子どもへの愛はある…専門家に聞く「認知症の親」への孝行とは

子どもへの愛はある…専門家に聞く「認知症の親」への孝行とは

 親への感謝を伝えること、それは自身が年を重ねるごとに強まる思いだ。しかし、親が認知症になってしまったら、薄れゆく記憶の中で何をしてあげられるのか。筑波大学准教授で精神科医の高橋晶さんに聞いた。

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 多くの人は、年を取ると、性格が先鋭化します。頑固だった人はさらに頑固に、慎重だった人は融通が利かなくなる。話もくどくなり、子どもはいらだちを覚えることもあるでしょう。

 親が認知症になると、外見は今までどおりなのに、中身が違ってしまったことで、子が喪失感を味わうことがあります。「理知的で聡明なお父さん」が子ども返りをしたような姿に子は傷つき、悲しむのです。

 認知症になる親にも、今までできたことができなくなっていく喪失感がある。親としてのプライドは残っていて、現実と夢の区別がつかなくなる。ただ、認知症が進行しても、親の心の中には「子どもを愛している」という感情は残っています。

 認知症のケアの一つに「回想法」があります。本人に自分の人生を振り返ってもらい、誕生から少しずつ話してもらうという手法です。これで元気になる方が多くいます。遠い目で「あのときはつらかったんだよ」なんて言いながら、喜んでいる。

 親が認知症でなくても、子が親に回想法をすれば、親孝行になると思います。家族が聞いてそれを書きまとめる。家族が親の人生に感謝と尊敬の意を示す、子が親の人生を肯定してあげる行為です。

 親が遠方で独り暮らしをしているなら、頻繁に連絡をしましょう。電話もなく、孤立感が強まると、具合が悪くなります。抑うつ状態にさせないためにも「自分は誰かの支えになっている」という役割を与えるといいでしょう。無視するくらいなら、心配かけるほうがずっといい。

「あと何回会えるかわからない」──それを念頭に置き、会える日々を大切に過ごしましょう。同じ話を聞かされても、「またその話?」でなく、じっくり聞く。一緒にいてあげるだけでもいい。その時間がいかに貴重か、あとになって実感するときがきっときます。

 認知症の家族の介護をされている人の中には、日々の世話に疲れ、怒ってしまう人もいます。そんな自分を責め、苦しんでもいます。親孝行は100%と考えず、70%ぐらいのつもりでやりましょう。

※週刊朝日 2018年5月18日号

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