トランプ大統領、“屈辱の演説”の意趣返し? パリの混乱に皮肉

トランプ大統領、“屈辱の演説”の意趣返し? パリの混乱に皮肉

 日本でも報道されている、フランスのパリでの激しいデモ。これに関して米国のトランプ大統領が度々コメントしている。マクロン政権を皮肉ったようなその言葉には、ある演説への反発が見え隠れする。



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 シャンゼリゼ通りに爆発音が響き、催涙弾の煙が満ちた。フランス各地に広がる反政府デモは路上作業用の黄色い安全ベストが象徴で、「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)運動」と呼ばれる。4週末連続となった8日のデモには、英BBCによると全仏で約13万6千人が参加。そのうちパリに集った約1万人の一部が暴徒化して警官隊と衝突し、135人が負傷した。

 死者も出た一連のデモについて繰り返しコメントしているのが、米国のトランプ大統領だ。

「パリ協定には致命的な欠陥があるとした私の結論に、マクロン大統領とデモ参加者たちが達したことを喜ばしく思う」

 パリの混乱を受け、トランプ大統領はツイッターでマクロン大統領をこう皮肉った。

 国際的な地球温暖化対策の枠組みを定めたパリ協定を巡っては、マクロン政権が電気自動車の普及促進や燃料増税などの脱炭素策に力を入れる一方、トランプ政権は2017年に離脱を表明。反政府デモは皮肉にも、この燃料増税が引き金となった。

 マクロン大統領は、17年5月の政権発足当時6割あった支持率が2割台に低迷。年金受給年齢の引き上げなど社会保障関連の支出を抑制する一方、投資促進を意図した資本所得減税を行ったことなどで、富裕層を優遇しているという強い不満が国民に広がっていた。マクロン大統領は燃料増税を延期したほか、10日の演説では最低賃金の引き上げや年金生活者への減税策なども約束した。

 だが緊縮財政がキーワードの欧州連合(EU)改革を率いるフランスが、完全に脱緊縮路線に転じるのは難しい。マクロン政権は今後、難しい対応を迫られることになる。

 トランプ大統領は一連のツイートで、欧州との関係にも言及した。

「先の二つの大戦で欧州軍はうまく機能しなかったが、米国はともにあった。今後もそうあり続ける。ただ、(米国は)NATO(北大西洋条約機構)での公平な費用分担を求めている」

 トランプ大統領がわざわざNATO、さらには先の大戦を持ち出した背景には、メルケル独首相とともに国際協調主義を強調するマクロン大統領が11月11日、パリで行った演説への反発が見え隠れする。

「古い悪魔が再びよみがえり、混乱や死を招こうとしている」

 トランプ大統領も出席した第1次世界大戦終結100年の記念式典で演説したマクロン大統領は、「自国の利益が第一だと明言するのは」と暗にトランプ政権を名指しして痛烈に批判した。トランプ大統領にしてみれば、屈辱の演説を聞かされたパリを舞台に毎週続く反政府デモは、マクロン政権の求心力の衰えを国際協調主義の後退に重ね合わせながら、自国第一主義の正当性を強調するには最高の出来事となった。(編集部・山本大輔)

※AERA 2018年12月31日号−2019年1月7日合併号


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