大阪、京都がズラリ 高校別「ラグビー日本代表輩出数」ランキング

大阪、京都がズラリ 高校別「ラグビー日本代表輩出数」ランキング

 第9回ラグビーワールドカップが始まった。日本代表に選ばれた精鋭31人を含む、歴代のワールドカップ日本代表(1987年第1回大会〜2019年第9回大会)の高校時代を探り、出身高校ランキングを作ってみた。



 まず、2019年日本代表を見てみよう(カッコ内は現校名)。

 大学入学、またはトップリーグのチームに加入するときに、来日した外国人選手が増えたことによって、日本の高校出身者は大会ごとに少なくなっている。今大会では日本国内17の高校出身者19人がいた。伏見工業(京都工学院)、東海大仰星が2人ずつ、そのほかは1人ずつだ。

 全国高等学校ラグビーフットボール大会(通称「花園」)で日本一になった経験があるのは、山中亮平(2006年度、東海大仰星)、松島幸太朗(2010年度、桐蔭学園)の2人。松島の父親はジンバブエ人、母親が日本人である。

 国内の高校出身者19人のうち16人が花園に出ており、高校日本代表も多い。花園を経験していないのは、木津悠輔(由布)、具智元(日本文理大付属)、堀江翔太(島本)である。

 なお、国内17高校のうち15校が花園に出たことがあるラグビー強豪校だ。花園未経験の大分県立由布は、県内に大分舞鶴という絶対王者(2018年度まで33年連続、通算57回出場)が君臨していることもあり、全国大会への道は険しかった。木津は無名校のラグビー部員に勇気を与えた。こう話している。

「確かに自分のなかでも無名校から上がってきたことにプライドを持っている部分もありましたが、行ったチームではそこに入ってからの(動きで)評価(される)。無名校から入ってそこにいるのがいいのではなく、そこでしっかりとやることが評価につながる」(ウェブサイト「RUGBY REPUBLIC 2019」2019年2月21日)

 17高校中、公立は6校。新潟工業、伏見工業、島本、福岡、由布、荒尾(岱志)だった。

 歴代のワールドカップ日本代表(1987年第1回〜2019年第9回)の出身高校上位校の特徴、出身選手を見てみよう(高校のあとのカッコ内が現校名。選手のあとのカッコ内はワールドカップ代表選手に選ばれた年)。

 1位大阪工業大学高校(常翔学園)は、明治大と同志社大とのラグビー界の「高大接続」がしっかりできあがっている。明治大に河瀬泰治(1987年)、藤田剛(1987、91年)、元木由記雄(1991、95、99、2003年)、赤塚隆(1995年)、松原裕司(2007年)が進んだ。同志社大では宮本勝文(1987、91年)、弘津英司(1995年)が活躍した。花園37回出場、5回優勝。

 2位伏見工業(京都工学院)はテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルとして有名だ。1980年代、90年代は伏見工業→同志社大→神戸製鋼というラグビーのエリートコースが成立しており、平尾誠二(1987、91、95年)、大八木淳史(1987、91年)、細川隆弘(1991年)などが活躍した。田中史朗(2011、15、19年)は身長160センチメートル台ながら、海外の巨体選手を翻弄する俊敏さを持っている。花園20回出場、4回優勝。

 3位東海大仰星。同校ウェブサイトは、ワールドカップ代表のOBについて記している。「本校卒業生の山中亮平選手(22期 神戸製鋼コベルコスティーラーズ所属)、北出卓也選手(26期 サントリーサンゴリアス所属)の両選手が選出されました。日本代表として精一杯頑張ってくれると思います。本校としても両選手をはじめとして東海大学出身の選手も多数選出されていますので、精一杯応援したいと思います」(9月9日)。歴代の日本代表で東海大に進まなかった者が半分いる。山中は早稲田大へ。京都産業大に進んだ大畑大介(1999、2003年)は、元読売ジャイアンツの上原浩治と同級生である。花園18回出場、5回優勝。

 4位啓光学園(常翔啓光学園)。常翔学園グループの大阪工業大学高校と兄弟校になったが、こちらの進路は法政大、早稲田大、京都産業大、同志社大、大阪体育大とバラけている。花園で2001〜04年度まで4連覇を果たしている。花園19回出場、7回優勝。

