しい笑顔がもっと見たいです」などの声があがっている。

 一方で同じ嵐のファンでも、休止の延期を望む声に対して、否定的な意見も目立つ。

「嵐みんなにも、それぞれの人生があって、みんな悩んで結論出して、この一年を全力で走ってる!!休ませてあげて欲しい!!」「やめてくれよ!嵐がどれだけの覚悟をもって休止を決めたか」「どんな思いで彼らが活動休止の結論を出したと思ってんの。」(ツイッターより)

 “否定派”の意見も「メンバーが出した結論を尊重しよう」と嵐を思うがゆえの考えなのだろう。1990年までジャニーズ事務所に所属し、アイドルグループ「CHA−CHA」の元メンバーである木野正人(51)も、「気持ちを整理するのは簡単ではない」と嵐の5人の心中を推し量る。

「もちろん嵐の5人が納得したうえで活動を延長できるなら、それにこしたことはないよね。でも、一度決めたゴールを先延ばしすることに、メンバーが『気持ちの整理がつかない』可能性もあると思う。彼らはアーティストだから、自分の気持ちに嘘をついて活動を続けてもよいものは生まれない。それは今までファンが応援してきた“嵐”とは別の何かになってしまうから。それではファンも喜べないし、彼らもプロだからこそ、そこは妥協できないと思う」

 木野は86年にジャニーズ事務所に入所。田原俊彦(59)のバックダンサーとして活躍しながら、88年に、萩本欽一が司会のテレビ番組「欽きらリン530!!」(日本テレビ系)で結成された「CHA−CHA」(92年に活動停止)で、タレントの勝俣州和らとともに活動した。木野は当時をこう振り返る。

「生放送とか歌番組がたくさんあった時代だったから、あの時は本当に忙しかった。嵐に比べれば全然たいしたことはないけど(笑)。『CHA−CHA』のコンサートツアーとトシちゃん(田原)の10周年ツアーが重なって、年間で120本くらいステージに立っていたんだ。その他にもテレビやラジオに出演したり、握手会とかもあった。その時はさすがに『休みたい』と思ったよね。3日に1回は飛行機に乗っていたから、当時『マイレージサービス』があったら、たくさん溜まっていたんじゃないかな(笑)」

 そんな木野にも“決断のとき”が訪れる。「CHA−CHA」でのバラエティー色の強い仕事をこなしていくなかで、「パフォーマーとして力をつけたい」という思いが強くなっていく。90年にジャニーズ事務所を退所し、単身アメリカでダンスを極める道へ進んだ。故・ジャニー喜多川氏からは反対されたが、迷いはなかった。

「嵐と比較するのもあれなんだけど(笑)。でも、もし当時『あと1年だけCHA−CHAを続けて』と言われて、ファンがそれを望んだとしても『ごめんなさい』としか言えなかったと思う。僕が違う未来を見ている時点で、もう僕はそれまでの『CHA−CHAの木野正人』ではなくなっている。そんな僕に商品価値はないと思うんだ」

 そして木野は93年に帰国。現在は自身の地元・静岡県藤枝市を中心にライブパフォーマンスを続けている。田原俊彦の振付師でもある。50歳を超えた今も、体脂肪率は驚異の5パーセントだ。体調管理のためにベジタリアンを貫き、お酒も一切飲まないのだという。

 歌唱力を高めるため、これまで週2回、カラオケ店の個室で2時間通しで「踊りながら歌い続ける」ボイストレーニングを続けてきた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で、今後はそれも見直す必要に迫られている。

「毎月やっているファンイベントも中止している。緊急事態宣言は一時はゴールデンウイーク明けまでと言われたけど、そのころに急に状況が良くなるとも考えづらい。6月20日にライブを予定していたんだけど、それも見直さないといけない。こういう時こそ、アーティストとして元気を与えたいけど…。先が読めないことが歯がゆいね。でも、今はオンラインでなんでもできる時代。アーティストとして、今できることをしたい」

(AERA dot.編集部/井上啓太)