指クッキーに目玉ゼリー…“怪奇菓子”始めた意外なきっかけとは?

指クッキーに目玉ゼリー…“怪奇菓子”始めた意外なきっかけとは?

 指のクッキーに、目玉のゼリー……。そんなお菓子を作る工房が大阪にある。リアルさにギョッとして、食べておいしい。カフェや映画とのコラボにもひっぱりだこだ。



*  *  *
 箱を開けたら三つの目玉と目が合った。おそるおそる一つ口に運ぶ。ひんやりした乳酸菌飲料味の寒天が気持ちいい喉ごし。ケーキ台はしっとりしたガトーショコラ。ほのかな甘苦さとクランベリーソースの甘酸っぱさが絶妙に調和する。

「指が取れたり、血がばーっと出たりするB級ホラー映画にげらげら笑っていたので、そのノリで作りはじめました」

 指クッキーや目玉ゼリーなどホラーテイストのスイーツを制作・販売する「中西怪奇菓子工房。」(大阪府豊中市)のナカニシア由ミさん(40)は笑顔でそう語る。

 短大卒業後、ニューヨークへ渡りトリマーとして働いていたナカニシさんが怪奇菓子を作り始めたのは娘の椛文(かや)さん(10)の「キャラ弁を作って」という一言がきっかけだった。

「キャラ弁、面倒やなと思って(笑)。こんなキャラ弁ならいらないと言ってくれると思ってエイリアン弁当を作りました」

 もともと物作りが好きだったナカニシさん。作ってみたら意外にハマってしまった。もっと驚かせられるのではないかという思いもあいまって、お弁当からお菓子作りへと挑戦は広がった。怪奇菓子第1号は、アーモンドの爪にカシスの血がにじんでいる指クッキーだった。

「『今日のおやつやで』って出したら指だとわかってもらえず、普通にぼりぼり食べられて(笑)。これはもっとリアルにしないとだめだなと」

 粉の配合を変えるなど半年ほど試行錯誤して改良に没頭した。

 ナカニシさんの怪奇菓子は、目玉ゼリーの充血部分はクランベリーソースを注射器で入れるなど、一つひとつがオーダーメイドのように手がかかる。そんな母の姿が、椛文さんの目にはどう映っていたのか。

「『はあ? 何これ?』と思ったけど、食べたらおいしかった」

 当初はフェイスブックにアップしたお菓子の写真を見た友人から「遊びに行こうか?」などと心配されもしたが、友人の誕生日のために作ったケーキが大ウケ。フェイスブックやツイッターで画像がシェアされて話題になった。

 副業としてやっていたが注文が増え、手が回らなくなった。シングルマザーのナカニシさん。自宅でできる仕事がいいと思い、2014年に「中西怪奇菓子工房。」を設立した。

 サンシャイン水族館のホラーイベント、カフェやラーメン店とのコラボ、映画とのタイアップといった多数のコラボも手掛けている。17年公開の映画「東京喰種」では撮影に使う怪奇食材の制作を担当した。

「すごくいい経験でした。毎日目玉を作っていました」

 ネット販売で日本全国から注文があり、ハロウィーンやクリスマスの時期は予約が殺到する。

「看護師さんがお医者さんに配ります、という注文もありました。お客さんの反応が一番嬉しいです」

 新作の構想はあるのか。

「次は目玉ゼリーを使って顔のケーキを作りたいです」

(編集部・小柳暁子)

※AERA 2019年5月27日号


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