放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。前回に続いて「妻が出張中の出来事」を綴ります。

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 妻が5日間仕事で家に帰れず、僕と4歳の息子・笑福(えふ)だけの5日間。

 2日目、息子を保育園に送り、僕は仕事をこなす。そして、夕方迎えに行く。帰り道、僕が迎えに行った時にはコンビニに寄るのを息子は楽しみにしている。家に帰り、その日は、僕の友達を家に呼んだ。笑福が何度も遊んだことのある友達で慣れている。夜までいてもらい、帰った後に、笑福とお風呂に入り、早めに寝室へ。「よし、寝よう」と言って、ベッドに入る。そこまでは笑顔だったが。電気を消すと息子はいつも妻が寝ている方を見る。そこにママはいない。笑福が目をこすり始めた。もしかして?「笑福、泣いてる?」と聞くと、笑福は「うん。寂しい」と言った。こらえきれず、2日目の夜は、泣いてしまった。それでも、堪えようとしている涙。そんな笑福を抱きしめて背中をさする。父親の僕は母親の代わりにはなれない。20分ほど小さく泣いていたが、気づくと寝てくれた。

 3日目は、保育園を休ませて、笑福を僕の仕事場に連れて行った。連れて行ってもいい環境だったので、とても楽しそうにはしゃぐ。月に1度とか、こうやって、親が自分の仕事場に子どもを連れて来れたら素晴らしいことだと思う。子どもは父親の働く姿を見て、手の空いてる人が一緒に遊んだりする。こういうことを導入している会社もあるのだろう。もっと増えるといいなと思ったり。

 仕事を早めに終えて、夕方から、笑福が待ちに待った仮面ライダーのおもちゃを買いに行く。「ママがいない時に頑張ったら、買ってあげるね」と言っていたので、笑福はこの日をモチベーションに頑張っていた。テンションが高い。

 その日も、友達に家に来てもらい、みんなで楽しく過ごしたのだが、友達が帰るときにすごく寂しそうな目をしていた。笑福は家でYouTubeを見るのが大好きだ。友達が帰ってからも、ずっと見ていたので、途中でやめさせて、お風呂に入って、ベッドに入った。

 時間は夜10時。電気を消して寝かせようとする。背中を撫でたり、お話をして、30分くらい粘ったが、寝てくれず。すると笑福が泣き始めた。昨日の泣き方とは違う。「ママー、ママー、ママー」と、大きめの声で泣き始めて、むせて、嗚咽までするようになってしまった。そして大きな声で泣きながら「ママーーーーー」と。泣きのMAXだ。

 ママがいないベッドで電気を消すと不安になるのだろう。僕が「寂しいんだよな」と言うと嗚咽しながら「うん」と言った。僕が「わかった! 笑福、今日は、もう納得するまでYouTube見ていいから」と、リビングに連れていき、テレビを付けた。

 笑福は泣きながらもYouTubeで好きなものを見る。時折笑うが、一瞬で泣きモードになりそうな雰囲気はある。息子も、寂しさを紛らわすために見ているし、必死なのだ。

 僕はとことん付き合うことにした。息子だって戦っているのだ。一時間ほど経っても、まだ見ている。ここでベッドに連れていくと同じ事になるので、笑福が寝落ちするまで横で待つことにした。夜10時半から、笑福が寝落ちしたのは夜中の2時。疲れ切って寝た感じだった。そんな笑福を抱きかかえてベッドに連れていく。

 僕もくたくたになりながら、笑福を寝かせて、今度は机に向かって自分の仕事をした。こういうことを毎日繰り返しているお母さんは沢山いる。経験しないとわからない側面って沢山ある。笑福の寝顔を見て、改めて、母親のすごさを実感した。ありがとう。