全国の自治体で特別定額給付金の支給が始まっている。家族合わせると数十万円が給付される世帯もあり、それぞれの使い道が気になるところだ。AERA 2020年6月29日号に掲載された記事で、家計簿と家計管理のプロに話を聞いた。



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 家計簿&家計管理アドバイザーのあきさん(42)は、定額給付金の使い道を夫から一任されている。あきさんが考える使い方はこうだ。夫のボーナスや給料がどうなるか先行き不透明なので、半年から1年弱を目安に、一部をもしもの時のための生活防衛費として取っておく。それ以外は、まず子どもたちの学校が再び休校になった時のための準備費。あきさん宅には古いものも含めてパソコンが3台あるが、夫婦それぞれがパソコンを使用する。子どもたちがオンライン授業を受けることになれば、買い足す必要が出てくる。次に、高級食材のお取り寄せや「Go Toキャンペーン」事業を利用しての旅行など。ポイントは、「自分も楽しく」「社会にも還元できる」ことだ。

「経済は消費してこそ回ります。子どもたちには、なぜお取り寄せや旅行ができるかを説明し、社会へ還元できるお金の正しい使い方を学ぶ機会にしたい」(あきさん)

 一方、あきさんの元には一家の財布を預かる主婦から家計に関する相談が多数寄せられるが、その大半は「収入が減り、定額給付金が入っても余剰にならない」「新年度になったばかりで子どもの教育費がかかる」「第2波が心配。テレワークのためのネット環境を整えなければ」というもの。

 家計の「リアル」を考えると、生活防衛費と経済の様子見の貯金は外せないが、それ以外の使い方として必ずアドバイスするのは、「生活費とは別の口座に定額給付金を入れておく」ことだ。

「最も避けたいのは知らないうちに使い切ってしまうことです。家族数人分、数十万円が一度に入って財布が緩んでしまう人もいます。普段使わない口座に入れ、使い道を可視化すべきです」(同)

 終活カウンセラーでファイナンシャルプランナーの数田陽子さんは、コロナ禍で自身の健康を意識するようになった人に、自宅でできる検査キットをすすめる。

「生活習慣病やがんなどのリスクをチェックできる自己検査キットが1万〜3万円台で販売されています。こうしたキットを利用することで、自分の健康状態が確認できます」

 検査キットは一般的な健康診断に近いものからより詳細な項目がわかるものまでさまざまにある。医療機関で受ける検診の完全な代替にはならないものの、忙しくて健康診断や人間ドックに行く時間を取れない人には有効だ。

 数田さん自身は、10万円を行政書士の資格を取る準備費に使うと決めている。

「新型コロナによって、働き方は大きく変わりました。テレワークが定着すれば、能力の評価がこれまでと変わることが予想される。テレワークや自粛によってできた時間の有効活用という両面からも、資格取得などのキャリアアップに充てるのは一案です」

 記者はといえば、知り合いがひとりもいない上京時から今日まで、泣いている時は励まし、落ち込んでいる時は支えてくれた東京・新宿ゴールデン街のパパ、ママたちの店で10万円を使いたいと思っている。(ライター・羽根田真智)

※AERA 2020年6月29日号より抜粋