4人の子ども全員が東大理IIIに合格した佐藤ママこと佐藤亮子さんによる、受験生とその親を応援する短期集中連載。第12回は「第1志望不合格でも、未練は力なり」と題してお送りする。

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 2020年の入試もほぼ終わりました。受験生、保護者の皆さん、お疲れさまでした。自分の進む道は決まりましたか? 今まで、小学校、中学校、高校とみんな同じ方向を向いて一斉に同じことをして歩んできました。しかし、これからは自分の決めた道を一人で歩いていくことになります。目の前の時間を将来に向けてどのように使うのか自分で決めなければなりません。

 合格された受験生の皆さんは、大学生活に胸を膨らませているかと思います。数年先には必ず社会人として生きていくことになりますので、終身雇用制度が崩壊した社会でいかに働くのかを視野に入れておくことが今の時代を生き抜くためには必須でしょう。

 惜しくも第1志望に不合格となった人には、さまざまなケースがあります。第2志望に行く人。大学には合格しているけど、どうしても第1志望に行きたいので浪人する人。どの大学にも残念ながら不合格で浪人せざるを得ない人。合格した大学に入学して大学生をやりながら第1志望の受験準備をひそかにする人など。人生は二つの道を同時に進むことはできませんから、今年は十分あがいて「人生とは何か?」ということを模索することです。

 その時、第1志望の大学に進んだ友人に振り回されないこと。大学生はやはり時間がありますから。今は、つらいですか? でも世界には勉強したくても国の事情などで勉強できない人がたくさんいます。自分の時間を自らの将来のためだけに使えるあなたは幸せなのですよ。自分の立場を日々嘆くのではなく、環境や親に感謝しながら頑張らなければいけないのです。

「浪人」というのは、「1年余分に勉強を積み重ねる」のではなく「人が3年でできたことを4年かけざるを得なくなった」と考えるべきなのです。あなたがするのは去年すべきことで、努力不足のためにあいた穴を埋める作業です。来年の受験には、しっかり受験準備をした現役の生徒がまた何十万人と押し寄せてきますよ。のんびりしていては、間に合いません。すぐに当面の1カ月の計画を立て始めることです。

 とりあえず、最後までやりたかったけど終わらなかった問題集を1冊解いてみたらどうでしょうか? しばらくは、寝ても覚めてもその問題集をすると、気持ちも落ち着いてきます。いろいろな科目をやるとどれも仕上がらないので1カ月で1科目・1冊することをお勧めします。わからない問題がたくさんあるかと思いますが、嘆いたり気落ちしたりする必要はありません。今はすぐに答えを見て、なんとなく納得して問題集の最後までやってみましょう。最後のページを見るのは気持ちいいですよ。その気持ちを忘れずに来年の受験まで頑張りましょう。

 4月になって予備校が始まったら、予備校の試験に合わせて点が取れるように、4月、5月、6月の予定、7月、8月の夏休みの予定、9月、10月、11月、12月の年末までの3種類の予定をそれぞれの期間が終わるころに立てる。1月と2月は本番ですので予定には入れません。これは、大学生をしながら受験を考えている人も同じです。

 目指していた大学とは違う大学に進学せざるを得なかった人は、未練を引きずるのはもう、やめましょう。口にこそしませんが、どの大人も未練がある人生を送っています。未練を抱えていかに生きるか? 「あの時にこうすればよかった」と思う気持ちを今に生かし、生きる力にする。「未練は力なり」ということですね。

 今年の経験を、人間として成長する機会にしてほしいと思います。

(構成/庄村敦子)

※週刊朝日  2020年3月27日号