サッカー選手の能力を評価する指標は様々あるが、大事な要素として「フィジカル」がある。直接的には「肉体」、「身体」の意味を持つが、サッカーにおいては「当たりに強い」、「パワーがある」、「体力がある」ということも指す。そのフィジカルに強い(強かった)日本人選手のベストイレブンを選んでみたい。



 まずはGK。最後の砦としてゴールを守り、何より高さが求められるポジションだからこそ、日本代表史上最高身長のシュミット・ダニエルを選びたい。アメリカ人の父を持つハーフ選手。足元の技術も高いが、やはり197センチの高身長があってこそ。ベガルタ仙台在籍時の2018年に日本代表に初選出。現在はベルギーのシント=トロイデンに所属している。

 次は屈強さが必要なDF陣。センターバックの1人目は秋田豊を選んだ。1993年に鹿島アントラーズに加入すると、筋力トレーニングで鍛え上げた屈強な肉体を生かした激しい守備と力強いヘディングで数々のタイトルを獲得して37歳まで現役を続けた。センターバックのもう一人は中澤佑二だろう。秋田同様、決して足元の巧さはなかったが、187センチの長身と当たりの強さでそれをカバーし、特にエアバトルの強さは随一。年齢を重ねるごとに完成度を高め、日本代表でも2度のW杯を含む通算110試合に出場して計17得点を決めた。

 右サイドバックは、酒井宏樹の力強さが光る。身長183センチの体格を生かしたプレーで、日本代表だけでなく現在はフランスの名門マルセイユで確固たる地位を築いた。元日本代表監督のハリルホジッチ氏曰く「モンスター級のフィジカルを持っている」。その実力はW杯の舞台でも証明された。そして左サイドバックは、長らく日本代表のダイナモとして活躍してきた長友佑都だ。170センチながら決して当たり負けることはなく、圧倒的な運動量で左サイドを上下動。日本人でも体を鍛え上げれば、大柄な海外FWとも互角以上に渡り合えることを証明した。

 攻守両面で力を発揮する必要があるMFは4人。1人目は、世界への扉を力強くこじ開けた稀代のフロントランナー・中田英寿を選んだ。相手の懐を突くキラーパス、ローマをスクデット獲得に導いた強烈なミドルシュート、ゲーム全体の流れを読む優れたインテリジェンスなど、傑出した能力を数多く持っていたが、その中でも守備自慢のカルチョの国でトップ下を張れたのは強靭なフィジカルがあったからこそ。体格的には大きくなかったが、体を投げ出して止めに来たDFを逆に弾き返すシーンを何度も見た。

 どうしても外国人選手に当たり負けしてしまう傾向がある日本人選手だが、中田は「世界最強リーグ」と呼ばれていた当時のイタリア・セリエAでも、屈強な外国人選手を凌駕するほどのフィジカルを誇った。中田の現役時代の映像を今見ても、世界で戦うためにはいかに“体の強さ”が必要なのかを痛感させられる。

 2人目は稲本潤一だ。天性のボディーバランスを持ち、激しいチェイシングからボールを奪取し、そのまま前線に持ち上がるプレーは日本人離れした力強さがあった。かつて日本代表のサイドバックとして活躍した都並敏史は、18歳時の稲本(当時G大阪)との“デュエル”に敗れて、引退を決意したというエピソードもある。2001年に行われたイタリア代表との親善試合で世界的DFカンナバーロをお尻でぶっ飛ばして柳沢敦のゴールをアシストしたシーンも印象的だ。

 世界のケイスケ・ホンダこと、本田圭佑もフィジカル自慢の選手だ。運動量は決して多くないが、相手を跳ね除けながらドリブルし、相手に囲まれながらもボールをキープする姿は実に力強く、代名詞である強烈な無回転キックも強い筋力があってこそだ。本田とは逆に、運動量をフィジカルと解釈した場合、最後の4人目としてサガン鳥栖の35歳ボランチ、高橋義希を選びたい。代表とは無縁だが、運動量が非常に多く、Jリーグのトラッキングデータで2016年、17年と2年連続で年間走行距離1位を記録。特に2017年は試合別の走行距離上位10傑中7試合を高橋が記録した。

 最後のFWは2人。1人目は“ドラゴン”久保竜彦を選ぶ。どんな体勢からでも強烈なシュートを繰り出すバネ、跳躍力は驚異的。怪我の多さが悔やまれるが、身体能力の高さは過去の日本人FWの中でも随一だろう。もう1人には、現在セレッソ大阪に所属する都倉賢を選ぶ。187センチの恵まれた体躯に研ぎ澄まされた筋肉を搭載し、強引かつ豪快なゴールを奪うストライカー。アスリートタイプの武藤嘉紀も選びたいところだったが、フィジカルベストイレブンと言うならば、「和製イブラヒモビッチ」、「和製バロテッリ」と呼ばれる都倉を是非ともメンバーに加えたい。


以下、今回選出したメンバー※()内は身長、体重

【GK】
シュミット・ダニエル(197センチ、88キロ)

【DF】
秋田豊(180センチ、78キロ)
中澤佑二(187センチ、78キロ)
酒井宏樹(183センチ、70キロ)
長友佑都(170センチ、68キロ)

【MF】
中田英寿(175センチ、72キロ)
稲本潤一(181センチ、77キロ)
本田圭佑(182センチ、74キロ)
高橋義希(170センチ、67キロ)

【FW】
久保竜彦(181センチ、73キロ)
都倉賢(187センチ、80キロ)