室井佑月「おかえりなさい」

室井佑月「おかえりなさい」

 森友学園の補助金詐欺事件で保釈された前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告。作家・室井佑月氏は、両被告が開いた会見での発言に注目する。



*  *  * 
 森友学園をめぐる事件で10カ月近く勾留されていた籠池前理事長夫妻が保釈された。そして、その夜、会見を開いた。

 奥さんの諄子さんは少し頬がこけてた。でも、かえって若々しくなった感じだ。オッサンもあのまま。300日も3畳間に閉じ込められていたのに、強い人たちである。

 会見の途中で笑ったり泣いたりする諄子さん。オッサンは自分で作った俳句を詠んだりしてみせる。記者に質問されると、オッサンもオバハンもいちいち律儀に、椅子から立ち上がって答えちゃって。

 正直なあたしの感想は、

「この夫婦、可愛らしい」

 だった。

 そりゃあね、彼らは園児たちに教育勅語を暗唱させたり、「安倍首相がんばれ!」といわせたり、漏らしたうんこを園児のカバンに入れお持ち帰りさせたり、そういうとんでもない幼稚園を開いていた。

 園児にうんこのお土産を持たせるなよ、バッチイ。いやいや、そこじゃない、彼らが保護者の人たちに、人種差別的な文書を配っていたのは許せない。

 でも、彼らのそういう考えが、安倍応援団に気に入られたのも事実。

 昭恵夫人はこの幼稚園の教育に感動して涙したり、新設しようとしていた小学校の名誉校長を引き受けたり。

 安倍応援団の文化人なども、嬉々としてこの幼稚園で講演を引き受けた。

 籠池夫妻がメディアに出てなにかしゃべれば、彼らのことを頭がおかしい人だと、安倍応援団のコメンテーターたちはレッテルを貼ろうとする。

 しかし、籠池夫妻を頭がおかしい変な人としてしまうなら、彼らを当初、絶賛していた人たちだっておなじなのだ。

 てか、籠池夫妻にレッテルを貼る人たちは、当初、彼らを絶賛していた人たちというバカバカしさ。

 籠池夫妻が国の補助金を騙しとったといっても、その金は返金済みだ。

 彼らは逃げる恐れもないだろうし、園も自宅もガサ入れが入り、隠せるようなこれ以上の証拠もなかったように思う。当初の薄汚い仲間に裏切られ見捨てられ、300日も不当に拘束されたこの夫婦の味方をしたくもなる。

 それに欲という毒素の抜けた籠池のオッサンは、案外、まっすぐな正しいことをいう。

 決裁文書の改ざんについて問われれば、

「ああいうものは、国民の財産でしょう。公文書というのは。そういうものを書き換えるというのが国民の、いわゆるサーバントであるところの国家公務員がすることではない。(中略)それは国民に対する背信です」

 いま安倍総理に伝えたいことは、

「しっかり本当のことを対応されることが一番よろしかろうと思います。(中略)正々堂々と伝達、報告するべきもんじゃなかろうかと思います」

 オッサンの話をもっと聞いてみたいかも。

※週刊朝日  2018年6月15日号


関連記事

おすすめ情報

AERA dot.の他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

政治 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

政治 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索