政権の要である官房長官に抜擢された加藤勝信・前厚生労働相。安倍晋三前首相の実弟の岸信夫氏は防衛相として初入閣した。その理由を政界関係者はこう話す。



「2人は安倍ファミリーですよ。加藤勝信さんは、安倍さんの母親で『政界のゴッドマザー』と言われる洋子さんがかわいがっているんです。2人の閣僚就任は、菅さんから安倍さんへの『恩返し』のプレゼントですね」

 まずは、加藤氏の場合。農水相などを歴任した加藤氏の義父の加藤六月氏は、安倍前首相の父である安倍晋太郎氏のブレーンで、「安倍派四天王」の一人だった。六月氏と妻の睦子さんは2人の娘をもうけている。

「六月さんは官僚の婿を加藤家に迎えたいというのが希望で、財務官僚の勝信さんを娘婿に迎えたんです。当初、六月さんの長女と結婚する話もあったようですが、長女の米国への留学などで実現せず、次女の周子さんと結婚したと聞きました」(前出・政界関係者)

 2人の娘は安倍前首相とも幼なじみ。安倍家と加藤家は家族ぐるみの交流が現在も続いている。

「洋子さんと睦子さんとは昔からマージャン仲間でね。睦子さんが洋子さんの家まで、車で迎えに行って、2人でお出かけすることもしばしばです」(同)

 温厚な性格だという加藤氏だが、前任の菅氏は内閣人事局を通して中央省庁の幹部人事を決め、官僚たちに睨みをきかせた。果たして加藤氏にそこまでのグリップ力が発揮できるのか。

「官僚出身の政治家は、どうしても官僚に甘くなる。縦割り行政の改革とか、加藤さんに期待するのはムリでしょう」(自民党議員の元秘書)

 一方の岸氏。衆院ならば当選5回が「入閣適齢期」と言われる中で、3選目でのスピード入閣は、いかにも“安倍家の七光り”を感じずにはいられない。前出の政界関係者はこう語る。

「岸さんの防衛相就任というのは、外交防衛分野では安倍さんが新政権をバックアップしますよということ。加藤さん、岸さんという『ファミリー』の2人を内閣に置くことで、安倍さんが一定の影響力を残したと見ています」

 一方、「菅支持」をいち早く表明して、菅政権誕生の流れをつくった二階俊博幹事長にも、「恩返し」人事が行われたとみられる。二階博俊の幹事長続投に加えて、二階派から武田良太・国家公安委員長が総務相に横滑り就任したのに加え、平沢勝栄氏が復興相として初入閣した。政界関係者はこう見る。

「二階派に幹事長、総務相、復興相の3つのポストを与えたんだから、今回の人事には安倍さんだけなく、二階さんに対する感謝もあるでしょう。他の政権だったら入閣できるか微妙だった平沢さんを入れたんだから」

 平沢氏は安倍首相の小学校時代の家庭教師としても知られる。当選8年でも未入閣だった。毎年、平沢氏の政治パーティでは一度も大臣に就任していないことが話題になっており、まさに悲願の入閣だった。

「平沢さんは大臣になりたくて、山崎派から二階派に移籍したんだから。これまで誰もできなかったのに、やっぱり二階さんは力がある、と周りは見ることになるでしょうね」

 菅首相が提唱する携帯料金の値下げや地方創生などの中心課題を担うことになる重要ポストの総務相には、武田良太氏を就任させた。

「武田さんは国家公安委員長で、閣外に行くと思われていた。それを総務大臣に横すべりさせたのは、二階氏の意向もあるのでは。ゆくゆくは、武田さんが二階派を継ぐかもしれない」

(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事