今月2日、ウエスタンリーグでは石川昂弥(中日)、イースタンリーグでは森敬斗(DeNA)が二軍ではあるものの、二人のドラフト1位野手がプロ入り初ホームランを放った。ともにチームの将来を担う選手として高い期待を受けており、まずは順調なスタートを切ったと言えるだろう。そこで今回は、彼らのように大きな話題となって高校からドラフト1位でプロ入りした選手は果たしてどの程度で一軍の戦力となっているのか、また期待通りに主力になる割合はどの程度なのか、過去の事例から検証してみたいと思う。



 まず、2008年に統一ドラフトになってから昨年までの12年間で高校卒のドラフト1位でプロ入りした野手が規定打席に到達するまでの年数と、通算成績を調べてみたところ以下のような結果となった(通算成績は7月2日終了時点、球団名はドラフト指名のチーム)。

2008年
大田泰示(巨人)
規定打席到達:9年目
通算成績:591試合 484安打60本塁打229打点25盗塁 打率.261

2009年
今宮健太(ソフトバンク)
規定打席到達:4年目
通算成績:1066試合 896安打67本塁打355打点66盗塁 打率.249

筒香嘉智(横浜)
規定打席到達:3年目
通算成績:968試合 977安打205本塁打613打点5盗塁 打率.285

2010年
山下斐紹(ソフトバンク)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:116試合 42安打5本塁打15打点0盗塁 打率.200

山田哲人(ヤクルト)
規定打席到達:4年目
通算成績:975試合 1079安打206本塁打594打点171盗塁 打率.296

後藤駿太(オリックス)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:811試合 356安打14本塁打137打点31盗塁 打率.223

2011年
高橋周平(中日)
規定打席到達:7年目
通算成績:592試合 476安打42本塁打236打点6盗塁 打率.256

川上竜平(ヤクルト)
規定打席到達:未到達(在籍5年)
通算成績:一軍出場なし

2012年
高橋大樹(広島)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:41試合 18安打1本塁打3打点0盗塁 打率.261

2013年
森友哉(西武)
規定打席到達:3年目
通算成績:606試合 606安打75本塁打339打点14盗塁 打率.298

渡辺諒(日本ハム)
規定打席到達:6年目
通算成績:238試合 184安打19本塁打78打点1盗塁 打率.249

2014年
岡本和真(巨人)
規定打席到達:4年目
通算成績:333試合 348安打70本塁打212打点7盗塁 打率.287

2015年
平沢大河(ロッテ)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:236試合 108安打7本塁打46打点9盗塁 打率.197

オコエ瑠偉(楽天)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:188試合103安打9本塁打38打点16盗塁 打率.219

2016年
該当者なし

2017年
清宮幸太郎(日本ハム)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:142試合 85安打15本塁打54打点0盗塁 打率.198

中村奨成(広島)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:一軍出場なし

村上宗隆(ヤクルト)
規定打席到達:2年目
通算成績:160試合 134安打40本塁打111打点5盗塁 打率.238

安田尚憲(ロッテ)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:24試合 9安打1本塁打7打点0盗塁 打率.125

2018年
根尾昂(中日)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:2試合 0安打0本塁打0打点0盗塁 打率.000

藤原恭大(ロッテ)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:6試合 2安打0本塁打2打点0盗塁 打率.105

小園海斗(広島)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:58試合 40安打4本塁打16打点1盗塁 打率.213

太田椋(オリックス)
規定打席到達:未到達(現役)
通算成績:6試合 0安打0本塁打0打点0盗塁 打率.000

 直近の5年間に入団した選手を除く12人のうち8人が規定打席に到達している。つまりレギュラーになっている確率で言えば66.7%。ドラフトで入団した選手も打率と同様に3割当たれば御の字という中で、この数字は非常に高いと言えるだろう。また今宮、筒香、山田、森、岡本の5人については日本代表クラスであり、期待通りにチームの看板を背負って立つ選手となっている。

 次に規定打席に到達するまでの年数だが、到達した9人の平均を出したところ4.7年という数字となった。まだ到達していない選手もおり明確な数字はだせないが、大体レギュラーを獲得するまでには5年程度を要すると考えられる。これを早いと見るか遅いと見るかは意見が分かれそうだが、大学卒1年目の野手がレギュラーを獲得する確率が決して高くないということを考えると、高校卒ドラフト1位の方が若い年齢で主力となっているということになりそうだ。

 また、レギュラー獲得については選手だけの問題というわけではない。到達した選手の中で最も時間のかかった大田は、毎年のように他球団の主力選手が入団してくる巨人の中で出場機会に恵まれず、結局開花したのはトレードで日本ハムに移籍した後だった。また7年を要した高橋周平についても、一軍出場は早かったにもかかわらず、首脳陣が抜擢しきれなかったという印象が強い。

 ただ大田や高橋周平の例はあるものの、全体的に見ると以前と比べて抜擢は早くなっているように見えるのもまた確かだ。ヤクルトは川上が全く戦力にならなかったという例はあるものの、山田と村上については早くから抜擢しており、山田は3年目に99安打を放ち4年目には193安打、29本塁打と大ブレイク。村上にいたっては2年目で36本塁打96打点という見事な数字を残している。

 また、プロとアマチュアの差が一番大きいと言われるキャッチャーでも、森が3年目にレギュラーに定着している。今年はここまで二軍暮らしが続いているが、小園もプロ入り一年目からショートという難しいポジションで一軍である程度結果を残してみせた。少し前までは、高校生であれば3年から5年は二軍で鍛えてという発想だったが、徐々にその考え方も変わってきていると言えるだろう。

 昨年大ブレイクした村上は今シーズンも開幕から4番を打ち続け、ここまで順調に結果を残している。また岡本も巨人の4番打者としての風格が出てきた印象だ。冒頭で取り上げた石川と森敬斗、また2年目を迎えている根尾、藤原、小園、太田の4人についても、岡本や村上のように早くからチームを背負って立つ存在へと成長してくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。