ロボットクリエイター・高橋智隆さんに聞く「人型ロボットの未来」

ロボットクリエイター・高橋智隆さんに聞く「人型ロボットの未来」

 独自の進化を遂げてきた日本のロボット。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で、ロボットクリエイターの高橋智隆さんに、人型ロボットの未来について聞いてみたよ!



■お家芸だった二足歩行ロボット

 ロボット開発の歴史を振り返ると、研究者たちはずっと「二足歩行」に魅せられてきたように思います。そして日本は世界に先駆けて、「WABOT|1」や「ASIMO」のような二足歩行のロボットを発表し、人々を驚かせてきました。

 しかし最近では、アメリカのボストンダイナミクス社が、これまでの日本の技術を超える「アトラス」などを生み出しています。それでもなお、「役に立つロボット」には程遠い。家事から車の運転、仕事まで何でもこなす人型ロボットという目標自体が誤っているのではないかと考えられ始めています。

 さらにいま、人工知能の分野では、アメリカや中国が大きくリードしています。かつてはロボット先進国といわれた日本のロボット開発は、今後どうなっていくのでしょう。

■アニメやマンガがものづくりに影響

 私は、日本のロボットの強みは「小型のヒューマノイド(人型)」にあると感じています。日本のロボットは海外のものと比べると、人間らしさがあってかわいらしいものが多いでしょう?

 それは「鉄腕アトム」や『ドラえもん』などのアニメやマンガの影響がとても大きいと思います。ハリウッド映画に出てくるような、無骨で機械的なロボットや、人間を襲うアンドロイドなどに怖いイメージを持つ海外の人々に比べて、日本人はロボットにフレンドリーな感覚を持つ人が多く、それがものづくりにも生かされています。

 私がつくる「ロビ」や「ロボホン」などは、決して実用的ではありませんが、親しみや愛着が持てるデザインや機能にこだわっています。二本足をつけるのは、速く移動するためではなく、それがあることで人間っぽさや生命感が出るからです。そして、小さくてかわいらしいものに親しみを抱くのは日本人だけでなく、万国共通のことなのです。

■小型ロボットがパートナーになる

 私は、5年以内に1人が1台小型ロボットを持つ暮らしをつくることを目指しています。どんなに賢い人工知能を搭載していても、スマートフォンや家電には話しかけにくい。でも人型ロボットなら自然と話せて、そばに置いておきたくなります。彼らは『ゲゲゲの鬼太郎』の「目玉おやじ」のように、よきパートナーとなって、家電や家、車などのモノや、インターネット上の情報・サービスをつなぐ「スマートフォンに代わるモバイル端末」になりうるのではないかと思います。


【1928年/学天則】
<東洋初の人型ロボット>
「奴隷のようなロボットではなく、人間らしさにこだわりたい」と、生物学者の西村真琴が製作した東洋初のロボット。圧縮空気で滑らかに動き、文字を書いたりさまざまな表情を見せたりする。現在、大阪市立科学館に設置されているのは、2008年に復元されたものだ。

【1973年/WABOT−1】
<世界初の二足歩行人型ロボ誕生>
 世界に先駆けて早稲田大学の研究チームが開発したロボット。二足歩行ができるだけでなく、モノを目で見て手でつかんだり、簡単な会話をしたりすることもできた。
写真 早稲田大学ヒューマノイド研究所

【1999年〜/AIBO】
<犬型ロボットがペットに!?>
 ソニーが開発した世界初の家庭用エンターテインメントロボット「AIBO」。人とコミュニケーションして学習する、成長機能が話題を呼んだ。初代モデル(約25万円)3千体は発売後、わずか20分で完売した。

【2000年〜/ASIMO】
<世界に衝撃を与えたASIMO>
 近い将来、人間の生活空間で活動することを想定してホンダが開発したASIMO。初登場した2000年の時点では、ロボットにとって非常に難しいといわれていた二足歩行をスムーズに行ったことから、世界中の人々に衝撃を与えた。

【2013年/ゴミ箱ロボット】
<人の助けを引き出す「弱いロボット」>
 街中をよろよろと動くだけの「ゴミ箱ロボット」は、周囲の人間がゴミを拾って中に入れることで目標を達成する。一人では何もできない赤ちゃんが周囲の助けを引き出すように、弱いロボットを通じて生まれる「コミュニケーション」や「共生」に注目が集まっている。

【2006年〜/ジェミノイド】
【2016年/機械人間オルタ】
<「人間とは何か」を知る手がかりに>
 自分とそっくりのロボット「ジェミノイド」など、数々のアンドロイド(※)を生み出した大阪大学の石黒浩教授は「人間とは何か」を知るための手段として、ロボットの研究をしている。「機械人間オルタ」は、顔や手は人間にそっくりだけど、頭や体は機械がむき出し。動きだけでどこまで人間らしさを表現できるかを調べるためにつくられた。

※アンドロイド=人間にそっくりな人型ロボット。

【2013年〜/ロビ】
【2017年〜/ロビ2】
<世界でも大人気 コミュニケーションロボット>
 愛くるしい動きや会話が楽しめる人型コミュニケーションロボット「ロビ」。毎号付録のパーツを組み立てると完成する、マガジンシリーズ「週刊ロビ」の初版は、海外も含めて30万部の大ヒットに。今年6月から「週刊ロビ2」が発売中。

■「不気味の谷現象」とは?

 人間そっくりの姿を追求すると、ある時点で不気味と感じるようになり、さらに人間に近づくと親しみがわいてくるようになる。これを「不気味の谷現象」という。アニメ・映画の製作者やロボット開発者たちは、この谷に落ちないようなキャラクターデザインを心がけているそうだ。

※月刊ジュニアエラ 2017年10月号より

おすすめ情報

AERA dot.の他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

国際・科学 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

国際・科学 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索