新型コロナの感染拡大を受け、フェースシールドや消毒液、PCR検査代などの思わぬ出費が増えた人は多い。また、「持続化給付金」などの給付金を受け取った人もいる。これらは確定申告にどう関わってくるのか。お得な申告方法を聞いた。



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 2020年は、新型コロナウイルスという未知のウイルスとの闘い、共生を強いられたハードな一年だった。旅行やレジャー、外食、エンターテインメント、帰省といった外出機会が大きく減って「ステイホーム」の時間が長くなるなど、生活環境は一変した。

 そうした状況下で一律10万円の「特別定額給付金」など、コロナ対策の給付金が支給された一方で、各家庭にはコロナ禍で生じた医療や寄付などの支出も少なからずあったのではないだろうか。コロナ関連の収入や支出は税務上どういう扱いになり、今回の確定申告にどう関わってくるのか。

 コロナ感染症で入院したり治療を受けたりした場合、入院中の食事代や人工呼吸器・体外式膜型人工肺(ECMO)などの治療費を含めた医療費は原則、全額公費負担となる。PCR検査も、感染が疑われる場合などは無料になることが多い。

 しかし、自発的な理由により、クリニックで数万円の検査を受けた人もいるだろう。PCR検査の自己負担金が控除対象の医療費として認められるかどうかは、ケース・バイ・ケースだ。医師の指示で受けた場合や、検査の結果が陽性だった場合は医療費扱いになる。

 ほかに、リスクの高い通院を避けてオンライン診療を受けた場合の費用(処方された薬の送料を除く)も医療費として認められる。

「高齢で通院が難しく、オンライン診療を受けるためにスマートフォンを購入したというケースなら、スマホの購入費用も医療費として申告できる可能性があります」(確定申告に詳しい税理士)

 仮に課税所得200万円の人が15万円でスマホを購入したとすると(他に専業主婦の妻と合わせて年10万円の医療費を払ったとする)、納めすぎた所得税が1万5千円還付され、21年の住民税も軽減される。

 半面、「予防」のための支出は医療費控除の対象外になるため、外出時のマスクやフェースシールド、手指の消毒液などの購入費用は医療費としては認められない。

 外出自粛でまとめ買いした常備薬などは、セルフメディケーション税制で申告できるかもしれない。この税制の対象となるスイッチOTC医薬品約1800アイテムについては、薬局やドラッグストアなどのレシートに目印となるマークが記載されているので確認しよう。

 コロナの感染拡大の影響で、20年には多数のイベントや公演などが中止、延期を余儀なくされた。20年2月1日以降に開催を予定していたイベントや公演などで文化庁やスポーツ庁の指定を受けたものは、出演者を支援したいなどの理由からチケットの払い戻しをしなかった場合、特例で寄付金控除が受けられる。

 申告できるのは、1人につき1年で最大20万円分まで。プロスポーツのシーズンチケットなどで20万円を超えるものは、20万円までが控除の対象となる。

 控除方法は、課税額を計算する前の「所得」からマイナスする「所得控除」と、計算後の「税額」から差し引く「税額控除」のいずれかを選択する。

 山本宏税理士事務所の代表・山本宏さんは「年収が数千万円という人を除けば、税額控除を選んだほうが節税効果は大きくなる」と助言する。

 控除を受けるには、事前に主催者に連絡して「指定行事認定証明書」と「払戻請求権放棄証明書」を取り寄せ、申告書と一緒に提出する必要がある。気を付けたいのは、主催者に「払戻請求権を放棄する」意思を示した日が属する年によって、申告のタイミングが変わることだ。20年中に意思表示をした人は今回申告する必要があるが、21年に主催者に連絡を取る場合は来年の申告となる。

 さて、20年は医療・介護従事者や生活困窮者、営業自粛で大幅減収となった飲食店や宿泊施設などに対する寄付などの善意の輪が大きく広がった。こうした寄付や寄付型のクラウドファンディングに支払ったお金も、寄付先が税制優遇を受けられる法人であれば寄付金控除の対象になる。対象となる法人はパンフレットやウェブサイトに「税控除対象」などと明記しているところが多い。不明の場合は直接問い合わせてみよう。

 20年に「持続化給付金」を支給された個人事業者や中小企業は約400万件に上る。「家賃支援給付金」とセットで受け取った事業者も多いだろう。実は、事業者向けの給付金の大半が課税対象となっている。持続化給付金も家賃支援給付金も、受給しているならその分を総収入金額に加えた上で、事業所得や雑所得を計算する必要がある。

「今回の申告では、税務署は給付金を受け取った事業者がそれを正確に収入に計上しているかを厳しく見ているはず」と注意を促すのは、前出の税理士の山本さんだ。

 これに対し、個人向けの給付金は非課税のものが多い。しかし、例外もある。7月以降のGo To トラベルやGo To イートで得た利益は「一時所得」扱いとなり、生命保険の満期保険金や損害保険の満期返戻金、ふるさと納税の返礼品など他の一時所得との合計が年間で特別控除の50万円を超えていたら、申告して50万円を超えた分の2分の1にかかる税金を納めなければならない。

 多くのファイナンシャルプランナーが注意を喚起するのは、Go Toキャンペーンが行われていた際、家族や仲のいいグループなどで何度も国内旅行や高級レストランでの食事などを楽しんだ人だ。付与されたポイントや地域共通クーポンは全員分が代表者の得た利益と見なされるため、幹事役が集中すると、その人に税金の負担が発生する可能性がある。(ライター・森田聡子)

※週刊朝日  2021年1月29日号