 5位秋田工業は花園出場67回、優勝15回を誇る。いずれも全国最多記録だ。明治大に吉田義人(1991、95年)、法政大には桜庭吉彦(1987、95、99年)を送り込んだ。2人ともワールドカップでは先発出場が多いレギュラーだった。

 5位島本は激戦区大阪の府立高校ながら、花園には4回出場している。伊藤義孝校長は「校長ブログ」でこう報告した。「今年日本で行われるラグビーW杯の代表選手が昨日発表されました。4年前には南アフリカを破り大きな話題なりましたが(ママ)、今年は日本大会です。もうみなさんも知っていると思いますが、その代表選手として、再び堀江翔太選手が選ばれました」(8月30日)

 7位新田は花園45回出場。向井昭吾(1987年)は、2003年のワールドカップで日本代表監督を務めたが、全敗に終わった。坂田正彰(1999、2003年)は花園で1年から3年までレギュラー選手として活躍し、法政大、サントリーに進んでいる。

 7位東福岡は花園に19年連続29回出場している。優勝6回。藤田慶和(2015年)は1年時からレギュラーで活躍して早稲田大に進み、前回のワールドカップでトライをあげている。

 ほかに注目すべき高校をいくつかあげよう。

 13位慶應義塾。生田久貴(1987年)、村井大次郎(1987年)は花園には出場していないが、慶應義塾大に進んで、生田は大学選手権優勝、村井は準優勝を経験している。生田は三菱商事、村井は丸紅に就職したあと、日本代表に選ばれている。商社にやたら強い慶應らしい。花園は34回出場、2回優勝。

 13位佐賀工業は花園に37年連続47回出場している。五郎丸歩(2015年)、山村亮(2003、07年)を生んだ。五郎丸のペナルティーキック、コンバージョンキックを蹴るときの拝むようなポーズは全国的に有名となり、多くの子どもたちがまねをしていた。

 26位札幌山の手は日本代表キャプテン、リーチマイケルの出身校である。2004年、ニュージーランドから来日して札幌山の手に入学した。花園は17回出場。

 公立進学校出身の日本代表がいる。

 中村直人(1999年、京都府立洛北→同志社大)、広瀬俊朗(2015年、大阪府立北野→慶應義塾大)、山田章仁(2015年、福岡県立小倉→慶應義塾大)、福岡堅樹(2015、19年、福岡県立福岡→筑波大)、今泉清(1999年、大分県立大分舞鶴→早稲田大)。このうち、花園経験者は福岡、今泉のみ。

 福岡が2010年度に花園に出場したときの監督が、高校の先輩の森重隆だった。森は福岡高校から明治大、新日鉄釜石に進んでいる。新日鉄釜石時代は日本選手権4連覇を果たした。2019年、森は日本ラグビーフットボール協会会長に就任している。福岡は東京五輪終了後、医師の道に進むと公言している。

 広瀬は最近、TBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」にラグビー選手役として出演して話題になった。山田はファッションモデルの妻と「踊る!さんま御殿!!」「行列のできる法律相談所」などのバラエティー番組に出演している。今泉は宝塚出身の女優、涼風真世と夫婦だったことがある。

 ワールドカップの歴代日本代表の出身高校はさすがにラグビー強豪校が多いが、大学ほど一極集中する傾向は見られない。帝京大、少し前の同志社大のように。

そして、もっとも特徴的なのが、上位校に大阪、京都といった関西勢が多いことだ。高校ラグビーの世界では西高東低がくっきり示されている。

 一方、歴代日本代表の出身大学ランキングは、早稲田大、明治大、法政大、関東学院大、そして帝京大が上位に並んでおり、東高西低となっている。これは、関西、九州のラグビー強豪校の優れた選手が関東の大学に流れたことを意味する。

 最近、関西勢の大学が大学選手権優勝から遠ざかっている。1984年度に同志社大が優勝したのが最後だ。ラグビーの強い関東の大学に進みたいと望む高校生ラガーマンが増えたことと、東高西低は十分に関係がありそうだ。

 日本代表が高校生だったころの活躍を知るのは興味深い。原点を高校時代に見ることができよう。エピソードもたくさんあるはずだ。ワールドカップの一つの見方として日本代表を出身高校から見るのもおもしろい。

(文=教育ジャーナリスト・小林哲夫/選手名は敬称略)


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