自宅で過ごす時間の多い今こそ、社会人が英語学習を再スタートするチャンスかもしれない。三日坊主に陥らないために、英語学習の始め方を英語のプロたちがアドバイスする。発売中の『AERA English 2020 Spring & Summer』(朝日新聞出版)から抜粋して紹介。

*  *  *
 英語学習と一口に言っても、何を身につけたいのか、どこまでのレベルをめざすか、学ぶ動機や目標は人それぞれだろう。

「海外に店を出すため、英語でプレゼンするため、TOEICで700点とるため……自分にとって必要な英語は何かを、まずはっきりさせましょう。英語学習に挫折する人は往々にして必要性が明確になっていません」

 そう話すのは、河合塾で英語科講師を務める里中哲彦さんだ。「英語圏に住むことになった」「職場で英語が公用語化された」など、必要に迫られれば真剣に取り組み、結果、英語は身につくものだ。

 その一方で、明確な必要性はなくとも、英語を身につけたいと思う人も少なくない。「スタディサプリENGLISH」講師、コーチトレーナーの山田治さんは、そのような生徒に、「英語が話せるようになったらどんなことがしたいのか」を学習の初めに根掘り葉掘り聞くという。

「海外で仕事をしたい、移住したい、外国人の友達を作りたい……どんなことでもいいからと、20〜30個あげてもらいます。すると、最後には、自分には英語が必要で、勉強しなければならないのだという自覚が芽生えるんです」(山田さん)

 必要性をクリアにしたら、次は1年単位で達成できそうな目標を立てていく。ただし、目標を立てる前に、まずは現時点で自分がどのくらいの英語力を持っているのか、レベル確認をしてみよう。大学や企業でTOEIC対策研修の講師を務める濵崎潤之輔さんはこう話す。

「しばらく英語から遠ざかっていた人は、TOEICの模擬試験や英検の過去問を解いて、今の自分の英語力を測ってみましょう。試験を実際に受けるのはハードルが高いので、レベル確認は手の届く範囲で。気軽に市販の問題集を使ってみるといいと思います」

 学習を始めたら、それを持続させることが重要だ。「週末にまとめて学習する人よりも、毎日数分でも続ける人のほうが、圧倒的に上達する」(里中さん)というように、英語学習において、継続は何よりも力になる。そのためには、毎日の生活の中で、英語学習を“習慣化”させたい。

「3カ月間諦められそうなものをみつけて、その時間を英語学習にあててみましょう。朝、テレビを見ていた時間、電車でスマートフォンを見ていた時間など、自分の生活パターンを振り返ると、学習に置き換えられそうな時間が意外と見つかります。『いつ』『どこで』学習するか決めることが大事。まずは1週間、続けてみましょう」(山田さん)

 すぐに学習を始められる工夫も欠かせない。本なら学習するページに付箋をはりかばんの取り出しやすいところに入れておく。アプリはホーム画面の一番タップしやすいところに置き、不要なアプリは削除しよう。

「学習を始めるときは5分だけのつもりでOKです。始めてしまうと、案外やめられなくなるものです」(同)

■ひとりで学習せず学習仲間を作る

 学習の継続を阻む最大のもの──それは実は“孤独”だ。教えてくれる先生や励ましあう仲間のいないひとりの学習は、続けることが難しい。英会話スクールなどに通えればいいが、時間や場所の制約もあってかなわない人もいるだろう。ひとりでの学習を手軽に脱することができるのが、SNSを活用した方法だ。

「Twitterでは“#ひとこと朝宣言”というハッシュタグがはやっています。その日の学習内容を朝つぶやき、“#ひとこと朝宣言の振り返り”で、できたかどうかの成果を夜つぶやきます。Instagramでは、使教材をハッシュタグとともにアップして学習記録を残します。SNSでは、いいね!がついたり、コメントで励まされたりします。誰かが見てくれているという状況を簡単につくることができ、同じ教材を使っている人の学習状況も参考になりますよ」(濵崎さん)

(文/濱田ももこ)