数々のドラマに出演してきた玉木宏さん。今度は復讐のために裏社会で生きる男を演じる。作品について、そして今年40歳を迎えた自身のこと、後輩との関係性やオフの過ごし方などについても語ってくれた。2020年5月4日−11日号の記事を紹介する。

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ドラマ「竜の道 二つの顔の復讐者」は、養父母を自殺に追い込んだ男への復讐を誓った双子の兄弟を描いたサスペンスドラマだ。玉木宏(40)が演じるのは、整形して他人の戸籍を奪い、裏社会でのし上がる双子の兄、竜一。弟の竜二(高橋一生、39)はキャリア官僚として出世し、兄弟は裏社会と表社会から復讐の機会を狙う。

 このドラマのお話をいただいたときは、嬉しかったですね。一生さんはお芝居がすごく上手な方ですし、これまで同世代の男性と兄弟役でがっつり一緒にやることはなかったので。しかも双子という。

 原作(白川道『竜の道』)を読んだときは正直、映像にするのは難しいと思いました。でも台本をいただいたらすごくいい感じでまとめてくださっていて。復讐をテーマにしたドラマはよくありますが、今まで見たことがないようなものに仕上がるのではないかとワクワクしています。

 同じ目的を持つ竜一と竜二だが、異なる人生を歩む中で足並みに乱れが生じていく。

「二人で一つ」と言いつつ、周囲の人によって惑わされたり、決断するときに迷いが生じたり……。でも、それは当たり前ですよね。人は人との関わり合いの中で変化していくものですから。竜一は顔も戸籍も変えるほど強い復讐心に燃えているけど、計画は思うようには進まない。そういう生っぽい人間らしさはこの作品においてすごく大事だし、演じる上で重要になる部分だと思っています。

 竜一と竜二には血の繋がらない妹、美佐(松本穂香、23)がいますが、竜一は犯罪に手を染める一方で、美佐を守りたいというすごく優しい気持ちも持っている。その振り幅は大きな魅力です。もちろん復讐はいいことではありませんが、その裏にある心情もしっかり描かれています。敵役の遠藤憲一さん(58)が悪く映れば映るほど、僕らを応援してくれる人が増えると思っています(笑)。

 竜一は強烈な業を背負った男だ。役に入りすぎて憂鬱になることはないかと尋ねると、玉木はさわやかな笑顔で「まったくないです」と即答した。

 竜一は、ある意味で想像しやすい人物です。ここまで強烈な作品だと、自分の実生活と切り離して、想像力を飛躍させることができます。誰かの戸籍を奪う経験なんて、現実ではないですからね(笑)。逆にフラットな日常を描いたもののほうが難しいかもしれない。だから、今回はこのドラマの世界に没頭して楽しんで演じようと思っています。それに、映像作品は撮る順番もバラバラですし、プラモデルのパーツみたいなもの。その瞬間、瞬間で集中して演じますが、カットがかかってしまえばもう「普通」。それは昔からそうですね。

 玉木は1月に40歳の誕生日を迎えた。年齢的な節目を意識することはないが、現場で求められる役割には変化を感じるようになったという。

 主演を任されることで責任感は増えます。自分のお芝居だけではなくて、俯瞰で現場を見ていかないといけないとか。でも、僕が気をつけているのは「みんなで楽しく撮影をする」ということくらいなんですが。ふわ〜っと現場にいて、誰かが喋ってたら自然と交ざったり。楽しいのが一番大事だと思うんです。本来ならみんなで飲みに行く時間も大事にしています。後輩であってもあまり気を使ってほしくないので、縦の関係性を崩していったりしています。一生さんとは同世代だし共通の友人もいるので、改めて話したいですね。ただ、撮影中にあんまり馴れ合いすぎるのもどうかな、という気持ちもあります。

「人が好き」だと言う。いくつになっても人への好奇心をなくしたくない。

 自粛前は仲間と食事してお酒を飲んで、早く帰ろうと思っていたけど気づいたら朝6時だった、みたいなこともよくありました(笑)。“仲間”はこの業界じゃない人のほうが多いです。趣味で出会った人とか、仕事の「外」で出会った縁も大事にしたいと思っているんです。まったく違う経験をしながら人生を歩んできた人と出会うこと自体が楽しいし、話を聞くとさらに面白い。俳優はあらゆる職種を演じなければいけませんから、そんな出会いが役に立つこともあるかもしれない。いくつになっても守りに入らず、好奇心旺盛な自分を残しておきたいんです。いつも敏感にアンテナを張っていたい。

 常に自分のほうが面白いことをやっているぞ、と思えるような人生の楽しみ方をしたいですね。だから40歳はあくまで通過点。50代、60代になったとき、もっと大きな自分になっていたいんです。

(構成/ライター・大道絵里子)

※AERA 2020年5月4日-11日号