新型コロナの影響で在宅勤務が続くなか、毎日どんな食事をしていますか? 健康的な食生活ができていると胸を張って言えない人に、時短で改善できる方法はないものか。薬膳を「ゆるく」取り入れるプロ、池田陽子さんに教えてもらいました。



 ラーメンか、パスタか。レパートリーは少ないが、家にいると何かしら作って食べる機会が増える。当社でこの4月、都心のビジネスパーソンを対象に在宅勤務に関するアンケートをとったところ、回答者62人のうち7割近くが「自炊をするようになった」と答えている。自炊派のなかには「家にいるので、火を長く使う煮込み料理も作るようになりました」(理恵子さん/38歳・仮名)といった達人もいるが、これはかなり少数。
多くの人が、仕事の合間に食事の支度をすることに苦心している。

 とりわけ問題なのがランチ。インスタントや冷凍食品を使い、簡単に作れるもので済ませているのが実情のようだ。麺類やコンビニ食が増えたという人の声もちらほら。ただでさえ通勤がなくて運動不足なのに、「炭水化物を多くとるようになったので、体重増加が心配」(悟さん/37歳・仮名)といった切実な声も。

 そんな状況に、「なんだか会社に勤務している時よりも、バランスの悪い食生活をしていませんか?」とコメントするのは、『ゆる薬膳。』『缶詰deゆる薬膳。』の著者で、薬膳アテンダントとして活動する池田陽子さん。中医学(中国の伝統医学)の「食養」の考えに基づいて身近な食材の効能に注目し、「体調や体質、季節、状況に合わせて賢く食べる」ことを提唱している。日常生活の中で続けられるよう、その実践方法は「ゆるく」、とても手軽だ。

■体に効く食材を時短で取り込め

 池田さんによれば、在宅勤務は運動不足になりがちなため、「血の巡りをよくする」「免疫力を上げる」「ストレスを解消する」食事を心がけることが大事だという。

「これらに効果的な食材を色々取り入れると良いのですが、何品も作るのが難しければ、一品に食材を“足す”と意識してください。忙しい人にもできる時短ワザがあります」

 具体的にはどう足していくのか。

「血行促進には、ターメリックや玉ねぎが入っているカレーがおすすめ。レトルトでも構いません。ここに、サバ缶を足すと効果がアップします。さらに、黒豆や黒キクラゲなど、血の巡りをよくする食材をどんどんプラス。これぞ、“時短薬膳カレー”です」

 肉が入ったレトルトカレーにサバ缶を足すのは少し粗っぽい気もするが、池田さんは「カレーは懐が広いから、色々混ぜても変な味にはなりません」と、気に留めない。

 もっと早くできるものもある。

「カボチャのカップスープにサケ缶の身と汁を少し混ぜると、包丁も使わずに“1分で薬膳スープ”が完成。ちょっとしたシチューのような味わいになりますよ」

 中医学において、免疫力を高める食材に挙げられるカボチャと、疲労回復にいいとされる魚、サケとの組み合わせ。サケのコクでインスタントのスープが一段階リッチな風味になり、効果の有無の前に病みつきになりそう。オフィスでサケ缶をパカッと開けるのは気が引けるが、家なら自由だ。

「ストレス解消にはセロリや春菊など香りのいい野菜やハーブ類、大根、蕎麦がおすすめです。大根をおろすのが面倒なら、カイワレでもいい。コンビニで買った蕎麦の上にカイワレをバサッとのせて、“秒速薬膳蕎麦”をどうぞ。で、小腹が空いたらセロリでもかじってください」

 ゆるいというか大雑把というか、確かに時短ではある。コンビニ蕎麦にカイワレ、間食にセロリも、在宅だからこそできる食べ方だろう。

■リモートワークの期間こそ、体を整えるチャンス

 ちなみに、リモートワーク生活に便利なメニューとして池田さんがすすめるのが、チリビーンズならぬ「サバビーンズ」。挽き肉の代わりにサバ缶、チリパウダーの代わりにカレー粉を使うほか、玉ねぎ、パプリカなど、血行促進や美白効果を期待できる食材を多種類取り入れた一品(*レシピ参照)。これを作っておけば、パンやパスタ、サラダにのせたり、ご飯にかけてドライカレー風にしたり、さまざまなアレンジが可能だ。

 食事は毎日の積み重ね。塩分過多や食べ過ぎには注意しつつ、体が必要とする食材を意識して取り入れていくことで、時間をかけてジワジワ効いてきそうだ。

「長期で家にいる今こそ、食の幅を広げ、食べ物で体を整えるチャンスです。人は慣れたものばかり食べてしまいがちですが、この機会に意識を変え、普段買わない食材を試してみてください。そこに美と健康の元が宿っているかもしれません。今週、今月食べたものは翌週、翌月の自分の体に表れます。平日に家で食事をするこの期間が、もしかすると人生を変えるかもしれませんよ」             (文:カスタム出版部)