例年ならば、混雑状況が報じられるところ、鉄道各社では一部事業やサービスの休止や列車運休などに踏み切らざるをえない事態になっている。さらに影響が拡大してゆく可能性も出てきた。その現状をいまいちどおさらいしてみよう。



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■前年比10%!? 厳しい状況となったGW中の予約状況

 JR旅客6社がさる4月14日に発表したゴールデンウィーク期間(4月24日〜5月6日)の指定席予約率は、これまでに例を見ない落ち込みとなった(表1)。各社ともコロナ禍を受けて提供座席数(列車本数)を減らす傾向にあるなか、予約率は1割に大きく届かない状況で、前年比でも10%前後に留まる。6社全体の予約率はおよそ4.1%。繁忙期を目前にして、コロナ禍の影響をもろにかぶった形となっている。

 JR北海道では定期列車を含む一部列車の運休などにより、予約可能な座席数(以下、座席数)を前年比75.8%に絞ったものの、予約率は5.2%にまで激減。とりわけ北海道新幹線の落ち込みが目立ち、座席数23万8290席に対し予約席数は8514席、3.6%という状況にある。

 JR東日本も新幹線の落ち込みが目立つ。座席数を前年比で77%(249万席)と減らすなか、予約数は13万席と予約率5%を辛うじて超えた段階だ。在来線では常磐線の特急「ひたち」「ときわ」が前年比24%となっているほかは軒並み10%台。「成田エクスプレス」を含む総武本線は同14%だが、空路の運休が拡大するなか、インバウンドを含む今後の利用状況が気になるところだ。

 JR東海では、東海道新幹線の座席数減を1%程度とほぼ前年どおりとしているが、予約率は3.9%(前年比9%)と影響を大きく受けている。

 JR西日本も座席数は新幹線・在来線ともに前年比94%を維持しているものの、予約率は新幹線で4%、在来線で4.4%どまり。座席数には指定券類の発売を見合わせている臨時列車が含まれているものの、予約数は全体で9%と厳しい状況だ。

 JR四国は唯一新幹線を持たないなか、四国内列車と本州連絡列車が運行されている。東京〜高松・琴平間を結ぶ特急「サンライズ瀬戸」の予約率31%(前年71%)が目を引くが、ほかはいずれもひとケタ台。前年50%を超えていた特急「うすしお」(岡山〜徳島)が今年は5%、快走「マリンライナー」(岡山〜高松)が7%となっているなど、落ち込みの大きい列車が目立つ。JR四国のプレスリリースでは、特急「しおかぜ」と「南風」の日にち別予約状況が公開されているが、座席数2185席に対する予約席数約40席などという数字を目の当たりにすると、その深刻さが浮き上がってくるだろう。

 JR九州も全体での落ち込みも他社と同様で、九州新幹線が予約率約5%(前年比約11%)、在来線では長崎本線系統の3%(同5.1%)など芳しくない実態が見てとれる。

■臨時列車の全運休や定期列車の削減も

 こうした状況のなか、JR旅客6社では、運行本数の削減などの方針を明らかにしている。

 JR北海道では、すでに特急「北斗」と「カムイ」「ライラック」「すずらん」「とかち」と快速「エアポート」の一部定期列車を運休中で、当面は5月末までの実施としている。

 JR東日本では、5月中の臨時列車1263本(新幹線923本、在来線特急・快速340本)を運休するほか、6月中に運転が予定されている臨時列車の指定券類の発売を見合わせることとなった。影響を受けるのは、新幹線481本と在来線特急・快速160本のほか、観光列車518本となる見込み。また、東北・北海道・上越・北陸新幹線で運用されている「グランクラス」が現在営業を休止しているが、6月末まで休止が延長される。また、車内販売の営業も当面は5月末まで休止、車内のカフェテリアも同様の扱いとなる。

 東海道新幹線は、ここまで運行本数をほぼ維持してきたが、ついに影響が及ぶこととなった。JR東海が4月16日の定例記者会見で明らかにしたもので、全臨時列車を運休する。東海道新幹線では、全体のおよそ2割を臨時列車としており、1日平均約380本から300本前後となる予定だ。削減後の新ダイヤは20日ごろに発表される。同社では、運転本数削減に伴い乗務員への在宅勤務を取り入れるという。

 JR西日本でも新幹線・在来線ともに一部臨時列車を運休。デビューが待たれてきた「WEST EXPRESS 銀河」の運行も先が見えない状況だ。JR四国では観光列車が軒並み運休となっているほか、一部定期特急の運休もスタートしている。当面は「宇和海」と「うずしお」「剣山」の各1往復が5月17日まで運休だが、扱いの拡大が懸念されなくもない。

 一方、JR九州では定期列車を含む運休や運転区間の変更をほぼ全線にわたって進めており、JR北海道と並び厳しい状況を窺わせている。運休対象は新幹線を含む特急のほか快速・普通列車にも及んでいるほか、列車ごとに運休日が細かく設定されているので、利用にあたってはとくに注意したいところだ。

■観光・行楽向け列車や企画乗車券に大きな影響が……

 民鉄や第三セクター鉄道でも運行本数の調整などが実施されている。4月17日現在、大手民鉄では小田急「ロマンスカー」や京成「スカイライナー」など有料特急を含む大規模な運休は発生していないものの、富山地方鉄道など一部の民鉄路線で減便が実施されている。富山地方鉄道に関連して、4月18日から立山黒部アルペンルートが全面運行中止となっているが、東武鉄道の「SL大樹」や大井川鐵道の「きかんしゃトーマス号」「かわね路」など観光列車の運休が拡大(列車ごとに運休期間が異なるので、最新情報の確認を!)。また、東武鉄道や小田急などで有料特急列車の車内販売を休止、京浜急行では土休日に実施されている座席指定サービス「ウィング・シート」が当面の間休止となっている。

 そんななか、大阪メトロではさる4月11日から週末を対象に全路線の運行本数2割減を実施。同線と直通運転されている阪急電鉄京都線と近鉄けいはんな線も4月18日から土休日の一部列車が運休となった。また、西日本鉄道でも天神大牟田線と貝塚線において土休日に一部列車の運休を実施する。首都圏では同日から湘南モノレールが通勤時間帯を除く減便ダイヤとなっている。

 そのほか、企画乗車券類の発売を控える動きも現われている。小田急電鉄と西武鉄道、京浜急行、東急電鉄など首都圏の大手私鉄や名古屋鉄道、西日本鉄道などで発売を休止(一部を除く)しているほか、江ノ島電鉄、箱根登山鉄道、長野電鉄、大井川鐵道など中小民鉄でも同様の扱いが見られる。

 いずれも、今後の動向次第で期間の短縮や延長、扱いの拡大など刻々と変更されてゆく可能性もあり、利用のさいには各社の公式WEBサイトなどを通じて最新の情報の入手を心掛けたい。(文・植村誠)

植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。