今更、人に聞けない人狼ゲーム オーバー40向け初級講座

今更、人に聞けない人狼ゲーム オーバー40向け初級講座

「人狼ゲーム」というパーティーゲームをご存じだろうか。10数人が集まって村人チームと人狼チームに分かれ、最後まで生き残った方が勝ちというもので、10代では「知らない人はいない」と言われ、20代、30代でも多くの人が熱中している。なんだ若者向けかと思いきやこれがなかなか奥が深く、オーバー40でも十分楽しめる娯楽となっている。そんなわけで今回は若者に人気な人狼ゲームの魅力を、シニアな方々に向けて紹介したい。

 まずはどんなゲームか、簡単に説明しよう。プレイ人数は10数人が面白いと言われており、3人の「人狼」と1人の「狂人」(村人なのに、人狼の味方をするから狂人)から成る人狼チームと、一般の「村人」と予言者、霊媒師、騎士など、それぞれ特殊な能力をもった数人の「役職者」から成る村人チームに分かれるのが一般的だ。

 裏返したカードが配られてチーム分けされるため、本人以外は誰が人狼で村人か、はたまた役職者か、わからない状態でゲームは始まる。ゲームは1人の処刑者を話し合いで決める昼の部、人狼が村人を襲撃する夜の部の繰り返しで進行する。昼の部ではプレイヤー全員が話し合いをする(10分など、予め時間は決めておく)。その目的は誰か1人、処刑する人の決定だ。

 予言者は誰か1人について、「人か人狼か」を知ることができる。また騎士も、誰か1人決めた人を、夜人狼の襲撃から守れるなど、役職者は村人側に有利な能力を持つ。だから人狼側は、早く役職者を見つけだし、その人が処刑されるよう話し合いを仕向けることで勝利が近付く。また人狼や狂人は「我こそは予言者なり!」などと役職者を騙り、「本物はどっち?」と、村人チームに混乱を起こすのも作戦だ。

 逆に村人チームは話し合い中、プレイヤーの言動から矛盾や不審点を見つけ出し、人狼や狂人をあぶりだし処刑していく。そこに生まれる虚々実々、丁々発止のやりとりがゲームの魅力となっている。

 また人狼ゲームを楽しむには、これまで触れた10数人のプレイヤー以外に、ゲームマスター(GM)という役割が1人必要になる。GMはゲームの進行役で審判役でもある。昼、夜と続く進行を仕切り、まごつく初心者にやさしくアドバイスしたり、つい熱くなって不規則発言をする人をたしなめたり、ゲームが楽しくスムーズに進むようサポートする。

 このように人狼ゲームが面白いことは間違いないのだが、(1)10数人集める必要があり、(2)集まって遊べる場所が必要で、(3)GM役もいるというように、開催のハードルはなかなか高い。

 次に若者を中心とした人狼ゲームの人気ぶりを見てみよう。ここ5年、人気が高まっているという人狼ゲーム。普及に貢献した1人と言われるのが、人狼ルーム代表の児玉健氏だ。渋谷、秋葉原、巣鴨など都内5カ所でルームを経営、月間約150回の有料ゲーム会を開催している。1回10数人参加として、人狼ルームだけで月のべ約2000人がプレイしている計算になる。「お客さんのボリュームゾーンは20代から30代。中には高校生もいて、大人の社長さんと対等に議論を戦わせています」(児玉氏)。

 盛り上がりは東京だけではない。児玉氏によれば名古屋、大阪、九州など、人狼ゲームを楽しむグループは営利非営利含めて全国に30〜40ほど存在するという。また児玉氏は動画サイト「ニコニコ生放送」の番組「アルティメット人狼」に携わり、自身もプレイヤーとして出演しているが、同番組の企画として今秋「全国アルティメット人狼選手権」が開催される。北海道から九州まで7カ所で地方予選があり、約300人がエントリーしているという。

「大学に呼ばれて人狼ゲームの話をしたことがあります。ゲームを知っているか聞いてみると、知っている学生は9割、やったことがある人も8割くらい手を挙げました」(児玉氏)。若者がこぞって見る動画サイトに番組を持っていることも、認知度アップに貢献しているのだろう。

 さてこんな人狼ゲームは、オーバー40にとってどんな魅力があるのだろうか。49歳男性である筆者の体験を報告しよう。8月半ばの夜、私は東神奈川駅にほど近い、とあるヘアサロンで開催された人狼ゲーム会に参加した。主催者はそのサロンを経営する美容師の大石加奈子さん(44)。主催者が40代ということもあってか年齢層はやや高めで、15人ほどの参加者のうち6人が40代だった。

 ゲーム自体も面白かったが、ほとんどが初対面だった参加者の人たちと、すぐ打ち解けられたのが印象的だった。ゲーム中早く殺されたときやゲームとゲームの合間に、かなり雑談時間がある。近くにいる人と「あのときなぜあんな発言をしたの?」「どうしてあそこで意見を変えたの?」などといろいろ話していると、その人の物の考え方や性格がそこはかとなく伝わってきて、より親しみが感じられるようになった。

 大石さんは去年10月ごろに初めてゲーム会に参加。以後面白さにハマり、何度もゲーム会にでかけた。「やっているうちに、勝ち負けより会話を楽しめるような会を自分でやってみたいと思いました。これは人の本性が出やすいゲーム。『人狼的イケメン』と呼んでいますが、本当の思いやりや優しさのある男性を見極められると思います」。また参加者のイベント企画業、村上彩さん(40)は「ずっとニコニコしていると人にはどう思われるのかなど、いろいろ実験してみると面白い」と話していた。オーバー40にとっても、多彩な楽しみ方があるのだ。

 私のようにたまたまゲーム会にツテのある人はいいが、そんな人が周りにいない場合はどうすればいいのだろうか。人狼ルームのような、有料で体験できる場所に出かけるのが手軽だろう。こうした場所は先に紹介した人数、場所、GMという、初心者にとって高いハードルを乗り越える手助けをしてくれる。人狼ルームは予約さえすれば1人でも参加でき、人を集める必要はない。ルールも教えてもらえて、約3時間で3〜4ゲームは体験できる。これで料金は2000円〜2500円程度だ。

 児玉氏は「パーティーなどで初対面の人と話すとき、仕事や出身地、生まれ年などが話題の定番ですが、実はそんなことはどうでもいいのかもしれません」と話す。人狼ゲームを一緒にプレイすれば、人となりや性格がそこはかとなく伝わってくる。好ましい人間関係を築くためにはそんな情報の方が、よほど重要だろう。児玉氏は人狼ゲームを、「人生を楽しむためのてっとり早いツール」と評する。人生後半戦をより楽しいものにするため、若者と一緒に人狼ゲームにハマってみるのも、一興ではないだろうか。(五嶋正風)


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