冬の足音が大きくなり、年の瀬が迫ってきた。そして新春を迎えると、すぐに箱根駅伝の号砲が鳴る。コロナ禍によって応援自粛、無観客開催での異例のレースになるが、それと同時に近年稀に見る大混戦が予想されているのも第97回大会の特徴である。

 優勝候補に挙げられているのは5校。前哨戦である11月の全日本駅伝を大会新記録で制した駒沢大は、スーパーエース・田沢廉(2年)が絶好調で、全日本では8人中6人が区間5位内の安定感。箱根では13年ぶりの総合優勝を狙う。前回優勝の青山学院大は、エース・吉田圭太(4年)を筆頭に1万メートルのチーム内ランキング上位10傑が全員28分台という層の厚さを誇り、全日本で区間賞デビューを果たした佐藤一世(1年)も注目の逸材で、全日本4位からの巻き返しでの箱根連覇を目論む。

 前々回大会で初の総合優勝を果たした東海大は、黄金世代が卒業した後も各学年に実力者を揃え、特に塩澤稀夕(4年)、西田壮志(4年)、名取燎太(4年)の最上級生が充実。連覇を逃した前回も2位。今回も上位争いは間違いない。この「3強」に加え、全日本で3位に入った明治大、全日本で5区までトップを走っていた早稲田大も展開次第で“3強崩し”からの優勝を十分に狙える位置にいる。

 だが、この5校以外にも上位を狙うダークホースと言える大学があり、その一つがスーパールーキー・三浦龍司を擁する順天堂大だ。今年7月に3000メートル障害で日本歴代2位の記録を打ち立てた三浦は、10月の予選会で男子マラソン日本記録保持者の大迫傑が早稲田大1年時に記録したハーフマラソンのU20日本記録を6秒更新する1時間1分41秒で走破。全日本でも1区を圧巻のラストスパートで制して区間新をマークした。初の箱根路で、どのような走りを見せるのか。衝撃デビュー&新スター誕生に期待がかかっている。

 そして、この三浦“だけじゃない"ところが順天堂大の楽しみな部分で、予選会では10人全員が62分台内にまとめてトップ通過を果たした。その面子を見ると、予選会を1時間1分51秒の好タイムで走り、全日本では4区で大会区間新をマークした野村優作(2年)、予選会1時間2分09秒から全日本5区で区間5位に入った石井一希(1年)、さらに伊予田達弥(2年)、内田征冶(1年)、西沢侑真(2年)と下級生に好ランナーが多い。三浦の快走から波に乗り、前回大会で区間14位だった5区の山登りをうまくカバーできれば、総合5位以内だけでなく「3強」に割って入ること、そして大番狂わせを演じることもできる。

 さらにもう1校、復活を期す東洋大も注目したいチームだ。柏原竜二を擁して箱根初優勝を果たした2009年以降、10年間で4度の優勝を飾り、すべて3位以内という無類の勝負強さを見せてきたが、前回大会はエース・相沢晃の奮闘虚しく10位に沈んだ。再起を図るべく、チームスローガン「回帰と挑戦」を掲げてチームを鍛え直した。

 全日本駅伝では、トップから2分07秒差の6位。順天堂大と同様に1、2年生が充実しており、1区から4区まで児玉悠輔(2年)、松山和希(1年)、佐藤真優(1年)、前田義弘(2年)が襷を繋いだ。距離が伸びる箱根路。怖さ知らずの彼らが伸び伸びと走り、全日本で区間11位と振るわなかったエース・西山和弥が奮闘すれば上位との差は縮まる。そして、前回の箱根で山登りの5区で区間新を叩き出した宮下隼人(3年)が、再び「山の神」となって芦ノ湖に到着することができれば、東洋大の劇的な“復活優勝"があるかも知れない。

 いずれにしても群雄割拠の2021年箱根駅伝。どこが勝とうとも、アンカー勝負となった全日本駅伝同様のデッドヒートになる可能性大。今年はプロ野球もJリーグも“独走"で決着が着いただけに、混戦レースの面白さ、楽しさを、是非ともファンに提供してもらいたい。