緊急事態宣言が5月31日まで延長され、“パチンコ抗争”も再燃している。特定警戒都道府県となっている東京都、大阪府のパチンコ店が営業を次々に再開したのだ。東京都の小池百合子都知事や大阪府の吉村洋文知事は、休業要請に応じないパチンコ店の店名を公表するなどし、いったんは全店休業となったが、出口の見えない休業要請に痺れを切らしたようだ。



 5月9日は土曜日とあって午前9時半から、大阪府内のパチンコ店入口には行列ができた。開店までに30分以上あるが、「間隔あけてお並びください」と警備員が声を上げる中、店には客が続々と集まり、いつの間にか長蛇の列。

 警備員が状況をこう教えてくれた。

「もう300人は超えとるかな? 朝8時半から整理券を配るが早い人は8時前に並んでいた」

 午前10時、営業がはじまると、整理券の順番に人が店内に入ってゆく。
だが、なかなか列が進まない。入口は団子状態でまさに“三密”だった。

「帽子を取ってください」

「体温を測定します。ゆっくり、お入りください」

 女性店員が店内に設置しているコロナの感染防止のため、体温を自動計測できる装置の利用を案内していた。

<体温37・5度以上はご入店をお断りします>

 こんな看板も出ている。

 開店前から並んでいた年配の男性客は本誌にこう話した。

「大阪でパチンコ屋が全部、休業して1週間ほどは退屈でしゃあなかったわ。開店が待ち遠しかった。電車で40分ほどかけて来ました。今日は一日中遊べるように、パンとお茶を持参しました」

 駐車場も最上階まで、8割以上が埋まっている。神戸、姫路、遠くは東海地方や関東地方のナンバーの車も駐車されていた。兵庫県から来たという男性客の証言。

「兵庫県は数店は営業しているが、大阪の方が規模も大きいので朝9時前から並んでいます。10万円の給付金をもうすぐもらえるので今のうちにどのパチンコ屋の台がええか、チェックしておきたいとの思いもあるわな。コロナは怖いが、10万円あれば、ええ勝負になるからね」

 男性客は安倍政権が経済対策として打ち出した国民一人当たり10万円の給付金を心待ちにしている様子だった。女性客もこう話した。

「給付金10万円は楽しみ。半分は家庭のために使うが、半分は好きなことに使わせてもらう。たぶんパチンコにつぎ込むわ」

 10万円の給付金が、パチンコファンの熱気をより高めているのだろうか。現在は休業中のパチンコ店のオーナーはこう本音を打ち明ける。

「大きな声では言えんが、10万円給付金はパチンコ業界にとって、絶好の稼ぎ時、チャンスですわ。パチンコ店はコロナの関連の公的融資も受けられない。これまで休んだ分、10万円給付金で多くのお客様に来てもらい、マイナスを取り戻したいというのが、多くの経営者の本音。それくらい、店がつぶれかねないほど追い込まれてますねん」

 だが、一方で営業中のパチンコ店のスタッフらは感染を懸念しているという。

「緊急事態宣言が延長になり、まだまだコロナの感染拡大は続いている。吉村知事には、もう一度、パチンコ店への休業要請をきつくやってほしいと、内心は期待しています。正直言うと、感染するのが怖いです。ただ、仕事しないと給料がないし、つらいですわ」

(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事