「コロナが、こんなに長引くとは思わなかったからね。マスクも、とりあえず鼻や口が隠れれば何でもいいと思ってた。ところがマスクの日常が、この先もずっと続きそうな雲行きだろ。マスクをファッションの一部と考えて、デザインにこだわる人も増えたよね」



 そう語るのは、ファッションデザイナーのドン小西さんだ。

 この暑さのなか、まず人々が走ったのは、各メーカーの機能性マスク。スポーツメーカー、ミズノの「マウスカバー(アイスタッチ)」のほか、抗菌スーツの技術を応用した、紳士服メーカー、青山商事の「抗ウイルス加工マスク・冷涼タイプ」など、機能にこだわったマスクが、プレミア商品になっている。

 一方、デザインにこだわるマスクも花盛りだ。そもそも「マスクをするのは強盗だけ」(ドンさん)というイメージがあった欧米では、コロナ禍が始まった当初から、強盗マスクと一線を画すカラフルでデザイン性の高いものが登場。ドレスの共布で作った“プレタポルテマスク”や、オシャレなスカーフをマスク代わりに巻くセレブの姿も。

 スペイン風邪の昔から、マスク=白と相場が決まっていた日本でも、「アンリアレイジ」や「ヨウジヤマモト」など、多くの人気ブランドがデザインされたマスクを発売した。

「マスクは、ネクタイやスカーフのように、コーディネートにこだわるファッションアイテムになる日も近いだろうね」(同)

 ただし今は、オシャレマスクも限定品が多く、入手困難なものも多い。自分の好みにあったマスクに出会うためには、手作りするのが近道のひとつとなる。

「あたしも3月には、講師をするファッション学校の先生と、オリジナルマスクの試作を始めたんだけどね。作ってみると意外に簡単。その代わり、布の柄選びにじっくり時間をかけて、自分のファッションテイストにあったマスクを作るのがオススメだね」

 手作りマスクの型紙トレンドは大きく二つ。小池百合子都知事風の「都知事マスク」と、西村康稔経済再生担当大臣の「大臣マスク」だ。都知事マスクは、左右2枚の布を縫製することで、鼻に沿って、立体的なフォルムができる。

 かたや大臣マスクは、型紙不要。長方形の布を折りたたんで縫い、装着したときにたたんだ布を引っ張り出して、鼻を覆う。

「都知事マスクは、どんな布でも立体感が出せる。一方、大臣マスクは角が多く、顔をシャープに見せる。西村大臣がやっているようにワイシャツ地などで作ると、スーツの男性がつけても違和感がないね」

 とドンさん。今回マスク作りのために訪れた都内の生地店では、手作りマスクに向いた生地やゴムなどを集めたコーナーを設置。市井のマスクデザイナーたちで、大賑わいだったという。また夏休みを利用した断捨離のついでに、その人の好みが詰まっている手持ちの古着を、マスクにリフォームするのもいいとか。

 リフォームといえば、もうひとつ、手作りマスク派の隠れたトレンドがあった。アベノマスクをリメイクしてサイズが大きい別物にした、いわゆる「ベツノ(別の)マスク」だ。手間がかかるので、ブームには至らなかったが、介護施設などへの追加配布が実現すれば、今度こそ?(ライター・福光恵)

※週刊朝日  2020年8月14日−21日合併号