難航している新型コロナウイルスの治療薬開発だが、特例承認されたレムデシビルに続き、既存のステロイド剤が重症に効果があることが確認された。AERA 2020年8月10日−17日合併号から。



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 期待に反し、新型コロナウイルスの治療薬開発が難航している。5月7日にレムデシビル(商品名ベクルリー)が特例承認された後、7月17日になってようやく、厚生労働省の「診療の手引き」に2番目の治療薬、デキサメタゾン(商品名デカドロンなど)が加わった。

 デキサメタゾンは、抗炎症薬として半世紀以上にわたり使われてきたステロイド剤の一種だ。

 英国で実施された大規模な臨床試験「RECOVERY(Randomised Evaluation of COVid−19 thERapY)」で、対症療法を中心にした通常の治療に加えて、1日6ミリグラムのデキサメタゾンを最長10日間投与された入院患者2104人と、通常治療のみの入院患者4321人を比較した。効果がみられたのは人工呼吸器や酸素投与などが必要な重症・中等症の患者で、死亡率は重症が3分の1、中等症は5分の1に下がった。酸素投与のいらない軽症者では差はみられなかった。

 この結果を受け、米国立保健研究所(NIH)の治療指針は、デキサメタゾンを人工呼吸器や酸素投与などが必要な患者だけに推奨するとした。

 世界保健機関(WHO)も、治療指針にデキサメタゾンを加えるべく改定中だ。最長10日間の使用なら、「深刻な副作用は起きないと考えられる」という。ただし例外として、「血糖値が上がることがあるため、糖尿病患者は注意が必要だ」としている。

 レムデシビルは、エボラ出血熱の治療薬として開発されたものの、承認されていなかった。まだ製造量が限定的で、製造している米ギリアド・サイエンシズ社からの供給量が限られるため、厚労省が医療機関に配分している。一方、デキサメタゾンはアレルギーやぜんそくなど数多くの疾患ですでに広く使われているため、入手しやすい。(ライター・大岩ゆり)

※AERA 2020年8月10日−17日合併号より抜粋