42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、子どもとの食事の難しさと、夫の粘り強い教育について。



*  *  *
 毎日3食きちんと食べる日々。

 こんなに毎日家で3食きちんと作って食べたことあったろうか。

 大人だけならインスタントラーメンにちょっと野菜を足して済ませちゃうところだが、ちびと一緒に食べるとなるとそうもいかない。

 ちびの分だけちゃんと作って、大人はラーメン、というわけにもいかない。

 我々が食べるものが気になって、

「それなあに? たべる! ほちい!」

 と、なってしまうからだ。

 なるべくバランス良く、野菜も食べてもらえるように工夫して、献立を考える。

 最近「緑色のものは美味しくない」と認識してしまったようで、味噌汁に細かーーく刻んで入れたネギすらも、指で一個ずつつまんで出されてしまう。

 日々試行錯誤しながら、食いつきのよいものを見つけてはリピートしている。

 しかし、野菜以外はしっかり食べてくれるのでありがたい。

 米や麺類などの炭水化物。豆腐、納豆、白身魚、鮭などのタンパク質。その他、きのこ、貝類、ほうれん草の胡麻和えはよくたべる。

 卵にチーズも大好きだ。栄養価は未知数だが野菜ジュースも大好き。

 その辺りの食材をローテーションしながら、そこに野菜をうまく絡めていくことに試行錯誤している。

 最初の一週間は張り切って、ちょっと手の込んだものを作ったが、それに疲れて、カレーで三日間粘るという作戦を終えてからは、シンプルなものが美味しく感じる。

 切って塩振っただけのトマトとか、レタスをオイスターソースで炒めたものとか。ほうれん草のソテーとか。おにぎりに味噌汁に漬物とか。

 連日作り続けていることでたどり着いた感じだ。

 食べこぼしまくりながら食べるちびをせわしなく世話しながらの食事。

 いただきまーしゅ! と手を合わせて、5秒後にはご飯粒まみれになっているのであるからもう達人だ。手品を見ているようだ。

 味噌汁を飲む、ジュースを飲む、ご飯を口に運ぶ。

 全ての動作がまだ危なっかしくてハラハラするわ可笑しいわだが、成長も感じる。

 お皿を運んだり、卵を割ったり、お手伝いが少しずつできるようになってきた。補助付きの箸もうまく使えるようになった。言葉の理解も進んだし、話す言葉が格段に増えた。

 そんなちびに、夫は何でもしっかり説明する。

 子供だからとスルーしたりしない。

 前に、夕食を夫に任せて仕事に出かけ、帰宅した時に、ちびが駆け寄って来て、

「あのねー泣いちゃったのー」

 とちょっと照れたような感じで報告して来た。

 夫に聞くと、夕食の最中にそうめんを手で掴んでぐちゃぐちゃと遊びだしたので怒ったというのだ。

「食べ物で遊んじゃだめ。ちゃんと食べなさい。そうやってぐちゃぐちゃってやった後、食べないでしょ、いつも。ほら、これ、自分でぐちゃぐちゃにしたんだから、ちゃんと食べなさいよ。分かった? ちゃんと食べて?」

 ちびは手にそうめんを巻きつけたままじっと話を聞いていたが、

「食べるの?」
「うん」
「じゃ、食べなさい」

 次の瞬間、握っていたそうめんを床にべちっ! と投げ落としたので、

「こら!! 食べ物を粗末にしちゃだめ!」

 と怒られてうわーーん! と泣いたそうだ。

 夫が私にこの経緯を説明している間、ちびはじっと夫の話に耳を傾けていた。

 話し終えると夫はちびを抱き上げて膝に乗せ、向き合って、

「どうして怒られたかわかる?」
「うん」
「どうして?」
「……」
「食べ物で遊んで、粗末にしたからでしょ?」
「うん」
「もうやっちゃだめ。もうやらないね?」
「うん」
「うんじゃなくて、はいでしょ?」
「はい」
「ちゃんと分かった?」
「はい」

 食べ物を粗末にしちゃいけない、という概念はまだ理解できないだろうけど、食べ物を床に投げてはいけないんだな、ということは伝わっているだろうなと思った。

 夫は最後に念押しした。

「何が分かったの?」

 ちびはちょっと考えて答えた。

「やさいジュースがすき」

 我々は爆笑してしまった。

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