タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。



*  *  *
「どんなことがあっても君たちを守るから」。あしなが育英会の玉井義臣会長は力を込めてそう語りました。親を亡くした学生たちなどの支援を行う同会は、コロナ危機で困窮する高校生や大学生に1人当たり15万円の緊急援助を決定。総額およそ10億円を、生活一時金として支給します。

 この背景には、シングルマザーの貧困があります。日本では、ひとり親女性の貧困率は5割を超えます。平均就労収入は年間200万円、ひとり親男性のおよそ半分しかありません。

 今回、国が一律10万円を世帯主に給付すると発表したように、日本ではまだ家父長制的な発想が根深く、女性は配偶者に依存する存在と位置付けられています。経済的に自立するのはハードルが高いのです。

 あしなが育英会の英断の記事を読みながら頭に浮かんだのは、母子世帯の約9割を占める、離別や未婚でシングルマザーになった女性たちのことです。不安定な雇用で働くシングルマザーには、コロナ危機で失業したり大幅に収入が減ったりした人が大勢います。先が見えない中、子どもを抱えてどれほど不安でしょう。

 女性は男性よりも正規雇用に就きにくく、所得が低く、養育費の不払いなども相まって貧困に陥りやすいにもかかわらず、離別や未婚でひとり親になると、周囲からは「自分で選んだのだから」と言われます。DV被害など、ひとり親になった理由はさまざまです。そして子どもの立場になって考えれば、理由は関係なく、親が一人であることは同じです。

 危機の時に真っ先に困窮するのは、弱い立場で生きていかねばならない女性たちです。コロナ危機対策では、120万世帯を超える母子家庭に迅速に届く生活支援が急務です。そしてコロナ後には、女性が安心して一人で働きながら子育てできる社会にしなければなりません。

※AERA 2020年5月4日−11日号