貯金が大好きな日本人。子どもの頃、お金を入れる穴のあいたブタさんの貯金箱にお小遣いを入れたのが初めての貯金、という人は多いのでは? そのときから何年、いや何十年か経ち……。



 ところで貯金には「スキル」が必要なことをご存じだろうか。

「今の貯金のやり方が合っているのか、実はよくわからない」

「自分が給与天引きでどんなタイプの定期預金に預けているのか答えられない」といった大人は多い。

 好評発売中のアエラ増刊『AERAMoney 今さら聞けない貯金の基本』では、インターネットを通じて511人にアンケートを実施。現在の貯金額や毎月の積立額など、面と向かって人に聞けない回答が集計されている。

■全体の12%が「貯金できない」

 回答者511人の年齢は40代が32.6%と一番多かった。家族構成は独身、パートナーと2人暮らし、家族3人がちょうど同じくらいの割合。

 世帯年収も300万円以上1500万円以下の間でバラけていたが、1000万円以上の世帯がやや多いのが特徴。
 
 高収入世帯が少し多かったわけだが、それでも「貯金なう」は80%を超えていた。

 半面、全体の約12%が「貯金できていない」。その理由は本人の浪費によるものではなく「生活費だけで精いっぱい」が最多。

 ボーナス貯金の質問には、そもそもボーナスがない人が約33%。年俸制や、正社員ではない働き方が増えているからだろう。
 
 貯金総額に関する質問では、なんと2000万円超が27%もいたのだが、世代的にこれから子どもの教育費や住宅ローンの返済で使うお金かもしれない。おそらく次点の「貯金額500万円超〜1000万円以下17%」が実態に近いと思われる。

 そしてこの金額では、貯金の目的に関する回答第1位である「老後の生活費」には心もとない。

 視点を変えて小銭貯金をしているかを聞いたが、27%の人が「している」と、意外に多かった。100円玉貯金、500円玉貯金といった硬貨を限定するやり方が人気の様子。
 
 自由回答で「貯金に関して聞きたいこと」を書いてもらったのだが、回答は大きく分けて次の3種類だった。「どの貯金方法が安全か」「毎月どれくらい貯金をすればいいのか」「貯金をしながら低リスクの投資をしてみたい」。

■何のための貯金かみえていない人が多すぎる

 60万部のベストセラーとなった『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)で、貯金だけでなく投資の必要性も説いたファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは、「一口に貯金と言っても、2種類あることを意識したほうがいいですよ」と言う。

「ここ2〜3年で使う予定のあるお金なのか、それとも将来、老後資金に使うような先々に必要なお金なのか――。お金に色はついていないので、目的を分けて考えていない人がかなり多いんです」(横山さん/以下同)
 
 たとえば、1000万円の貯金をすべて預金金利が0.01%の銀行の定期預金に預けているとしたら、「もったいなすぎます」と横山さん。

「長年、デフレといわれてきた日本でも、最近は住宅の価格が高騰。食費や水道光熱費も上昇していますね。物価高が続いてインフレになると、お金の価値は目減りします。

 すぐ使う予定のない4ケタ万円の現金を持ちながら超低金利の銀行口座に全財産を置きっぱなしにするなんて、もったいない」

■数年以内に使うお金だけ確保

 ただ、1000万円のうち、300万円ぐらいは子どもの教育費や車の購入費など、ここ2〜3年で使う予定のお金として銀行預金に確保しておこう。

「5年以上は使いそうにない残りの700万円は投資信託の積み立て投資に回すなど、お金の寿命を延ばす努力も必要です」
 
 では、「毎月数万円の貯金が精いっぱい」の人はどうすればいいのだろう。

「たとえば月2万円の貯金をしている人なら、1万7000円はそのまま定期預金に積み立てて、3000円だけをリスクの低い投資信託に回す、といった両輪でお金を貯めていくのが一番いい。

 全額を定期預金にしてしまうと、毎月2万円で年間24万円、4年でようやく100万円弱。このペースでは老後資金が足りないですよね。毎月3000円だけ『リスクが少しだけある貯金』に、お金を振り向けてみましょう」

(取材・文/安住拓哉、伊藤忍)

※アエラ増刊『AERAMoney 今さら聞けない貯金の基本』の記事に加筆・再構成