丸山茂樹氏は、米PGAツアーの開幕戦で11年ぶりに優勝した47歳のスチュワート・シンク選手について語る。


*  *  *
 いやあ、すごいなあ。テニスの大坂なおみさん(22)が2年ぶり2度目の全米オープン優勝を飾りました。

 感情を抑えるプレースタイルが印象的でした。これまでは感情の起伏が激しかったですけど、それがウィークポイントだったからこそ、ああいう風にしてるのかなと。それが成功につながってるんで、すごくいいんじゃないかと思います。

 人種差別に抗議するマスクを着けてコートに入場したのも話題になりました。僕もアメリカに住んでて、黒人だけじゃなくて東洋人もそういうところがあるんでね。海外に出ていろいろ嫌な思いというか、「こういうことがあるんだな」という経験をいっぱいしてきてるんで。まあ第三者的に見て、彼女の気持ちもすごくわかりますよ。自分がああやって行動に移せるかといったら、わかんないですけどね。

 さて、ゴルフです。東北福祉大4年の金谷拓実(22)が、2020年の世界ナンバーワンのアマチュアとなり、「マーク・マコーマックメダル」を受賞しました。

 もちろんワールドアマチュアランキング1位ですからね。それなりの実力も彼は持ってますし、結果で示してます。それを背中にしょって、堂々と全米オープンで戦ってきてほしいですね。

 20‐21年の米PGAツアーが始まりました。開幕戦の「セーフウェイオープン」(9月10〜13日、カリフォルニア州ナパのシルバラードリゾート&スパ ノース)は、アメリカの47歳、スチュワート・シンクが11年ぶりのツアー優勝を果たしました。

 彼は僕より4歳下で、戦友というか。特別な交流もなかったけど、結構いっぱい回りましたからね。アメリカ人特有というか、独特な感じのスイングなんですよ。ルックアップ打法っていって。まねしたこともありましたよ。手元を柔らかくしてね。体の動きを一気にフィニッシュまで持っていくっていう。

 同じリズムで振れてる安定感が47歳にしても健在なんですよね。あんまりにも変わってなくて驚きました。ああいう一気に振るってのが、長続きの秘訣なのかなと。インパクトを絶対に作らないんですよ。一コマ置かないんです。バックスイング、フィニッシュって感じで一気に振るあの姿がいいのかな、って改めて感じましたね。

 あれが、すごく理にかなってるんですよ。デビッド・デュバル(48)やロバート・アレンビー(49)といった似たようなスイングの選手がいっぱい出てきたんです。それを見て「いいなあ」と思って参考にしたんですけど、なかなか打てないんですね。子どものころから自分の頭と体に焼き付いちゃってるスイングもあるんで。

 これでシンクはあと2年はシード選手です。だからレギュラーツアーで最後までしっかりプレーして、シニアに行ける。シニアに入ったら強いですよ〜。

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表ヘッドコーチを務める。19年9月、シニアデビューした。ジュニア世代の育成にも注力している。

※週刊朝日  2020年10月2日号