消費税は上がったのに給料や年金は増えない。世知辛い世の中になってきました。ポイント還元で節約しようとキャッシュレス決済を利用する人もいますが、中高年には抵抗感がある人も。そんな方にお勧めなのが懸賞です。コツさえつかめば「当選確率」が上がるとか。達人に話を聞きました。



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「懸賞はテクニックです」

 そう語るのは「ガバちゃん」こと長場典子さん。獲得賞金(賞品の相当金額)4千万円という懸賞歴31年の達人だ。

 スーパーの店頭などにある懸賞はがきや商品のパッケージ、「懸賞なび」(白夜書房)のような専門誌のほか、一般雑誌、新聞、ラジオ、テレビ、メールマガジン、インターネット広告──。懸賞情報は至るところにある。達人が見れば、当たりやすいものかどうかがすぐわかるそうだ。ここで、ガバちゃんからの出題です。

「テーマパークのペア入場券(1万6400円相当)が当たる懸賞が二つあります。一つは、食品大手A社が指定する商品750円以上を首都圏のスーパーXで購入して応募するもので、当選者数は20組40人。もう一つが、食品大手B社の商品のバーコードを5枚貼って応募するもの。当選者数は200組400人。さて、A社とB社のどちらが当たりやすいでしょうか?」

 当選者が10倍も多いB社のほうが、当たりやすい印象を受ける。しかし、

「断然A社のほうが当選確率は高いと言えるでしょう」

 とガバちゃんは言う。

「B社は全国懸賞。一方、A社の応募はがきは首都圏のスーパーXにしか置かれていません。首都圏のXで商品を購入する人の数と、全国の至るところでB社の商品を購入する人の数、どちらが多いかは説明するまでもありません」

 当選確率を上げるために、競争倍率が低そうなほうを選ぶということだ。

 締め切りの回数もチェックしたい。複数回に分かれている場合、早い回のほうが応募数が少なく当たりやすいそうだ。

「締め切りが2回に分かれているときは、あえていえば、1回目の応募数が少ないはずです。夏休みの宿題と同じです。みな締め切り寸前に駆け込み応募するからです」

 ガバちゃんによると、場合によっては応募はがきへの細工も効果的だ。目立たせるためにカラフルに彩ったり、デコったりする(立体アートを付ける)。一般的に「キャンペーン事務局」にはがきを送る懸賞は、無作為に当選者を選ぶため、担当者がはがきを見ることは少ない。一方で、雑誌の編集部であれば、担当者にもよるが、よく読まれる可能性が高いという。

「さらに、応募はがきの宛先が旅館など当選の宿に直接という場合、その旅館が大好きで泊まりたい!という気持ちを書くなどして熱意を見せるといいと思います。当選への思いを熱く書けば、相手も人ですから、当選しやすくなるかもしれません」

 出し方にもコツがあるという。同じ懸賞に何通も応募する場合は同じポストから出さず、出す日もずらすこと。まとめて同じポストから出すと、応募先で同じ束にまとめられ、1通だけ出したのとほぼ同じになってしまうこともあるからだ。できるだけ別の束に分散させたほうが選ばれる可能性が高いという。

 また、記入漏れに注意し、切手を正しく貼る。レシートやキャンペーンシールなどを貼って応募するときは、切手同様に落ちないようにすることも大事だ。

「私はいつもシールを貼った上から、透明のテープを貼っています」

 切手が所定の金額か、確認も怠らずに。はがきなら63円、封書なら84円が基本。重さや厚みが定形外になっている心配があれば、郵便局で確認しよう。

 同じ懸賞に何通も応募をする場合、切手代がかさむのは少し惜しい。

「そんなときはキャンペーン事務局に電話してみることをお勧めします。まとめて応募できますか?と問い合わせれば、封筒での応募でも大丈夫ですよ、ということもあるからです」

 達人になると、バーコードを日々集めるのだという。バーコードが必要な懸賞がいつ始まってもいいようにだ。もちろん、応募開始のときに店頭で最新のバーコードを確認することを怠ってはいけない。

 獲得賞金2千万円で懸賞歴46年の佐藤章子さん(ペンネーム)は活字好きなこともあり、日頃から印象に残ったこと、おもしろそうな話をネタ帳に書いている。それを利用して、週刊誌のお便りコーナーやラジオの懸賞にも応募する。

「自分の欲しいものが、はがき1枚でかなえられる。懸賞は楽しいです。ストレス解消にもなります」

 ハワイ旅行4人分が当たった年に、北海道のイモ掘りツアーに当たったこともあるという。

 ブログ「カヤの節約生活」を運営するカヤさんは、本格的に始めて3年。いろんな化粧品を試したいと美容系の雑誌の懸賞などを中心に応募を続け、数種類の美容液セット(9万円相当)を当てたこともあるという。獲得賞金は100万円を超えた。始めたころは月2、3件だった当選が1年で月10件ぐらいになったという。その理由をこう話す。

「当たらなくてもめげずに、応募し続けることですね」

 主婦の趣味と思われてきた懸賞。最近は男性が応募することも少なくないようだ。『今日からはじめる インターネットわくわく懸賞生活』(翔泳社)の著書もある小島かつらさんによると、男性誌や業界紙、フリーペーパーなどは当選確率が高いという。

「フリーペーパーに近いような業界紙を見て応募したところ、デジカメ、宿泊券、図書カードなどいっぱい当たりました。病院とかに行ったときに見ておくといいかもしれませんね」
 最後に注意点。懸賞に応募したいがために、応募に必要な商品を買いまくるなど不要なものを買わないことだ。ガバちゃんは言う。

「懸賞の達人と言われる皆さんは、日常生活に必要なものを買いつつ、その金額分を浮かせる!といった思いで懸賞に応募しているんです」

(本誌・大崎百紀)

※週刊朝日  2020年4月3日号