お嬢様キャラの社会派お笑い芸人として注目を浴び、慶応義塾大学卒業後、NHKに約2年半勤務し、現在は時事ユーチューバーとして活動するたかまつななさん。今回の総裁選でも現場での取材を続けたたかまつさんに、新政権の印象を聞いた。AERA 2020年9月28日号の記事を紹介する。



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──たかまつさんは候補者の出馬会見などを熱心に取材されていました。

 有力者の思惑で決まってしまうのはある程度は仕方ないですが、今回は女性や若い候補者が一人も出てこなかったのが残念でした。記者会見で驚いたのは、質問する記者も男性ばかりだったこと。菅さんの出馬会見のとき、東京新聞の望月衣塑子記者の質問に菅さんはちゃかすように答えて、記者席の前に座っていた人たちからは菅さんにこびるように笑いが起きました。番記者を始めとした政治記者だと思います。私は望月さんの考えにすべて賛同しているわけではありませんが、非常に強い違和感がありました。

■ときめく言葉なかった

──会見が内輪の催しに。

 私が政治に興味を持ったきっかけは、政局ではなく社会問題を解決する手段として政治があると考えたからです。なのに、現場から見えた課題をぶつけることがあまり見られませんでした。今回は女性活躍や子育て、教育の話はほとんど出てこなかったのが驚きでした。菅さんの会見ではこちらがときめくような言葉もなく、総裁になってほしいとは思いませんでした。

──森友や加計など疑惑が数々起きた安倍政権は若い人たちにとってどう見えていましたか。

 そんな見方をするのは意識が高い感覚だと思います。多くは政治に興味がないと思います。自分が若者を代表していいのかは分かりませんが、「令和おじさん、かわいい」とか、その程度の感覚ではないでしょうか。

 一方で、第2次安倍政権の後半では大学入試改革や9月入学など学生の子たちがデモや署名活動をして政治を動かしたという現象もありました。私自身はNHKにいたこともあって責任を感じています。これだけ政治に無関心な若い人たちが動かざるを得ない状況を作ったのは、メディアの検証が機能しなかったからではないでしょうか。

──そのメディアの影響か、菅人気は突然、高まりました。

 私の不勉強かもしれませんが、菅氏が総理になるとは想像もしていませんでした。それにしても、世論調査の数字までなぜ急に変わったのでしょうか。明らかにPRのためと分かってテレビ番組に出演させて、厳しい質問をしないメディアの罪深さを感じました。「苦労人」や「パンケーキ」はどうでもいいです。菅氏が継承すると言っている安倍政権を検証することもなく、そうした報道を繰り返すメディアは本当にいかがなものかと思いました。

──それでも実際に菅政権が誕生しました。

 デジタル庁や不妊治療、携帯料金もいいですが、「この人でなければ」と思わせるようなこれからの日本のあり方を示してもらえなかったのは、とても残念に思っています。

(聞き手/編集部・小田健司)

※AERA 2020年9月28日号