新生活がスタートし、出会いも多くなる4月、若者にとってはカルト教団に狙われるやすい時期でもある。AERA2020年3月23日号では、カルトに狙われやすい若者の特徴、見分けるポイントを紹介する。



*  *  *
 カルトは人の心の隙間につけ込む。引き込まれるのは、どんな若者たちか。

「まじめで正義感の強いタイプもいますし、スポーツや音楽などを楽しむ活発な学生もいます。共通するのは、青年期特有の悩みを持つこと。悩みに答えを示してくれる集団に学生は居心地の良さを感じる」

 と話すのは、大阪大学の太刀掛(たちかけ)俊之教授(応用心理学)だ。

 同大学は、オウム真理教の「科学技術省」トップだった故・村井秀夫元幹部が通っていたことでも知られた。その後の学内調査で、学生の中に別のカルト信者が複数いることがわかり、2006年に新入生を対象とした必修の特別講義「大学生活環境論」を新設した。今も例年5月、新入生約3千数百人への講義で注意喚起を行っている。

 同大学はカルト対策として、勧誘の手口などを紹介した動画を4本つくり、学食や学内の連絡バス停などで流し注意を促している。動画は「大阪大学 カルト」で検索すれば、YouTubeで誰でも視聴可能だ。

「大切なのは、カルトに勧誘されないための予防教育。取り込まれないためにはどうすればいいか、教育で意識を底上げする必要がある」(太刀掛教授)

 4月になればひとり暮らしの学生や社会人が増え、カルトに狙われやすい時期でもある。

危険な宗教や教義を見分けるポイントはあるのか。オウム真理教信者の脱会支援を目的に設立された「日本脱カルト協会」理事の岩野孝之さん(40)は、次の2点を挙げる。

(1)無償の愛の提供

(2)家族や友人など周囲に入信したことを隠させる

「まず、カルトはとにかく無償の愛を注いできて、徹底的にやさしくしてくれる。すると、『これが神様の愛か』と感動して入信することになります」

 家族や友人など周囲に相談させないのは、他人に話すと止められるから。「あなた自身が成長したらその時は自由にしゃべってもいいけど、今は邪魔が入らないように内緒にしておこうね」などと諭してくるという。

「不審に思ったら、インターネットで団体の背景を調べるのも有効です」(岩野さん)

 日本脱カルト協会では「カルト対策学校ネットワーク」をつくり、全国約300の大学とメーリングリストで情報のやりとりを行っている。例えば、学生が大学の学生課に相談に行くと、同ネットワークに連絡がきて、団体についての情報を提供する仕組みができている。また岩野さん自身、「SSC宗教問題相談センター」というサイトを立ち上げ、カルトをはじめ宗教に関する様々なトラブルや悩みについて相談を受け付けている。岩野さんは言う。

「宗教だから新興宗教だから、または異端だから悪いのではない。正体を隠して近づき、独善的な教義に基づいた狭い認識を若者たちに与え、その結果、人に危害を加えたり金銭被害を与えたりするようになる。カルトは人に危害を加える存在。そのことをしっかり知ってほしい」

(編集部・野村昌二)

※AERA 2020年3月23日号より抜粋