菅義偉首相の新政権で初入閣した野上浩太郎農水大臣。安倍政権で菅官房長官の下で3年間官房副長官を務めた実績もあり、閣僚ポストを射止めた。しかし早速、疑惑のカネが浮上している。

 野上氏の地元、富山県は4年前に大きく揺れた。富山県議や富山市議、高岡市議が、架空の領収書を使い政務活動費を不正請求していたことが発覚。18人の地方議員が辞職に追い込まれた。

 この不正請求のカネが野上氏に還流した疑惑があるのだ。11年、野上氏の政党支部「自由民主党富山県参議院選挙区第1支部」に自民党所属の富山県議ほぼ全員が一人あたり3万円の寄付をしている。寄付者の肩書はなぜか「会社役員」。

 また、13年の野上氏の政治団体「浩友会」の報告書でも、自民党県議が「会社役員」という肩書で、一律3万円の政治献金をしている。

 つまり、野上氏は11年と13年でのべ58人の県議から計174万円を受け取っていた。寄付した自民党所属県議に取材すると、「断ると『自民党から出て行け』などと言われ、なかば強制だった」。

 問題は2人の県議からの寄付だ。二つの報告書のどちらにも矢後肇元県議の名前があった。献金額は合計6万円だ。矢後氏は富山県議会の副議長まで務めた人物。しかし、16年7月、政務活動費460万円あまりを不正に請求し、受領していたことが発覚。辞職に追い込まれた。その後、矢後氏は約360万円をだましとったとして、富山地検に起訴され、懲役1年6カ月、執行猶予4年の有罪判決が確定している。

 矢後氏の不正請求は、10年度から15年度にかけてのものだった。野上氏への政治献金は詐欺という犯罪行為に手を染めている時になされたものだ。

 もう一人いる。11年の自由民主党富山県参議院選挙区第1支部、13年と16〜18年の浩友会の報告書には、武田慎一県議がそれぞれ3万円、合計15万円を寄付した記載がある。武田氏も14〜19年分の政務活動費約96万円(利子含む)を富山県に返還したが、議員辞職はしていない。

  武田氏の場合も政務活動費を過大に受領していた時の献金だ。矢後氏は本誌の取材に「もう判決も下され、お話したくない」、武田氏は「(事件は)反省しています。野上氏への献金は問題ないと思います」と語った。

 野上氏の事務所に見解を尋ねると、矢後氏と武田氏が不正請求で得た資金から寄付されたのではないか、という問いに対し、

「いずれの寄付も問題とされた政務活動費から支払われたものではないと確認しています」

 そして自民党所属県議からの3万円の寄付の経緯や、職業を「会社役員」とした理由を尋ねると、

「強制という事実はありません。なお、職業欄の記載については、当時の担当者が本年逝去しているので事情を直ちに確認することができませんが、いずれにしても事務所で内容を確認し、適切に対応致します」

(今西憲之/本誌 吉崎洋夫)

※週刊朝日2020年10月9日号