今春「ダイヤ改正」で消える路線、生まれる路線 それぞれにドラマ

今春「ダイヤ改正」で消える路線、生まれる路線 それぞれにドラマ

 3月は鉄道にとって、大きな変化の季節だ。今年は地道なサービス改善が特徴といわれるが、路線の廃止もあれば、開業もある。鉄道ジャーナリストの松本典久さんが選んだ2019年「ダイヤ改正」ベスト10をもとに紹介する。



*  *  *
 JRが発足して32年。地域の暮らしと経済を支えてきた各地のローカル線は、人口減やモータリゼーションによって廃線の流れが止まらない。今年も消えゆく鉄路がある。

 7位の「石勝線(せきしょうせん)夕張支線(新夕張〜夕張間)の鉄道事業廃止」もその一つ。3月31日にラストランを迎える。

「寂しいです……。中学、高校と毎日乗ってましたから」

 北海道夕張市に暮らし、「ありがとう夕張支線実行委員会」副実行委員長を務める多喜雄基(たきゆうき)さん(66)は、心情を吐露する。

 夕張支線は、古くは「炭都」として栄えた夕張市を走る16.1キロのローカル線だ。1892(明治25)年、夕張炭鉱で産出する石炭の輸送を目的として敷設された夕張線が母体となっている。国鉄の路線となり、1981(昭和56)年の石勝線の開通で支線になった。だが90年、すべての炭鉱が閉山すると、人口が減少し乗降客は激減。1列車の乗客は1ケタないし十数人になった。経営難のJR北海道は16年11月、「単独で維持困難」とする10路線13線区(計約1237キロ)を発表したが、その中で夕張支線は初めて廃止が決まった。地元・夕張市も早くから廃線に同意し、バス転換を打ち出していた。ただ、バスの運賃は最大で2.65倍となるなど、廃線後の交通手段について沿線住民は不安を抱えている。

 そんな中、先の多喜さんたちは昨年4月に実行委員会を結成。この1年間、フォトコンテストや貸し切り列車の運行などを相次いで企画し、廃線を惜しむ全国の鉄道ファンに応えてきた。多喜さんは力を込める。

「最後の日までみんなでがんばります」

 消えていく路線がある一方、新たに生まれる鉄道もある。9位の「三陸鉄道『リアス線』開業」だ。

 リアス線は岩手県の三陸海岸を縦貫し、久慈(久慈市)〜盛(さかり=大船渡市)間、163キロを結ぶ。もともとは運営が第三セクターの三陸鉄道(通称「三鉄」。本社・岩手県宮古市)の北リアス線(久慈〜宮古)、南リアス線(釜石〜盛)と、その間をつなぐJR山田線(宮古〜釜石)に分かれていた。山田線は11年の東日本大震災で被災し、鉄路が途切れていた。この区間の運営を三鉄が引き継ぎ、南北とひとつにすることでリアス線になるのだ。開通は3月23日。

「鉄道の再開は沿線にとって大きな希望であり、復興のシンボルにもなる」(鉄道ジャーナリストの松本典久さん)

 山田線は全国でも有数の赤字路線だった。JR東日本は当初、自治体側に運行コストが低いBRT(バス高速輸送システム)への転換を提案していた。だが、「鉄路を残す」という地元の熱意と、全国の三鉄ファンの支持で廃線の流れを食い止めた。とはいえ、震災後に沿線の住民は減り、三陸沿岸道路の整備などもあって三鉄の経営は決して順風満帆でなく、課題は多い。

 三鉄の中村一郎社長は、リアス線の役割についてこう話した。

「地域の自立や持続的な発展に向けた取り組みはこれから正念場を迎える。その中で、観光を含め交流人口の拡大は大きな課題の一つであり、リアス線開通はその課題を乗り越えていくための一つの契機としたい」

 今年のダイヤ改正も、悲喜こもごものドラマを巻き起こした。(編集部・野村昌二)

※AERA 2019年3月18日号より抜粋


関連記事

おすすめ情報

AERA dot.の他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

生活術 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

生活術 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索