新型コロナウイルスの感染拡大により、フィットネスクラブやスポーツジムは休業を余儀なくされている。そんななか、早期にレッスンを対面からオンラインに切り替え、緊急事態宣言以降も指導を続けているのは人気クロスフィットトレーナーのAYAさんだ。



 鍛え抜かれた肉体とストイックな指導が評判を呼び、多くの著名人から指名が殺到する彼女。30日には新たにYouTuberとしてもデビュー(「AYA’sファンクショナルLIFE」)する。そんなAYAさんに「自粛中でもモチベーションを保つ秘訣」や「自宅でできるトレーニング」について話してくれた。

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 フォロワー45万人を誇るフィットネストレーナーAYAさんは、Instagramで連日ハードな「今日のトレーニングメニュー」を発信している。プロフェッショナルから一般女性まで多くの支持を得ている彼女のもとには、メニューを実際にこなしたフォロワーからの相談・感想コメントが数多く寄せられている。 

 出版やプロデュースを手がけるトレーナーも数多くいるが、なぜ彼女は多くの支持を集めているのだろうか?
「分かりやすく、トレーニングの結果を自分の身体でみせて、発信していたからだと思います。これまで日本のトレーナーはあくまで裏方で、自分の身体を披露している人は少なかった。トレーニング本を出すにも撮影用のモデルを使うこともザラでした。一方、海外では『フィットネススター』と呼ばれる人たちがいて、“この人の身体になりたいからこの人のメソッド・ライフスタイルを追いかけよう”と思われる存在になっています。私も自分で体現してSNSで発信していたから『AYAみたいな身体になりたい』とトレーニングを受けにくる人が増えたのだと思います」

 そんな彼女だがトレーナーとしての滑り出しは好調ではなかった。体育大学を卒業後、スポーツジムのインストラクターと平行してモデルの仕事をしていたが、歯痒い日々が続いたという。

「その頃の日本のモデル業界は『筋肉はいらない』という考え方で、所属していた事務所から『もっと痩せて』『もっと細く』と不健康なことを言われていました。そのために大好きな運動をやめて、要求される体形には達したけれども、まるで自分の半分を失ったような感覚でした。インストラクターとしても筋肉をつけないようレッスンでの動きを抑えていたので、生徒たちからの信頼が落ちていくのを感じました」

 転機は27歳。新たにクロスフィットトレーナーとしての1歩を踏み出したころだった。

「たまたま流れてきた動画でランジェリーブランドであるVictoria’s Secret(ヴィクトリアズシークレット)のショーを見て、モデルに対する考え方が変わったんです。割れた腹筋、筋張った脚、日本では嫌われるような身体のモデルたちがトップモデルとしてランウェイを歩いているのを見て、驚いたのと同時に自分が肯定された気持ちになりました。世界で結果を出しているモデルたちの体形を見て『日本の業界の価値観に縛られず、自分らしさを追求しよう』と思えたんです」

 AYAさんのスタイル確立を追うように、ここ数年で女性の志向にも変化があったという。

「以前は『ただ痩せたい』『細くなりたい』というお客さんばかりでしたが、今では『腹筋に筋を入れたい』『強くなりたい』と求める人が多くなってきた。日本の女性にも筋トレやフィットネスの文化が定着してきていると感じています。SNSで鍛えた成果をアップする女性も増えていますし、数年前まではいかにも“スポーツ用途”なデザインしかなかったフィットネスウェアが、今ではカラフルでかわいい商品がたくさんある。そういった商品の変化でも時代が変わってきたことが分かります」
 
 平日は5時に起き22時には就寝、毎食徹底して栄養を意識し自炊。好物のパンケーキも土日の「チートデイ」のみというストイックな生活を何年も続けている。緊急事態宣言以降、在宅ワークが続き、孤独や倦怠感を抱いている人も多いだろう。心身ともに制限された生活のなかでモチベーションを保つにはどうすれば良いのか。

「秘訣は、一日のサイクル作り。私は在宅でも工夫して活動量を通常生活に近づけるようにしています。そのためには1日のスケジュールをこれまで通りこなすことが重要。掃除でも料理でも必ずスケジュール化しています。そして外出しない分、トレーニング内容や室内での移動に負荷をかけるよう気をつけています。例えば、私は普段5時に起きて、5時半にはジムのドアを開けていましたが、休業に入った今でも6時に起きて、すぐに30分間ルームランナーでジョギング。朝食後にオンラインクラスのレッスンをして、終了後は自分のトレーニングに移っています。自粛後しばらく試行錯誤しましたが、自分のサイクルができあがってからはメンタルも安定しましたし、モチベーションも保てています」
 今回のような自粛状況は初めての経験だが、在宅でも工夫を加え、非日常下でのサイクルを作り上げた。常日頃「少しトレーニングしただけで腹筋なんて割れない!」と警鐘を鳴らし、ハードなトレーニングを淡々と繰り返すAYAさんの姿は「継続のたまもの」と教えてくれる。綿密に立てたスケジュールを実行に移し、継続させ、自分のサイクルを確立することが日々の達成感や精神の安定を生むのだろう。

 トレーニングを始めるのに道具を揃える必要はない。わずかなスペースさえあれば運動はどこでも成立するというのがAYAさんの持論だ。外出自粛が続くなか、自宅でできる「おすすめのストレッチ」を聞いた。重要なのは“自分の体重を負荷にして動く”ことだという。

「私が普段『必ず出来るように』と言っているのは、(1)腹筋(2)スクワット(3)腕立て伏せの3つだけです。『トレーニングの3本柱』と呼ばれているこの3つができないと、私のクラスではそもそも重りを持たせません!腕立て伏せなんか、自分の体を押し上げるだけの動きなのにできない人がとても多い。そもそも『自分の体重すら押し上げられない』人は重りを持つ資格はないんです(笑)。自重すらコントロール出来ない段階で重りを持ったらけがをしてしまいます。」
 なかでも「スクワット」はトレーニングの土台となる重要な動き。「しゃがんで立ち上がる」という、生活で最も多用する動作は年齢を重ねた時に差が出る。ぜひとも強化しておきたいところだ。
「特に今の時期は自分の身体と向き合うチャンスです。『自分の体重で自分の筋肉を強く』していけるように、まずは基本の3つをおうちで始めてみてください」

◆プロフィール
AYA(アヤ)/クロスフィットトレーナー兼フィットネスモデル。トレーナーとして、数々の女優・モデルの指導をするかたわら、モデルとしても活動。日々のトレーニングメニューや食生活を公開しているInstagramのフォロワーは45万人にも登り(2020年4月現在)、鍛え上げられた肉体や彼女のライフスタイルを目標とする女性から支持を集める。著書に『AYAトレの教科書』『しっかり食べてキレイに痩せるAYA’sミールレップ』。Instagram:@aya_fitness

(文・原田加菜)