国会や原子力発電所などの上空で小型無人機の飛行を原則禁止し、許可制とするドローン規制法の対象区域に8月から米軍施設が追加された。テロなどの犯罪から重要施設を守るのが目的だ。ところが、報道機関が辺野古新基地(沖縄県名護市)の建設現場上空の飛行許可を申請すると、拒否される事態が発生。規制を盾にした知る権利の侵害ではないかとの声が出ている。

 2019年6月に施行された改正ドローン規制法では、防衛相が指定した防衛関連施設が新たに飛行禁止区域に加わった。在日米軍施設は9月6日から15カ所が禁止となり、ドローンを飛ばすには施設管理者の許可が必要となった。

 地元紙の沖縄タイムスが改正法の運用の実態を確かめるため、規制初日の9月6日に辺野古新基地建設が行われているキャンプ・シュワブの飛行を申請したところ、米軍から拒否の回答があった。理由は「作戦保全」で、防衛省も米軍の判断を追認した。

 辺野古新基地建設の埋め立て現場では軟弱地盤が見つかり、今後改良工事が進む。空から監視ができなければ適正な工事が行われているかどうかもわからない。こうした危機意識から市民団体の「沖縄ドローンプロジェクト」(藤本幸久代表)と辺野古ドローン規制法対策弁護団は9月17日、国会内で防衛省の担当者にドローン規制法について質問した。

 同プロジェクトや弁護団の疑問は、なぜ巨額の税金を投じた辺野古新基地予定地の建設現場を規制区域にしたのかだ。運用中の基地ならまだしも規制されたのは公共工事の現場で、つまり工事監視の排除が目的ではないのかと疑念を抱いている。

 それに対して、防衛省の担当者は「指定は米軍の運用に必要な範囲」と回答。防衛省から米軍へ国民の知る権利を尊重して欲しいと伝えてあるが、「ドローンの飛行申請の同意・不同意の判断は米側にある」と答えた。

 さらに今後、辺野古埋め立て地の規制対象区域外でドローンを飛ばす際に障害となりそうなのが規制区域との境界だ。規制法では対象施設とその周辺区域300メートルを飛行禁止に指定。辺野古は陸と同時に一部水域が対象施設に含まれるため、防衛省では「陸岸から500メートルを飛行禁止区域に指定した」という。

 だが、現場には入り組んだ場所があるうえ、そもそも防衛省が周辺区域に該当する場所の位置情報を公開していないことから、目印のない海上のどこからが飛行禁止区域なのかを特定するのは困難だ。

 ドローンを飛ばしていて気づかないうちに規制区域に侵入してしまうことも考えられるため、「飛行禁止区域がはっきりしないのに、立ち入ったら刑事罰を科すとはどういうことなのか」(藤本氏)との声も出た。土木技術者で同プロジェクトの奥間政則氏は、

「辺野古では今後、大型の特殊な作業船を大量導入した工事が始まる。濁り水が発生している現場をドローンで撮影されたくないために規制をしているとしか思えない」

 と話す。

 こうした状況に、沖縄選出の伊波洋一参院議員(無所属)が憤る。

「わかりづらくあいまいに制限区域を設定することで、規制区域の周辺でドローンを飛ばしたら逮捕されるのではないかとの恐れを持たせ、ドローンでの上空調査や取材を規制する方向になっている。米軍施設にカメラを向けるだけで法律違反に問われた沖縄返還前の状況と似てきているのに、それを政府が率先してやるのはおかしい。辺野古埋め立て工事は出来る限り透明性を確保すべきだ」(桐島瞬)

※週刊朝日オンライン限定記事