宿題は悪影響!? 東大卒ママが経験から語る「宿題をしなくても東大には合格する」

宿題は悪影響!? 東大卒ママが経験から語る「宿題をしなくても東大には合格する」

 うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や5歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。

 この連載が本になりました。タイトルは『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』です。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る「私の育児論」を、ぜひご覧ください。

*  *  *
 かなり前から、子どものなりたい職業にYouTuberがランクインしていますね。

 ママ友と会ったとき、「遠距離の移動中にYouTubeを見せておくとおとなしい」とアドバイスをもらい、タブレットを購入してみたところ、息子も例外なくYouTubeにドはまりしました。なかでも、アンパンマンやライダーのオモチャで遊ぶ動画なんかが好きなようです。

■嘘は嘘であると見抜ける人でないとネットの使用は難しい

 実は私も、今まで興味がなかったのですが、これを機に改めてじっくり動画を見てみたら、なるほど、みんながハマる気持ちが理解できました。自分の見たいものや知りたいものを検索できて、専門家が説明をしてくれたり、消費者が実際に商品を使ってレビューしてくれたりするわけです。

 実用書を要約して説明をしてくれているようなもので、大量の本が無料で読めると考えれば「YouTubeはなんて便利なのだ」と、遅ればせながら感動しました(動画だと数十分と長いものが多いので、ブログ等で文字起こしもしてくれているとさらにうれしいのですが)。

 ただ、2ちゃんねるの創始者として有名なひろゆきさんの有名な言葉、「嘘は嘘であると見抜ける人でないとネットを使うのは難しい」は、当然YouTubeという場所でも頭に入れておくべき言葉でしょう。ちょっと見ただけでも、(自称?)医者だという人が、明らかに誤った情報を、不安をあおるように語っていてビックリしました。

 現在、YouTube内で、以前テレビで活躍されていたメンタリストのDaiGoさんが、「科学的に証明された論文を紹介する」内容の動画を主軸に配信し、非常に支持されているとネットニュースで知りました。

 しかしあるとき彼が、「宿題をやるのは意味がないどころか悪影響」という論文を紹介したところ、その動画に対して、「論文の解釈が誤っている」と指摘する人たちが何人か出てきて、もめた結果、DaiGoさんが後から訂正動画をアップしたそうです。指摘された論文は、かつて私もこのコラムで書いたことがある、デューク大学のハリス・クーパー教授によるものでした。

 要約すると、「小学生には宿題を出してもあまり意味がなく、勉強面でも効果をもってくるのは中学生や高校生になってきてからだった」という内容です。気になるので実際にその動画を視聴してみたところ、「学校は宿題を出すのを禁止して、エビデンス(科学的根拠)をもとに授業の質をあげたらどうか?」というなかなかの毒舌発言をしていました(でも、私もそれに同意ですが)。

 訂正動画では、論文に「宿題は逆効果になることもあるが全く意味がないわけではなく、中高生になるころに学問的な意味が出てくる。結論として宿題に関する研究には限界がある」とも書かれている、といった情報を追加していました。

 過激なタイトルのほうが、視聴回数が上がりやすいという理由もあったでしょう。つまるところDaiGoさんは、見出しと話す内容を小学生の結果のみにフィーチャーしすぎて、全ての「宿題=不要」だととれる発言をし、誤解されやすいと指摘されたわけです。

 そして結局、肝心の「宿題はやったほうがいいのかどうか」という議論に関してですが……ハリス教授が述べたように「研究では効果を調べるのに限界がある」ならば、個々で論理的に判断していくしかありません。

■宿題はやったほうがいいのか、やらなくていいのか

 そこで考えてみると、私はやはり、「別にやらなくていい」派なのです。

 息子が通っている幼稚園では、なんと既に平仮名を練習する等の宿題が出ているのですが、私はあまり提出したことがありません。ハリス教授の「小学生は宿題に充てる時間を使ってもっと有意義なことができる」という意見が理にかなっていると思うからです。

