1位指名も複数あるぞ! U−18W杯で高い潜在能力見せた「ドラフト候補」は?

1位指名も複数あるぞ! U−18W杯で高い潜在能力見せた「ドラフト候補」は?

 決勝でアメリカを下した台湾の優勝で幕を閉じた野球のU−18W杯。日本代表はオープニングラウンドで台湾、スーパーラウンドで韓国とオーストラリアに敗れ、5位という結果に終わった。



 世界一を目指して準備を進めてきただけに残念な結果となったが、準優勝のアメリカからは大量16点を奪うなど随所に良いプレーが出たこともまた確かである。そして10月に行われるドラフト会議に向けて、格好のアピールとなった選手も少なくなかった。そこで今回はU−18W杯で評価を上げた選手をピックアップしてみたいと思う。

 投手で最も目立ったのは西純矢(創志学園)だ。アメリカ戦では先発登板した林優樹(近江)の後を受けて3回からマウンドに上がり、5回に2点は失ったものの3イニングを投げて5奪三振の快投を見せてチームに流れを引き込んだ。

 オープニングラウンド最終戦となったパナマ戦でも先発で6回を投げて被安打4、7奪三振、1失点(自責点0)と快投。スーパーラウンドの韓国戦でもライトで先発出場しながら、血マメを潰した佐々木朗希(大船渡)に代わって2回からマウンドに上がるという緊急登板だったにもかかわらず、4回を投げて4奪三振、無失点というピッチングを見せた。

 コンスタントに150キロ前後をマークするストレートをコーナーに集め、打者の手元で鋭く変化するスライダー、フォークも一級品。先発としてもリリーフとしても高い適正を見せたことも大きなプラス要因である。

 打者としても南アフリカ戦で2本塁打、8打点の大活躍で非凡なところを見せつけた。そして昨年と比べて大きく成長したのが精神面だ。本人も以前は味方のエラーでイライラすることがあったと話していたが、今大会ではどんな場面でもマウンドでは常に表情を変えず、その結果がピッチングにもよく表れていた。大会後、進路については明言を避けたが、プロ志望であれば1位指名の12人に入ってくる可能性は極めて高いだろう。

 投手でもう一人目立ったのが飯塚脩人(習志野)だ。全てリリーフで4試合に登板し、6回を投げて被安打3、8奪三振、無失点とほぼ完璧なピッチングを見せた。

 夏の甲子園と比べてもストレートの勢い、精度がアップしており、球威で押す投球ができるのが持ち味。走者を背負った場面でよりギアを上げて三振を奪えるのはリリーフ投手としての適性の高さを感じる。西に比べると表情に出やすいのはご愛敬だが、ピッチングから精神的な強さが感じられるのもプロ向きと言えるだろう。本人は大学進学を希望すると言われているが、もし翻意してプロ入りを志望するようなことになれば、上位指名の可能性も十分に考えられる。

 野手で最も強いインパクトを残したのが石川昂弥(東邦)だ。全試合4番に座り、打率.333、1本塁打、チームトップタイの9打点をマークするなど主砲として十分な働きを見せた。高校生の場合木製バットに苦労することが多いが、石川はいち早く対応。パナマ戦では打った瞬間にそれとわかるレフトオーバーのスリーランを放ち、その長打力は世界レベルでも目立つものがあった。

 また韓国戦では相手のライトが目測を誤るほどの打球の伸びを見せるツーベースも放っており、広角に長打を放てるのは得難い長所である。今年はどのカテゴリーにも強打者タイプの選手は少ないだけに、今大会の活躍で2位候補から外れ1位、もしくは単独1位も狙えるくらいに評価は上がった印象を受ける。

 野手では森敬斗(桐蔭学園)と韮沢雄也(花咲徳栄)の二人も評価を上げた。森は1番、韮沢は3番で全試合フル出場。森は打率.320、チームトップとなる9四死球を選んで出塁率.500とトップバッターとしての役割をしっかり果たした。内角の速いボールをしっかり振り切ってライト戦に2本のスリーベースを放つなど、打撃に力強さが出てきたのも心強い。

 特にアメリカ戦では1点を先制された直後の一打で、チームに勢いを与えた。抜群の脚力と全力疾走を怠らない走塁も見事だ。韮沢はチームトップの10安打を放ち、一塁のベストナインにも選出された。スイングのバランスが良く、緩急や左右の揺さぶりへの対応力の高さは高校生トップレベル。コースに逆らわず、広角に打てるのも高打率を残せる要因だ。守備では慣れないファーストに苦しむ部分もあったが、この経験をしたことが将来にもきっと生きてくるはずだ。

 最後に触れたいのがやはり奥川恭伸(星稜)だ。甲子園の疲れからオープニングラウンドでは代打のみの出場だったが、スーパーラウンドのカナダ戦では7回を投げて被安打2、18奪三振、1失点という圧巻のピッチングを見せた。

 元々評価が高い選手だけにこのピッチングで今更どうこうということはないかもしれないが、疲れが残る中でも短期間でしっかり立て直すことができたことで、プロ側もより安心して指名しやすくなったことは間違いない。複数球団による1位指名は間違いないだろう。

 世界を舞台に戦った彼らを指名する球団はどこになるのか。運命のドラフト会議は10月17日に行われる。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。


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