ニューデリー駅はもういっぱい? 10年前にできた新しいインドの駅 <下川裕治のどこへと訊かれて>

ニューデリー駅はもういっぱい? 10年前にできた新しいインドの駅 <下川裕治のどこへと訊かれて>

 さまざまな思いを抱く人々が行き交う空港や駅。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界の空港や駅を通して見た国と人と時代。下川版「世界の空港・駅から」。第61回はインドのアナンダ・ビハール駅から。



*  *  *
 デリーの鉄道駅といえば、ニューデリー駅という感覚が強かった。これまでも何回か、デリーから列車に乗ったが、いつもニューデリー駅だった記憶がある。いや、オールドデリー駅に着いたことが1回あるか……。

 今年(2018年)の6月、デリーからガヤーに向かった。ブッダガヤに行くつもりだった。ニューデリー駅には外国人専用オフィスがある。そこでまず、翌日のチケットをみてもらった。12時発の列車は満席。確保できるのは朝の6時30分発の列車だった。

 朝は早いが、それほど問題はなかった。ニューデリー駅前に安宿が集まっていることは知っていた。どうせそのなかの1軒に泊まる。駅から歩いて10分もかからないだろう。

 インドの旅は相変わらずつらく、デリーにもわけのわからないインド人がいっぱいいる。しかし唯一、旅行者はありがたいと思うのは、安宿街がニューデリー駅前のメインバザールロード周辺に広がっていることだ。東京駅前に安宿街があるようなものだ。

 もっともいまでは、このメインバザールロード以外のエリアにも安い宿が広がっているのだろうが、列車で到着して、翌日にまた列車で出発するようなときには駅前安宿はありがたい存在なのだ。

 6時30分発の列車の予約を頼もうとすると、カウンターの職員はこういった。

「アナンダ・ビハール駅だけど、大丈夫ですよね」
「アナンダ・ビハール?」

 初耳の駅だった。

「ニューデリー駅はもう一杯だから、10年ぐらい前に新しい駅ができたんです。タクシーで30分ぐらいです」

 親切な駅員だった。調べると地下鉄で行くこともできた。しかし地下鉄の始発は午前6時。少し難しそうだった。

 アナンダ・ビハール駅近くの宿にしようか……。少し悩んだが、メインバザールロードに向かって歩きはじめた。僕にとってのデリーはやはりこの界隈だったからだ。

 翌朝、朝の5時30分。アナンダ・ビハールにいた。

「あそこまで歩くのか……」

 敷地が広かった。教えられた駅ははるか遠く、かすんでいる。着いてわかったのは、アナンダ・ビハールという場所は、バスターミナルと鉄道駅が同じ敷地のなかに共存するエリアということだった。どこか場当たり的に広がっているデリーだが、やはりそういう時代なのだろう。インドは鉄道大国のようにも映るが、バスは確実に存在感を増していた。アナンダ・ビハールにしても、バスターミナルエリアのほうに活気がある。

 インドの人たちにとってのアナンダ・ビハール。旅行者にとってのゴールデンコンビであるニューデリー駅とメインバザールロード。そんな色分けができつつある気がする。


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