 宿題をしないとはいえ、勉強と意識させないよう遊びの一環で平仮名を教えていますし、卒園後もその方向性が適切だと思えば「やらなくていい」を続けていくつもりです。

 年齢が低い小学生や幼稚園のころから、「宿題や勉強は絶対にしなくてはいけない」と縛りつけていたら、その後ずっと続く勉強が嫌になってしまわないでしょうか。教育ママにより幼いころから英才教育を強いられて勉強漬けにされ、最終的に有名な大学に入ったという子は、私の周囲にはほとんどいません。

 それどころか、勉強をやらされすぎて精神的に病んでしまったり、嫌になって大学への進学をやめてしまったりした子のほうが多いのです。ちなみに、私の友人で、高校にいかず大検をとって東大に入学している子がいました。つまり、全く宿題が出されない環境でも東大に入れるわけです。

 私も中高時代は、ほぼ宿題をやらずに過ごして合格できたわけなので、「勉強のためだけを考えるなら特に宿題は必要がない」としかいえません。知識を得るにしても、それが宿題によるものである必然性なんてどこにもないのです。

 ハリス教授が論文の中で、「宿題に関する研究には限界がある」と発言したのは、宿題の内容が学校や先生により、あまりに多種多様だからではないでしょうか? 私が中高でも宿題を不要だと思ってしまう理由は、出題方法があまりに雑なところです。

 誰だって得意科目と苦手科目があり、重要視すべき分野も異なってきます。そこまで考慮して時間や量がバランスよく出題されるなら問題ありませんが、おのおのに対応するのは不可能でしょう(個別指導の塾でならできますが)。

 うちの学校は「問題集の○ページから○ページまで解いてこい」という大ざっぱな宿題を出し、授業で生徒を指名して解説させるという典型的な授業形式ばかりしていました。生徒が黒板に答えを書くのを待つより、解説冊子を読んでしまったほうが、結果は同じなのだからずっと効率的ではないでしょうか。

 今は学校の先生の負担が多すぎると問題になっていますし、授業中に生徒側が問題を解き、解説を読んでも理解できなかった点を先生に聞く、という形のほうが互いにメリットがあるでしょう。教科書の英文をノートに写してこいなんて宿題もありましたが、これなんて単なる作業であまりにナンセンスですよね(私はコピーをしてノートに貼りつけていました)。

 有益だと思えた宿題は、「祖父母など戦争経験者を探し、当時の話を聞いてこよう」というような、学校ではできない調べものでしょうか。

■85%の人に有効ならば、残された15%の人は無効となる

 そもそも論文は「85%の人に有効だった」という書き方が多く、自分が無効側の「15%」に入る可能性だってあるものです。ですから、いい宿題も悪い宿題も存在すると前置きしたうえで、私はDaiGoさんと同じく、大多数の宿題は特に意味がないと言いたいです。

 学生は毎日学校で長時間授業を受けていますし、受験や中間テストなどにより、必要だと感じたら自発的に勉強するでしょう。しかし宿題は受動的なうえに家でやるものなので、サボったり、人のものを写したりも可能なわけです。

「継続する力をつける」という目的もあるかもしれませんが、それなら勉強より「今日あったいいことを二つ書いてくる」というような課題のほうが、ハードルが低いので継続させやすいし(ハードルが高いために継続に失敗すると挫折感が生じます)、1日を振り返りポジティブな面を探す行為はメンタル面を安定させる効果もあります。

 暗記や問題を解くにしても、家でなく学校の授業中にやらせたほうが、サボる人もいないし、時間制限があるので、ダラダラ時間を浪費し質が悪い勉強になるのも防げます。つまりは授業を充実させればいい話で、あえて宿題に頼ろうと固執する理由はないと思うのです。

 宿題をした・しないで親ともめることも多いですし、そうしたら家も勉強も嫌になってしまうというデメリットも出てきます。

 YouTubeでは、このように賛否両論が沸き起こり、考えさせられる動画がまだまだたくさんあるかと思います。息子のお気に入りである「水を加えるとグミになるお菓子を買ってきて、実際に作ってみた」動画なんかは、実に平和で、なにも考えずに頭をからっぽにして見られます。

 ただ、今後もし掃除をしたくないと言って、「掃除なんてやらなくていい」という(自称)掃除専門家の動画を探してきたら、なかなか面倒だなぁ……と思いました。生きていくうえで、宿題より「嘘は嘘であると見抜ける」スキルを身につけるほうが、重要な気がします。


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