「一番速い列車はどれ?」──ダイヤ改正を迎えると、ついそんな列車探しをしてしまうのも鉄道好きの性かもしれない。そこで、2020年3月改正ダイヤをもとに、全国版スピードトレインランキングをつくってみた。



■「時刻表」で列車の速度を調べよう!
 
 もっとも速い列車はどれか? 単純に最高速度でランクづけするなら、東北新幹線の宇都宮〜盛岡間で320キロメートル/h運転をしている「はやぶさ」と「こまち」が首位。1997年に500系電車がデビューして以降、山陽新幹線区間で300キロ/h運転を続けている「のぞみ」などとともに、高速鉄道のカテゴリに恥じない実力を示している。

 しかしそれではあまりにもわかりきった結果となってしまうので、「表定速度」に着目して速い列車を探ってみることにした。

「表定速度」とは、噛み砕いていえば「停車時間を含む平均速度」。運行距離を出発から到着までの運行時間で割って導き出すもので、列車の運行計画などに用いられている。

 たとえば、100キロ区間を1時間30分で走る列車があるとすると、100(キロ)÷90(分)×60=66.6キロ/h(小数点2位以下切り捨て)という「表定速度」が得られる。この計算式を基本に、「時刻表」上の列車をしらみつぶしにすれば答が導き出せるというワケだ。もちろん、それでは無限の大事業になりかねないので、「特急」のほか「新快速」など足の速そうな列車を中心に調べていくことになる。

■ダントツはもちろん新幹線だが……?

 2020年3月改正ダイヤを調べた表が「表1」である。

 最速は、いうまでもなくダントツで新幹線で、博多〜東京間の「のぞみ64号」の224.2キロ/hが首位となった。「のぞみ」の最高速度は300キロ/hだが、320キロ/h運転を実施している東北新幹線「はやぶさ」のもっとも速い表定速度は4号の217.7キロ/hで首位には届いていない。

 この「はやぶさ4号」は新青森〜東京間の運転で、北海道新幹線に乗り入れていないため上位にランキングできるが、北海道新幹線は青函トンネル内の最高速度が在来線並の160キロ/hに抑えられており、全体の表定速度に影響を及ぼしている。そこで、東北新幹線区間に限ってみると、「はやぶさ7号」などが226.2キロ/hを記録。ただし、列車は東京〜新函館北斗間の運転なので参考記録ではある。

 一方、意外な健闘をしているのが九州・山陽新幹線「みずほ」。「みずほ603号」は新大阪〜鹿児島中央間810.5キロを3時間41分で走破し、表定速度は220.0キロ/hに及んでいる。山陽新幹線区間こそ300キロ/h運転が可能だが、九州新幹線内が260キロ/hに抑えられていることを考えると立派な数字といえるかもしれない。

 なお、東北新幹線盛岡以北と北海道・北陸・九州新幹線は「整備新幹線」のため最高速度は260キロ/hに抑えられている。もし、速度向上が実現すれば、ランキングも大きく変わる可能性がある。

■北陸・北海道勢強し!

 在来線(表2)では北陸本線が強さを見せた。トップは大阪〜金沢間の「サンダーバード」で、37号が同区間267.6キロを2時間31分106.3キロ/hで快走、表定速度106.3キロ/hをマークしている。「サンダーバード」はほかに9、10号が104.2キロ/h、49、14号が103.5キロ/hで、号数ごとのランキングでは上位を占拠する勢い。

 次点は日豊本線の「ソニック」で、17、26、30号が博多〜大分間198.5キロを2時間01分で走破し98.4キロ/hを記録。同じく97.6キロ/hが21号など4列車がそれに続く。

 3位は再び北陸本線がランクインし、福井〜金沢間の「ダイナスター」3往復のうち1号など3本が97.9キロ/hと「ソニック」に肉迫している。

 同線関係では、「しらさき」(米原〜金沢間)の最速が95.4キロ/h(65号)、「おはようエクスプレス」(敦賀〜金沢間)が91.1キロ/hと、列車名別で6、7位を占める結果となった。

 また、健闘しているのが北海道勢で、札幌〜旭川間の「ライラック」と「カムイ」が一部列車を除き96.5キロ/hと第4位につけているほか、札幌〜函館間の「北斗2号」が91.4キロ/hで10位にランクインしている。「北斗」はランク内唯一の気動車列車で、その点でも注目できるだろう。

 一方、民鉄と第3セクター路線では、近鉄の「名阪特急」のうち11号など3本が名古屋〜難波間・187.7キロを2時間05分で走り、表定速度は90.0キロ/hに及ぶ。「名阪特急」には2020年3月14日に新型電車「ひのとり」が投入されたが、該当列車に運用されているのは土休日の11号のみで、ほかは「アーバンライナー」が充当されている。

 そのほか、北越急行(六日町〜犀潟間)で運行されている超快速「スノーラピッド」のうち下り1本(3832M)が越後湯沢〜直江津間・84.2キロを57分で走破し、表定速度88.6キロ/hと快速ぶりを発揮。途中停車駅は十日町のみだが、自社内にほかの停車駅ないため、自社区間のみの乗車ができない珍しい列車でもある。(文・植村誠)

植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。