放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、東宝演劇オフィシャルグッズ『観劇 新・三種の神器』を取り上げる。



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 新型コロナウイルスとの闘いを“ゴールのないマラソン”のように言う人がいるけれど、そんなことはないと思いたい。でも、いまが何キロ地点なのかわからない闘いは本当にツライ。

 テレビ局は大幅減益だそうで、10月の改編期には予算も人員も削減される番組が大多数。ギャラが発生する出演者の人数も減らされると聞く。

 だが、もっと深刻なのはコンサートや舞台だ。徹底した感染対策をしたうえ、ソーシャルディスタンスを守っての興行は、採算を考えだしたら気が滅入るだけ。それでも幕を開けなければ……と多くのカンパニーが懸命に稽古に励んでいると『A−Studio+』(TBS系)で勝地涼くんが話しているのを聞いて涙が出そうになった。

 そんな折、雑誌やテレビ番組のエンタメコーナーの取材でお世話になっている東宝株式会社の演劇部からオフィシャルグッズ発売の報(しら)せが届いた。「劇場から生まれた新しい常識」なる『観劇 新・三種の神器』。マスクとハンドスプレーとタオルハンカチの3点セットだ。

 まず、オーガニックコットンのマスクは、グレーとネイビーから一色を選択でき、洗って何度も繰り返し使える日本製の4重ガーゼマスク。ヒノキチオールを浸透させ、抗菌防臭加工を施した。「つけ心地が軽くて柔らかな肌あたりで、保湿ケアやおやすみマスクとしても」という美容雑誌のキャプションのような説明に、これはきっと女性担当者の仕業だと思い、確かめたら当たっていた。

 アロマハンドスプレーは、オーストラリアのオーガニックアロマ&ナチュラルコスメブランド「パーフェクトポーション」とコラボ。ガーゼタオルハンカチは、国産の無撚糸パイルが使われ、乾きやすく肌にやさしい。

『帝劇』と『シアタークリエ』を融合させた劇場オリジナルロゴは演劇ファンにはもちろん、両劇場に立つ演者にも大好評だそうで、第1弾は完売し、再販が決定した、いわばヒット商品だ。つい先日、舞台の発表会見に登壇した日本を代表するミュージカル女優も、宣伝スタッフから手渡され、その場でマスクを着用して帰路についたそうだ。舞台をこよなく愛するスタッフが生んだ同グッズ。観に行く我々も、この常識を徹底して身につけたい。

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

※週刊朝日  2020年9月25日号