大阪府の吉村洋文知事は4月30日、府の休業要請に応じず、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づいて店名を公表した府内の10のパチンコ店のすべてが休業したと発表した。

 

 吉村知事は「(店名公表は)強権だ、(逆に客が押し寄せて)密を集める、とか言われましたけど、結果はこれです」と胸を張って”勝利宣言”した。

 吉村知事は休業に応じないパチンコ店名を同24日、公表に踏み切ったが、当初は公表された店舗含め、28店舗が営業を続けていた。

 だが、 吉村知事は休業要請に応じず営業を続ける7店について、特措法45条に基づいて「5月1日からの休業」を指示すると表明。特措法に基づく指示は要請より強い行政処分となり、店は履行義務が生じる。

 吉村知事の“圧力”に屈し、すべてのパチンコ店が”白旗”を上げた格好だ。店名公表をされた、パチンコ店の役員はこう話す。

「店の前に急に、大きなカメラを担いだマスコミがたくさんやってきた。何事なんやと思ったら、休業要請に従わなかったと吉村知事がうちの店名を公表したと。まさかの事態。うちの客入りは普段、約50〜60%の客数。それが店名公表で、多くのお客様が押しかけ、店内が三密になってしまい、従業員たちに不安が広がった。これ以上、続けるのは、まずいと判断しました」

 その後、店名を公表された店や府から要請書が届いた店は、次々に「休業」をいう貼り紙を出していった。

 しかし、記者が取材に行くと府内のあるパチンコ店は28日朝、開店前から大行列。整理券を午前8時半から配布しなければならないほど、人で溢れていた。開店の15分前には、駐車場に200人以上が行列を作った。

 開店と同時に整理券の番号に従って店内になだれ込むお客の対応に当たっていた店員はこう胸の内を打ち明けた。

「ゴールデンウイークになるともっと、お客さんが多くなる。お客さまの来店には感謝ですが、自分たちの健康を考えると、1日、何百という人に接するわけで、コロナに感染しないかと怖くて……」

 来ていたお客の一人は、本誌の取材にこう語った。

「コロナ感染は怖いが、店が開いたら、つい来てしまいます。飲み屋は閉まって酒が飲めない。あとパチンコしか楽しみがあらへんやん。飲み屋のほうがパチンコより小さい場所やから三密や。パチンコくらい大目に見てくれへんかと思うわ」

 だが、吉村知事は粘り強く要請を続け、府内のパチンコ店に休業を受け入れさせた。営業を続けていたパチンコ店の近所に住む府民はこう安堵の表情を浮かべた。

「誰がコロナかわからない状況で大勢の人が来ていたから休業してくれて、本当によかった」

 当初、休業要請を無視して営業していたパチンコ店のオーナーは本誌の取材に対し、”敗北”をこう語った。

「何度もマスコミさんに説明していますが、パチンコは固定費がかかる商売。うちなら1店舗あたりパチンコ台のリース料、月300万円、人件費300万円、電気代130万円と、維持費にお金がかかります。休業要請に従っても補償はない。あってもわずかな額だけです。政府系金融機関や保証協会は、パチンコ店が風俗業だと融資の対象から除外しています。お金を返すから一時的に金を貸してとお願いしても審査が通らない。ならば、吉村知事ににらまれても営業したろうやないかとなるんです。しかし、従業員は感染不安を訴えるし、吉村知事の親分、橋下徹さんもテレビやSNSでパチンコ店は休業せよ、と言っている。もうお手上げ、あかんと悟りました」

 大阪府内の感染者数が減ることを祈るばかりだ。(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事