PTA退会で「転校されたら?」 それでも改革に乗り出す親たち

PTA退会で「転校されたら?」 それでも改革に乗り出す親たち

「おかしい」と思いながらも、イヤイヤ続けている親も多いPTA。どうやって機能的な組織に変えればいいか。試行錯誤が始まっている。

*  *  *
 東京都国分寺市立第四中学校では現在、PTAのあり方を見直し、加入も活動も自主的に行う新しい形を探っている。会長の和田友佳里さん(42)はこう話す。

「とにかく話してみることが大事。疑問に思いながらも仕方なくやっている人も多い。話してみたら、他の人たちも同じことを思っていて意気投合しました」

 見直しのきっかけは、今年6月の運営委員会のときに、「ここはオフレコで」と言って、役員たち自らが今のPTAへの疑問をぶっちゃけたことだ。

「説明もなくいつの間にか会員になり、多くの委員がクジ引きで決まる現状はおかしい」
「家庭や仕事を犠牲にして、前年通りの活動や形式的な会議を繰り返すのにも違和感がある」

 など、役員たちに呼応して委員たちからも意見がぽんぽん出てきた。その後の展開は早く、全保護者にアンケートを実施し、半数以上が見直しに賛成。翌月の臨時総会では反対意見もいくつか出たが、組織を見直していく方向で話がまとまった。校長は以前に、PTAがない学校を経験しているため、従来型のPTAを改革することに反対はなかった。今は来年度に向け、新組織の形や規約について役員で相談しているところだ。

 変えようという意識を共有していくことに加え、

「変えられるところから変えることも大事だ」

 と話すのは、埼玉県の小学校でPTA会長をしてきた女性(41)だ。まずは広報。コストや手間を考えず、丹念にお金をかけて作り、広報紙の出来栄えを競うコンクールへ出品することが慣例となってきた。だが、それは本当に必要なことなのかを考えた。誰もがその負担を望んでいなかった。業者に発注するのをやめ、学校のプリンターで印刷する形にしたところ、費用は10分の1に圧縮できた。

 運動会の保護者競技もPTAを通じ、各クラスから7、8人出すノルマ制だった。だが、これも不評。毎年嫌がる保護者を説得するのが苦痛という声が多かった。そこで「何人でもOK」にした。「夫婦で出たい」「地方から来る祖父母もいいか」など問い合わせが相次ぎ、参加者が前年の倍近くに増えた。

「こんなやり方はおかしい」と多くの保護者が思っているポイントを、突破口に変える。すると、活動の意義やメリットに気づく人が増え、さらに改革が進むという好循環が生まれるのだ。

学校の外からPTAを変えることに挑む人もいる。兵庫県伊丹市の小学校でPTA役員をする女性(41)は、沈黙して涙ぐむ人まで出る役員決めや活動の負担の重さに疑問を抱き、「委員会制を見直したい」と校長に伝えたが、即座に却下された。

「内部から変えるのは難しい」と感じ、ネットや人づてでたどり着いた議員に相談したところ、市議会で取り上げてもらえた。最近は地元の図書館でPTAについて考える座談会を始め、周囲の保護者も巻き込んでいる。

 退会した立場からPTAを変えるのは、大阪府吹田市の女性(49)。5年前、小学校のPTAのクジ引きで、ある委員長になった。改善に取り組んだが、委員のメンバーはいやいや感に満ちあふれていた。その不毛さに嫌気が差し、翌年退会を申し出ると、「転校されたらどうですか?」などと嫌みを言われた。だが女性はあきらめず、PTA会長や校長が代わるたびに、PTAの本来のあり方について対話を続けた。後にこのPTAでも入会届が導入された。

「勇気を出して、おかしいことはおかしいと言っていくことが大事なんだと思います。無駄に思えるかもしれないけれど、きっと誰かには届いているはず」

 PTA改革に欠かせないもの。それは「変えたい」という強い意志と、思いを共有する仲間だ。(PTAジャーナリスト・大塚玲子)

※AERA 2018年12月10日号より抜粋


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